アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
ブライダル業界に限らず、コーポレートやプロダクトのビジョンを掲げている会社は多いと思います。一方、会社としてのビジョンは設定されているものの、実際に働いている社員で日々の業務とビジョンまでを結びつけて考えられている方は多くないと思います。このつながりが腑に落ちていないと、なんでこの仕事をしているのか?どのように貢献できているのか?など悩む機会も増えきます。そこで、今回の記事ではビジョンから日々のタスクがどのようにつながっているのか、私なりの考えをまとめてみました。
ビジョンから業務までのつながり
初めから結論書いてしまいますが、図でまとめると上記のようになると思います。
- トップが会社のビジョンを決める
- ビジョンを成し遂げたときの会社業績を定める
- 会社業績(=PL)は事業別の業績に分解する
- 事業PLの売上、原価、販売管理費、営業外損益、特別損益の各項目に分解する
- 各項目をKPIに分解する
- KPIの目標数値を達成するための施策を立てる
- 施策の実行スケジュールと担当者を決めてタスク化する
- タスク実行と進捗確認
このような流れで要素をブレイクダウンしていくと一連の流れでつながりますね。逆に下から上に向かって考えていくと、タスクを実行する→KPIが達成する→売上や原価が達成する→事業PLが達成する→会社業績が達成する→ビジョン達成になる、となります。
途中のステップは多いですが、日々の自分の業務やタスクを実行することが会社にとってこのような意味がありビジョンへつながっていると考えられるようになると、その業務の意味や価値というものが少しずつですが理解できるようになってくると思います。
なお、業務・組織の設計は左から右へ考えていく(何を成し遂げるためにどんな組織や施策・リソースが必要なのか?を掘り下げて設計していく)ことが基本で、実行の結果・実績の確認は右から左へ考えていく(何をどのレベルで実行した結果どうなったのか?)ことが基本だと思います。
各ステップを細かく考えてみる
1.ビジョンの設定
企業のビジョンはほとんどの場合トップが決めることになると思います。というよりボトムアップで作ることは不可能ですね。ちなみにビジョンをは企業が運営する事業を通じて将来的に成し遂げたいことや成し遂げたい状態を指したものを言い、企業の成長フェーズや事業規模によって変えていくのが一般的です。
2.全社業績の設定
ビジョンを設定したときに会社はどのような状態となっているのかを次に具体的な数字に落とし込みます。
- 業界シェアNo.1
- 売上100億円
- 累計利用者数100万人
などどういった基準でもいいのですが、要はどういう状態になっていればよいのか、その時の業績はどのようになっているのかを決める、という段階です。社会に貢献する!のような大きなビジョンがあっても、じゃあどうなったら社会に貢献できているのか?というのをPLにしっかり落とし込むことが必要です。
トップが自分で作ることもあれば経営企画などの担当者と数字を詰めていくことで数字を練り上げる、というのが一般的な進め方ですね。
3.事業部別PL
全社の数字ができたら次は事業別のPLに落とし込んでいきます。単一事業の場合であれば全社PLとイコールですが、複数の場合はそれぞれの事業でどのような数字を達成して全社PLを達成するのかを決めていきます。トップダウンで先に結論(売上や利益)が決まっていて事業責任者がどのようにそれを達成するかを考えるという会社もあれば、事業責任者が自分で数字を作る場合もあります。
4.PLの各数値の決定
PLの各数値を決める段階です。ここまでビジョンからブレイクダウンされてきた目標数値を達成するときに各科目の数値がどのようになればよいかを決めます。運営事業のビジネスモデルによって時間軸との掛け合わせで期ごとのPLが大きく変わるので、事業構造の理解と会計の知識が必要になります。
5.KPIに分解
事業の売上や原価、販管費目標を決めたら、次はどのようにしてその数値を達成するのかを決めていく段階です。例えば結婚式場の「売上」であれば
- 売上=施行組数×組単価
- 施行組数=来館数×成約率
- 来館数=予約数×来館率
- 予約数=広告宣伝費/CPA
- 組単価=SUM(アイテム別単価)
- アイテム別単価=販売数量×単価
- …
このようにツリー上に分解していきます(KPIツリーと呼びます)。このツリーを分解するときのコツは「その数値を改善する施策を立てることができるかどうか」です。ウォッチしても改善できないようなミクロな数値まで見ることはいたずらに工数を増やすだけなので時間の無駄です。その事業にとって最適なKPIツリーを作りましょう。
6.施策の立案
KPIまで分解出来たら、次はどうやってそのKPIの数値目標を達成するのか、施策を考えて決めていきます。例えば結婚式場の売上に影響を与える「成約率」を向上させる施策であれば
- ロープレをする
- 台本を作成する
- 振り返りを定例化する
- 接客ツールを改善する
- 内覧装飾を変える
- 内覧ルートを変える
- …
このような例が考えられますが、このような施策をKPI改善毎に細かく設定することが必要になります。
7.実行スケジュールと担当の決定
KPI改善に必要な施策を洗い出したら、最後に誰が、いつ、どのように実行するのかを決めます。また、計画を組んでも実行されなければ意味がないので進捗確認のフローも入れ込んでおきましょう。
ここまでがビジョンから施策実行までの一連の流れになります。
会社の仕組みを理解することのメリット
ビジョンから日々のタスクまでの一連の流れを理解するためには、付随して下記のようなスキルや知識が必要です。
- PLなど財務諸表を読めるための会計の知識
- KPIを理解するためのビジネスの基礎知識
このような知識はプランナー業務とはほぼ関係ないですが、自分の所属する会社が何を考えていてどういう風になりたいから今の自分の仕事があるのかを理解する上では実は重要になる知識です。
ただ、これをしっかり理解していると日々の業務意識も高く保つことができますし、自身のキャリアを考える上でどんな知識やスキルを身に着けていいのかも理解できるようになります。ただ、大きな企業になるほどビジョンから日々の業務までの距離も遠くなるので見えにくくなってしまうとも思います。もしわからなければ上司や先輩に相談するでもいいですし、自分なりに考えてみるというのでもいいでしょう。ただ漫然と目の前のタスクをこなすだけではなく、会社の仕組みと自分のやりたいことがどう結びつくか定期的に考える機会を設けることが大事です。
まとめ
普段の業務だとあまりこういった話を意識している方は多くないと思います。もしかしたらマネージャや支配人などの管理職クラスでも少ないかもしれません。経営側はこういった話をしっかりと社員に伝えていくことが必要だと思いますし、管理職含めた社員側も理解しようとすることが必要かなと思います。