更新日 2021年11月03日

結婚式場は「会場」と「ブランド」の両面で集客するのが効率的だと思う

0185_結婚式場は「会場」と「ブランド」の両面で集客するのが効率的だと思う

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

結婚式場は媒体を使って式場として集客する方法がメインですが、今回の記事ではプロデュースサービスのようにブランドをフックにしたウェブ集客も取り入れていくのがよいのでは?という話を書いてみます。

 

結婚式場の売上を最大化するために必要なこと

結婚式場の売上は以下の式で表すことができます。

  • 売上=施行組数×組単価
  • 施行組数=集客力×成約率

売上を伸ばすためには、組単価か集客力か成約率を高めることが必要、組単価と成約率は高めることが難しいので実際一番キーになるのは集客力です。

一方、集客の手法は

  • ブライダル媒体からの集客
  • ウェブ広告やSEOなどデジタルマーケティングを使った集客
  • SNSなどからの集客
  • 知人友人からの紹介

などいくつかあるのですが、大きく分けると「結婚式場」として集客する方法と、「ブランド(プロデュース)」として集客する方法の2つに分類することができます。「結婚式場を探している」属性の顧客と、「結婚式を検討している」属性の顧客の違い、とでも言えばよいでしょうか。

これらの異なる属性に対して本来であれば両方のアプローチをすればよいと思うのですが、今の結婚式場のほとんどは前者の結婚式場を探しているユーザーに対しての媒体出稿しかしていないと思います。で、これはもったいないなと。

 

ブライダル媒体を使った結婚式場集客の基本

基本のフロー

  1. 結婚式場が媒体に広告を出稿する
  2. 媒体(雑誌やウェブサイト)を見た新郎新婦が結婚式場へ来館予約をする
  3. 来館した新郎新婦に新規接客をして成約を獲得する

集客効率を高めるためのポイント

ブライダルフェアやプラン、写真などの媒体掲載コンテンツのクリエイティブを改善して、自社会場ページの来訪ユーザーのCVRを高める。

媒体集客の限界

基本的には媒体が獲得してきたユーザーを出稿している結婚式場間で奪い合うという構図になるので、その媒体に出稿してどれくらいの来館数を獲得できるのかは「媒体の集客力」に大きく依存します。

たくさん広告を出稿したからと言って無限に集客できるわけではなく、露出するにしても上限があるのです。例えば、1チャペル1バンケットの会場でゼクシィ8ページ分の素材をひねり出すのはけっこう厳しいですし、出稿したからと言って2ページ出稿の時の4倍集客が見込めるかといわれるとそんなことはありません。

このように、広告投資額は出稿量に対して比例してかかっていくのに対し、投下するコストが増えるほど効率は落ちていきます。

 

プロデュースサービスの集客

基本のフロー

  1. プロデュースサービスのサイトにユーザーを呼び込む(検索、SNSなど)
  2. サイト内のコンテンツを見た新郎新婦がプロデュースサービスへ来店予約をする
  3. 来店した新郎新婦に新規接客をして成約を獲得する

集客効率を高めるためのポイント

サイトに掲載しているプロデュースコンセプトや事例、価格などのコンテンツを魅力的なものにする、またLPOやEFOなどテクニカルなサイト改善を繰り返し行っていくことで来訪ユーザーのCVRを高めることがポイントになります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

プロデュースサービスの差別化ポイントはウェブマーケティング力だと思う話

プロデュース集客の限界

基本的には結婚式場から探すよりも「何かしらの特徴を持ったサービスから探したい」というユーザーをターゲットとすることになるので、ターゲットはかなり絞られます。

また、媒体というすでに一定の属性を持ったユーザープールでの競争ではなく、googleやInstagramなどの巨大プラットフォームでの競争となるので、高いマーケティング力が必要になります。逆に言えば成功できればかなりの集客を独占的に獲得することができます。

このように、広告投資(コストとリソース)に対して効果が不透明なので、ダメなやり方はどんなにやってもダメというのがプロデュース集客の限界です。ただ、通常の結婚式場検討層とは違ったユーザー属性にアプローチでき、かつうまくフローが回ると安定して集客ができるのも特徴だと言えます。

 

2つの集客方法のターゲット属性は異なる

ブライダル媒体から集客できるユーザー属性は「結婚式場から探す」ユーザーで、どちらかといえばチャペルや披露宴会場の雰囲気、アクセスなどハードの要素の重要度が高いユーザーだと言えます。

一方プロデュースが集客しているユーザー属性は「サービスの特徴から探す」ユーザーで、価格やオリジナリティ、プロセスやサービスコンセプトへの共感などの重要度が高いユーザーだと言えます。

同じ結婚式というサービスを求めているユーザーなので明確に二分できるわけではないですが、属性観点ではけっこう大きな違いがあると思います。それぞれの集客導線も違えばフックがかかるポイントも違いますが、どちらから集客したとしても最終的には「どこかの会場で結婚式をする」という点は変わらないので、結婚式場目線で行くとターゲットをより広くとるためには両方の属性にアプローチできることが必要になります。

 

2つの集客方法をどのように組み合わせると集客を最大化できるか

ある程度の会場数と規模のある会社や提携しているグループが対象になりますが、通常の媒体を使った集客だけではなく、複数の同じような特徴を持った会場群をグルーピングして、プロデュースブランドを立ち上げてしまうのがいいと思います。

媒体集客だけに頼っていても限界がありますし、市場が成長している環境ならまだしも縮小傾向が続いていますから、どうにかして新しい経路を構築していくことが必要になります。

実例としては以下のようなイメージです。

ベストブライダルの事例

  • ブライダル媒体(主にゼクシィ)からの結婚式場集客
  • 楽婚(格安結婚式系のプロデュースサービス)
  • 家族挙式(少人数、挙式のみのプロデュースサービス)

エスクリの事例

  • ブライダル媒体(様々な媒体)からの結婚式場集客
  • 得ナビウェディング(格安結婚式系のプロデュースサービス)
  • ルクリアモーレ(少人数、挙式のみのプロデュースサービス)

ベストブライダルもエスクリも普通に結婚式場を運営している企業ですが、通常のブライダル媒体経由の集客以外にもこれらのようにプロデュースサービスを立上げ、そこから自社会場へ送客することで会場の枠稼働率を高めています。

また、それぞれが運営しているプロデュースサービスの集客手法を見ると媒体から獲得できる属性とは明らかに異なる属性を獲得できているので(格安系や少人数系に特化した媒体はほとんどなく、媒体経由で自社会場だけに効率的に集客することは不可能)、カニバリもほとんどなく施行組数の純増に貢献しているはずです。

事業単体のPLが赤字か黒字かは分かりませんが、純粋なプロデュースサービスと比較すると損益分岐点は低いはずなので、むやみに広告投下量を増やすのではなく別の切り口から集客に活路を見出すいい事例だと思います。

 

結婚式場集客の方法論まとめ

結婚式場の集客方法はブライダル媒体の攻略がメインで語られがちですが、視点を変えると他にも着眼点があるよということをまとめました。どの会場でもプロデュースサービスを立ち上げられるわけではないと思いますが、今回の記事で紹介した内容や事例を参考に、これまでとは少し違った観点から集客改善について考えてみるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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