更新日 2021年09月19日

結婚式場の広告宣伝費予算フォーマットの作り方

100_結婚式場の広告宣伝費予算管理フォーマット

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

予算策定業務では、誰にとってもわかりやすく、扱いやすく、理解しやすいことが重要です。

今回は、結婚式場の広告宣伝費予算のフォーマットの作り方を紹介します。これまで私自身が使ってきたもので比較的汎用性も高いと思うので、事業や業務の生産性を高めることができることができると思います。

 

広告宣伝費予算を組むときに重要なポイント

予算フォーマットは会社によって作り方は違うと思いますが、エクセルやスプレッドシートを用いて策定しているところがほとんどでしょう。

広告宣伝費予算運用の現場でよくあるケース

100_広告宣伝費予算管理でよくあるケース
  • 上書きを重ねすぎてもともとも予算がいくらだったのかわからなくなってしまった
  • 逆に期初予算のままでこれから先の使用予定の金額がわからない
  • 最新のバージョンの予算ファイルがどれかわからない

などの話はよく聞きます。

また、最新の数値を探したり集計するだけで手間がかかる、どれが最新の数字か誰もわからない、ということも起こっているかもしれません。

期初の予算と今後の予定、実績がわからない状態で事業を運営していると

  • 思ったよりも広告宣伝費を使いすぎてしまって予算超過してしまった
  • 逆に思ったよりもたくさん余ってしまってもっと集客できたはずなのにと後悔した

といったことがよく起こります。

そうならないためにもしっかりした予算フォーマットを作り、安定したフローを構築・運用していくことが大切です。ちなみに、結婚式場全体の予算の作り方は以下の記事でまとめてありますので、こちらも併せてご覧ください。

【ブライダルビシネス】結婚式場の予算計画の作り方(予算フォーマット解説)

広告予算表で設定する項目

100_広告宣伝費予算管理表で設定する項目

ざっと上の図のような情報が網羅されていることが必要です。

  • 勘定科目:広告宣伝費 / 販売管理費
  • 対象会場:どこの会場の費用なのか
  • 計上月:何月に使う広告宣伝費なのか
  • 媒体:出稿する媒体の情報
  • 内容:出稿内容の詳細
  • 費用:具体的な出稿金額の情報

※ちなみに、ゼクなびなどのエージェントへの支払いは今回は外しましたが、販売手数料としているか広告宣伝費としているか会社によって異なるので、もし広告宣伝費として処理しているところはこの表の中に組み込むことが必要です。

詳細は後述します。

予算フォーマットを作るときに意識する3つのポイント

100_広告宣伝費予算管理フォーマットで意識するポイント
  1. 使いやすさ:SQLやGAS、プログラミングが必要など、更新や運用に特殊能力が必要なフォーマットは避けましょう。エクセルやスプレッドシートを使う場合でも複雑な関数の打ち込みが必要なものなどは担当者が退職すると更新不能になりがちです。
  2. 期中に修正しやすい:ブライダル業界の場合、年度開始時に作った予算をそのまま運用して大丈夫だったということはほとんどなく、受注状況によって臨機応変に調整する必要が出てきます。そういった状況下で元の予算からの変更を視認しやすく、かつどの程度変わっているのかが見やすいフォーマットであることが重要です。
  3. 予算と予定と実績がわかること:業績の振り返りをするときに予算との差異は必ず確認することになるでしょう。そのため、予算で設定した金額、これから使う予定の金額、実績として使った金額、この3つは常に可視化されている状態が望ましいです。

 

結婚式場の広告宣伝費予算フォーマット例

基本的に媒体運用メインのマーケティング担当者向けですが、リスティングなどの運用型広告を含んでも運用しやすいものを意識しています。

準備:使うツール

エクセルかGoogleスプレッドシートを用意しましょう。

同時に運用する(修正や追記する)人が5人未満の部署ならエクセルでもいいと思いますが、マーケティング部門の人数がそれ以上いて、かつ同時に修正する可能性が高いのであればスプレッドシートで作ったほうがいいと思います。今回はスプレッドシートで作ります。

①明細記入用のシートを作る

スプレッドシートを新規で開いて、明細記入用のシートを作ります。

1明細フォーマットの骨組み

こんな感じですね。ざっと各項目に入る内容としては先ほどのセクションで網羅した内容です。

この枠組みを組む際のポイントは、出稿内容の明細が入っているシートをマトリックス形式にしないことです。マトリックスにしてしまうと修正が上書きするか、予算、予定、実績ごとにマトリックスを作らないといけなくなるので、見やすさや使いやすさが落ちるだけでなく、ファイルのバージョン管理が必要になり管理工数が激増します。

②出稿内容を入力する

2明細の内容入力
会場名~出稿内容までは特に問題ないかと思います。

  • 予算金額:ここには広告宣伝費予算を入力します。
  • 予定金額:期初の時点では予算とイコールになります。期中の運用時に予定が変わったときはこちらの金額を上書き修正し、予算の欄は変更しないようにします。変更した日付や内容はメモ欄に書き残しておきます。
  • 実績:期初時点では空欄のままスタートし、実績が締まったタイミングで入力します。ゼクシィなどの媒体出稿系は予定とずれることはほぼないと思いますが、リスティングやフェイスブック広告などは予定通りと言うことはないでしょう。
  • 予定-予算:そのままです。「=G4F4」の計算式です。
  • 実績-予算:こちらもそのままですが、最初は実績が空欄なので「=if(H4=“”,“”,H4F4)」こんな感じの数式でいいでしょう。
  • F2セル:フィルタをかけた際の総額が表示されるようにしています。「=subtotal(9,F4:F10000)」この数式を入れています。運用を始めた後に、今月の広告費はいくら?とかこの会場の広告費はいくら?というのをフィルタをかけるだけで表示できるので便利です。

この要領で、各会場ごと、各月ごとの出稿内容をザーッと埋めていきます。5会場以上運営していたり、複数の媒体に出稿している場合は、縦のスクロールが非常に長くなるのですが、運用面の使い勝手の良さでそこは取り返せるます

③サマリのシートを作る

運用は明細のシートだけでも大丈夫なのですが、上司への共有や経営会議での報告、半期単位の進捗を見たりするのはこれだけだと不十分なので、サマリのシートも作っておきましょう。方法は以下の2つがあります。

ピボットテーブルを使う

3行目から一番下までのセルと選択した後、データ>ピボットテーブルをクリックします。そうすると新しいシート「ピボットテーブル1」というのが出来上がるので、以下の項目を設定します。

  • 行:会場、追加ボタンを押し媒体
  • 列:計上月
  • 値:予算金額

すると、以下のような表が出来上がります。
3サマリの作成
これは会場ごと、媒体ごと、月ごとの予算金額の表です。こうすると見やすいですね。値のところを予定金額に変更すれば予定金額の表、実績にすれば実績、それぞれの際にすれば際にすることができます。

  • 関数の知識が不要なので簡単
  • 計算が走らないのでスプレッドシートが重たくならない

などがピボットテーブルを使用するメリットなので、あまり関数に詳しくない場合はまずこちらでやってみるといいと思います。

関数を入力して計算する

関数に抵抗がない方は、SUMIFSなどを用いて自分でサマリフォーマットをカスタマイズしてみましょう。この関数集計をするときに、明細の縦スクロールフォーマットが役に立ちます。

特にSUMIFSやAVERAGEIFS、COUNTIFSなど複数条件を設定して集計をかける場合は、同じ行にすべてのデータが入っているほうが扱いやすいですから(これがマトリックスの表だと無理)、メリットが大きいですね。

④数値を確定する

このように広告宣伝費のフォーマットと金額を入力したら、後は予算編成が決まったら数値を確定させましょう。確定するまでは予算と予定の金額はそろえておきますが、一度予算が確定すればそれ以降の予定変更は予定金額欄だけを変更しましょう。そうすると期初予算との差異を見ることができます。

⑤運用時の注意点

最初、慣れるまでは縦スクロールの長さに使いにくく感じるかもしれませんが、

  • どの会場がどの順番にあるかだいたい覚えてくる
  • フィルタを活用するとすぐ見つかる

など、比較的早く慣れていく方が多いと思います。運用時に注意しなければいけない点とは以下の通りです。

  • 新しい媒体や広告出稿内容を追加するときは12ヶ月分を1セットで追加する(単月だけ追加するとフォーマットが崩れます)
  • 一度決めたら、予算の金額を変更しない
  • 予算から予定を変更したときは、メモ欄に変更内容を記載する
  • もし今回紹介した内容以外に項目を追加したい場合は追加しても全然OK(担当者、稟議申請確認欄、など)

 

この広告宣伝費フォーマットがオススメの理由

これまでに様々な広告宣伝費予算のフォーマットを見たり使ってきましたが、個人的にはこのフォーマットが一番しっくり来ています。

予算と実績の比較が見えやすい

予算、予定、実績があるので、「どの数値が何の数値なんだっけ?」という何が正しい数字だっけ議論が非常に起こりにくくなります。こういった数値確認のための時間は本当に非効率的なので、正しい数字が何か、がすぐにわかっているほうがいいと思います。

縦スクロールだけの1つの表で運用できる

同じようなフォーマットの表が1つのエクセルの中にいくつもあると、どれがどれの表なのかわからなくなりがちですが、明細は1つの表で管理できるので(その代わり長いですが)、慣れてしまえば情報が散らからなくて使いやすいです。

複数人で同時に修正できる

スプレッドシートを使う場合に限られますが、複数人で同時に管理することも可能です。少人数で同じ拠点で仕事をしている場合は特に大きな問題にはなりませんが(エクセルでもいいと思います)、他拠点かつ5名以上の場合は同時に修正するタイミングもあると思うので、その点でもメリットがあります。

複数のファイルにならないのでバージョン管理が必要ない

上書きのたびに新しくファイルをコピーして上書き保存する、ということが不要なので、どのファイルが最新だっけ?ということが起こりません。予算表をブックマークしておけばいつでも最新の予算表にアクセスできます。

 

広告宣伝費管理フォーマットについてまとめ

簡単ですが、広告宣伝費予算フォーマットについて、オススメの作り方をまとめました。

もしフォーマット作成や運用フロー構築などのご相談・ご依頼があれば下記フォームよりお気軽にお問合せください。

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この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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