更新日 2023年11月29日

結婚式は夢を売るビジネス?

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

学生に向けて授業をやっているのですが、その中で感じたことを書いています。

 

夢を売るビジネスとは?

突然ですが、ディズニーランドって人気じゃないですか。あの世界観というか作り込みというか、すごいなですよね。

ディズニーランドはよく「夢の国」とも呼ばれますよね。

施設内のアトラクションや建物、音楽はもちろんですが、非日常の体験を顧客に提供し続けていることで、今でも絶大な人気を誇っているわけです。

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ところで、ディズニーランドのチケット代の推移ってご存知ですか?

※1デイパスポート(大人)の金額

この間、特に日本人の所得は変わっておらず、これといった強烈なインフレも起こっていませんので、普通に値上げです。

その理由をいくつかの記事で見てみると、

  • 世界中のディズニーランドと比較するとまだTDRが割安であること
  • 値上げしても価格に見合う価値提供をできていること
  • 値上げ以外にもダイナミックプライシングを導入し業績増を狙っていること

などがあり、様々な背景から特に近年の値上げが加速しているようです。

最近は高過ぎて全然行けない!みたいに一部界隈からは叩かれてるみたいですが、夢の国とてボランティアではなくビジネスとして運営されているので、こうした背景からガンガン値上げしていくこともあるわけです。

今回は、顧客に夢を見せることとビジネスとして成立すること、このバランスってどう考えていけばいいのか、この両立について考えてみます。

 

結婚式は夢を売るビジネスなのか?

先ほどのディズニーランドの例とは少し違いそうですが、夢とまではいかなくても「非日常の体験を売る」と表現すると近いものはあるんじゃないかなと思います。

結婚式を挙げる理由は

  • 結婚式に憧れを持っていた
  • 親や家族のために挙げたいと思った
  • 人生のけじめとして挙げた方がいいと思っていた
  • 特にこだわりはないけどなんとなく挙げといたほうがいいかな
  • その他

などいろいろありますが、基本的に人生に一度だけの時間・体験を提供するという点においては、夢を売る仕事とも言えそうです。ちょっと解釈広すぎるかもしれませんけども。

あと、そういう体験を提供することに人生をかけていると自負している業界従事者の方も多そう。

一方、日本の結婚式場のほとんどは営利企業が運営しており非営利団体がやっているという話はほぼ聞いたことがありません。つまり、結婚式を提供することで利益を稼ぐ=ビジネスとして取り扱っているわけです。

 

ブライダル業界の中での価値観は二極化しているように感じる

結婚式はビジネスである(ことを重視している)派と、結婚式の価値を提供する(ことを重視している)派で分かれているなぁと感じています。

前者は多店舗展開している結婚式運営企業の上位役職者とお話していると感じることが多く、後者は結婚式場で働いている非管理職のプランナーやフリーランスの方とお話していると感じることが多いですね。

仕事において大切にしている価値観の軸が違うというか、向いている先が明らかに違うなと。

僕個人としてはややビジネス寄りではあるものの、重視というか両立することが一番大事だよねっていうスタンス。

ただし両立といっても同時に進行させるのではなく、ビジネス的に正しいことをすることがまず先、その上で高い付加価値を出すこと、この順番で考えないといけなくて、顧客のことだけを見続けて価値を先に作り、その後からどうやって儲けよ?とビジネス的な正しさを組み込むことは不可能だと思ってます。

  • ビジネス的な正しさ=必要条件
  • 付加価値の高さ=十分条件

これがうまく会話の中で揃うと、とても生産的な話につながるのですが、そうじゃないとなかなか難しいというか、そもそもかみ合わないからもう話さない方がいいんじゃないかなとすら思います。

そして、業界全体を俯瞰で見たときにこれが揃っていく気配は今のところなさそうだと感じています。

 

ビジネス視点の欠如が招くこと

ブライダル業界従事者の方々は、ほんと多くの方が色々な思いを持って様々な活動をしていると思うんですけど、うまくいってないことが多いと感じるんですよね。

コミュニティを作ったり、イベントを企画したり、個人でも本質とは何か!を発信し続けたり。これらは顧客はもちろん業界従事者にとってよりよい未来を願ってしていることだと思いますし、そこに野心や詐欺的思考はないでしょう(特定の一部の人を除く)。

ただビジネス的な土台が整ってないと、最初はうまくいっても継続すること、広まることはありえません。だからもったいないというか、もっとこうしたらいいのに…と思うことも多いです。余計なお世話かもしれないけど。

何かのアクションをするときの目的が自己満足であればビジネス的な思考は必要ないでしょう。でもそうでないなら、いくら声高に叫ぼうがうまくいくことはないと思います。

すごくいいこと言ってるしいい取り組みだと思うんだけど、それって所詮きれいごとだよね、って言われてしまうのがもったいないというか。その裏付けとか根拠、思考の土台を整えることできちんと形にしていけるばずなのに、と。

今のブライダル業界はどこまで行ってもビジネスであることに変わりはなく、何が顧客にとって付加価値であり、なぜそこに価値を感じるのか、感じた価値に対していくらなら支払うのか、そしてお金の流れる仕組みをどう構築するのか、それらを理解した上で様々な取り組みを継続できる人にしか業界ルールはつくりえないと思います。

なので、完全理解しなくてもいいんですけど、「ビジネス的観点からのブライダル業界」に興味を持つ人が一人でもいいなと思っています。何が本質かを探究するよりも、多くのケースでビジネス基礎の理解の方が重要であると思います。

 

結婚式をビジネス的な視点で見ることについての考察まとめ

夢を売ろうとモノを売ろうとビジネスはビジネスなので、そこはもっと業界の共通認識として広がってほしいなと思います。

ただ、このブログのように私が発信するだけよりも、ちゃんと背景や構造を理解した人が成功しているという事例をたくさん作った方が認識の切り替えには有効だと思うので、僕個人としては自社事業を通じて早くそこまで到達したいものです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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