アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
ブライダル業界の市場規模は年々減ってきています。少子化に伴う結婚適齢期の人口減少、結婚率の低下(生涯未婚率の上昇)、披露宴実施率の低下(なし婚層の増加)、など複数の要因があり、今後も簡単にはこの流れは止められないでしょう。こういった予測に対し、なし婚層向けのサービスを企画・実施している企業がブライダル業界内外で増えてきています。そこで注意したいのがターゲットの設定と市場規模の考え方。そこで、今回の記事では、なし婚層向けサービスを企画するときに気を付けたい市場規模の考え方についてまとめました。
ブライダルの市場規模のおさらい
こちらの記事でもまとめているように、ブライダル関連市場の市場規模は下記のような規模と考えられます。
- 一般的な挙式・披露宴:1兆1,900億円
- 挙式のみ:180億円
- 食事会・会食:752億円
- フォトウェディング:63億円
- 新婚家具:2,360億円
- 新婚旅行:3,340億円
- 婚約記念品:1,770億円
- 結婚指輪:1,500億円
- 結納式:133億円
- 結納品:71億円
ブライダル業界で新規で結婚式場を作ったりサービスを立ち上げる場合は、一度は市場規模について考える方がほとんどでしょう。特に、上グラフの青グラフの部分が対象マーケット位なることが多いと思いますが、実はここから市場規模を考えるのは1つ落とし穴があります。それは、これは「結婚式を挙げている人」の市場規模であるということ。結婚しているけど結婚式を挙げていない人は含まれていない市場規模なんですね。
この図のように、一般的に言われるブライダル業界の市場規模には右半分が含まれていません。
また逆に、最近ではなし婚層をメインターゲットに据えたサービスなども増えてきています(成果が出ているかどうかはさておき)。こういったサービスの市場規模を考える際にどのようなことがポイントになるでしょうか?
なし婚層とは?
具体的なポイントの前に、簡単になし婚層とは何か?についても触れておきます。
なし婚層とは、入籍はしたが結婚式を挙げないカップルのことを指し、何をもって実施したというかにもよりますが、入籍のタイミングで何かしらのセレモニーイベントを実施しているカップルの割合は下記の通りです。
- 挙式・披露宴を実施した:55.3%
- 挙式のみ実施した:9.9%
- 食事会・会食を実施した:15.5%
- フォトウェディングを実施した:4.3%
- 何も実施しなかった:15.0%
何もしなかった人がなし婚とするならば約15%程度、挙式披露宴をしなかった人をなし婚とするならば45%がなし婚層だと言えます。
また、なし婚となる(結婚式を挙げない)大きな理由は下記の通り。
- 経済的な事情
- セレモニー的行為が苦手
- 妊娠
特に特筆すべきことはないですが、こういった背景から結婚式を実施しない人が多いですね。
なし婚層向けのサービスを企画するときの市場規模の考え方
まず、一般的なブライダル業界の市場規模の推移を時系列で表すと下記のようなグラフになります。
市場規模は今でも1兆円強あるものの、冒頭でも書いたように年々減少してきていますね。今後もマクロ環境が劇的に改善する見通しは立っていませんから、この傾向はしばらくは続きそうです。
このグラフを見るときに重要なのは、毎年新しく生まれてくる対象となるユーザーがリピートしないこと。つまり、赤い部分がターゲットになり、次年度に持ち越しません。当たり前ですが、複数回結婚式を挙げる人はほとんどいないですから、毎年毎年新しいユーザー層が生まれては、その年に消費してまた次年度に新しいユーザー層を獲得していく、この繰り返しになります。
一方、なし婚層の市場規模を考える際は少し考え方が異なります。
なし婚層をターゲットとするサービスの場合、過去N年分の「結婚式を挙げたなかった顧客層」がまとめてターゲットになる、という点が市場規模を考える際の重要なポイントです(もちろんどのようなサービスかにもよりますが…)。上のグラフの赤い棒グラフの部分ですね。
なし婚となった理由が経済的な理由であれば生活が落ち着いたタイミングでできることとは何か?という着眼点から入れますし、妊娠が理由であれば子供が生まれて落ち着いてからでもできます。一般的な挙式・披露宴とは違うスタイルであっても、入籍から何年か後にやっぱり何かしたいな…と思う人は意外と多いので、市場規模がないからこの企画はボツ、とする前に、もう一度考えてみるとよいかと思います。
なし婚層も含めたブライダル市場規模についてまとめ
結論をもう一度まとめると、
- なし婚層向けサービスを企画するときは、過去ス年分のユーザーもターゲットとなる前提で市場規模を考えたほうが良い
ということです。一般的なのユーザーの奪い合いはもう限界に近いところまで来ていますので、今後はより対象を広げたサービス設計が必要になっていくでしょう。これからなし婚層向けサービスを企画するときのポイントとして覚えておいてもらえると嬉しいです。