アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
ブライダル媒体にだけ広告を出していれば集客できた時代は終わりを迎え、どの企業もWebマーケに取り組み始めています。今回はウェブマーケ施策の運用体制構築の考え方を書いてみます。
成約率とは
ブライダル業界に従事する人なら皆さんおなじみの「成約率」なんですが、最近自分の中でこの指標が意味することは何なのか?がよくわからなくなってきています。
・成約率=成約数/来館数
これはいいですよね。
今月は高くてよかったとか低くて悪かったとか一喜一憂している会社もあるでしょうし、そもそも全くそんな指標見てませんっていう会社もあるかもしれませんし、「○○の方法で目指せ70%!成約率アップセミナー!」みたいなのも多いですし、私が実践した成約率90%になるたった一つの方法みたいな情報商材もあるとかないとか。
「成約率」というワードを見かけない日はありません。
一般的には高ければ良く低ければ悪い、という指標であり、これはブライダル新規営業に限らず世の中の営業職全般に言えることで、それ自体は理解しています。
ただ、なんというか、表面的な数字にとらわれ過ぎているというか、数値を上げることが目的となっている節があるというか、この結果に至るプロセスはもっと深いところにあるのでは?と感じることが多く、最近モヤモヤと頭の中に霧がかかっている状態であります。
確かに成約率高いことは(業績面において)いい事なんですが、もう10年以上も業界的に同じことやってるので、そろそろ高い低いの話の次のステップに進んでもいいのではないだろうか?とも思います。
ということで今回は、新規接客を一度もやったことないのに、これまで数百人の新規経験者と話したことのある市川から見て、成約率って何なんだ?っていうのを考えてみます。
成約率を構成する要素は何か?
成約率に関係することって何だと思います?
こう質問すると、ヒアリング力とかクロージング力とか全体接客のような接客技術的な要素と、気合とか根性とかメンタル的な要素を回答としてもらうことが多いかなぁっていう気はします。
まぁ確かにそうだよねとは思いつつ、個人的には以下の4つの要素に分解できると捉えています。
- ①新規接客者のポテンシャル
- ②コンディション(内的/外的)
- ③顧客の期待値
- ④接客者と顧客の相性
この4つの掛け算で成約率が決まるイメージ。詳しくは次から順に行きます。
①新規接客者のポテンシャル
- 知識量
- 企画力
- 提案力
- 営業力
構成要素はこの4つ。ちなみに一貫担当の場合はこれに当日のディレクション力が加わります。
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まず知識量とは、ウェディングに関する知識を指します。
ドレスやアイテム、スタイル、コーディネート、トレンド、その他あらゆるウェディングに関する情報の引き出しを頭の中にどれだけ持っているかです。これは単純に勉強量と記憶力に比例するので、効率的な方法で継続するのみ。
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次に企画力とは、持っている知識を1つの結婚式にまとめられる力を指します。
様々な商品を知っていても、それを単につぎはぎで組み合わせるだけでは全体としての一体感は醸成できません。商品ごとの相性とバランスを考えつつ、結婚式全体で1つの芯が通るように企画する力が必要です。これも思考回数と経験の場数、適切なフィードバックによって培われていきそう。
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そして提案力とは、作成した企画を顧客に伝える力のことを指します。
結婚式企画を頭の中でイメージできても顧客に伝わらなければ意味がありませんので、表現するための話し方や資料作成能力などが必要です。これも練習量に比例しそう。トーク以外のイラレやフォトショでの資料作成などは苦手にしている人が多いですが、そう思っているなら何度でも練習したらいいと思いますけどね。
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最後に営業力とは、顧客に意思決定してもらえる力のことを指します。
営業力とは、顧客の意思決定の背中を押してあげるスキルのことで、決して無理やり決めさせるごり押しつよつよメンタルのことではありません。
よく勘違いしている人がいますが、提案力と営業力って別ですからね。提案は企画を伝える力、営業は顧客のニーズに合わせて売る力、です。発想の起点が逆。
これは練習によって何とかなる部分もありますが、けっこうセンスの影響も大きそうです。
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この4つの総合力で新規接客者のポテンシャルが決まるイメージですね。
全部高ければもちろん理想、逆に全部低いと後述する他の要素がどんなに長けていても無理じゃないかなと思います。
②コンディション(内的/外的)
コンディションには内的なものと外的なものの2つがあり、コンディションが整っているとポテンシャルを発揮しやすい、という整理だとすっきりします。
・新規接客者ポテンシャル×コンディション(内的/外的)=新規接客のパフォーマンス
逆に言うとコンディションがどんなに良くてもポテンシャルが低い人だとパフォーマンスは上がらない。
内的コンディション
新規接客者本人のコンディションのことを指します。
体調や疲労、メンタル、モチベーション、など、新規接客に限らず「仕事をする」ための個人の土台が整っているかどうかのことです。
あと、実はとても重要だと思うのが「営業している商品を心から好きかどうか」という点。
本当におすすめしたいとは思ってないものを仕事として売らなければいけない、のはけっこうしんどい。
外的コンディション
新規接客をする際に接客者以外の環境のコンディションのことを指します。
例えば接客環境、内覧環境、接客ツール、試食の有無、全体接客など他部門のサポート、などがここに当たります。この辺りは会社によってスタンス・方針が異なるので一概には言えないですが、高いレベルに保てているとポテンシャルを発揮しやすいですね。
③顧客の期待値
顧客が結婚式場に見学行く前に、どれだけそこに対してワクワクしている状態をつくれるか、という観点です。
ここの期待値が低いと、来館後に提供しなければいけない情報量が多く、引き上げなければいけないテンションのフェーズが多層化するので、成約率は下がります。
マッチングアプリでアポって当日行くまでに、相手の事前のテンションをどうやったら上げられるか?に思考性としては近そう。プロフちゃんと書くとか、メッセのやり取りこまめにするとか、適切なコミュニケーション取るとか、写真送るとか、いろいろしますよね。あれの結婚式場版のイメージ。
この期待値を適正レベルで高めておくためは、広義でのマーケティング施策が重要であり、プロモーション、ウェブサイト、CRM、オーガニックコンテンツ(テキスト=SEO、画像・動画=Instagram、Tiktok、等)、これらの一貫した取り組みが必要になります。
一言で書くと、「契約する気で来館させる」って感じですね。
期待値が上がらないのは、顧客が得ている情報が不足しているからか、すでに得ている情報ではワクワク感がないからなので、適切な質の情報を、適切な量、適切なタイミングで提供していくことが必要になります。
④接客者と顧客の相性
最後の相性は、そのまんまですね。結局は人が人に営業するので、相性はありそう。ポケモンのタイプ相性みたいなもので、どの人が優位というよりは、ほんとに相性って感じです。
- 効果はばつぐん!
- 効果はいまひとつ
- 効果がない
どれも起こりえそう。年齢や性格、性別、テンション、会話のテンポ・リズム、一般教養、共通の趣味、などなど。
色々な要素はあると思います。
ただ、ここまで書いてきた3つが完璧にできているのに④の相性が悪くて決まらなかった、って言うことはほぼないと思いますね。あくまでちょっとしたアクセント、というくらい。
成約率は何%だと理想的なのか?
ここまで書きてきた4つ(の中の特に①~③)を完璧にやり切ればそこそこの率には到達するんじゃないかなと思います。
で、成約率の理論上の上限は100%なわけですが、現実問題として何%くらいを目指せばいいんでしょうね?っていう話。
個人的には60-70%くらいがMAXじゃないかなぁと思います。
たぶん日本にはこれよりもっと高い新規プランナーの方はいると思うんですけど、
- 結婚式場の実物は見てみないとわからないことが多い
- アイテムや料理、ドレスなども実物を見ないとわからないことが多い
- 金額が大きいので契約には覚悟がいる
とオンラインで伝えられる情報には限界があるので、会場トータルで見ればこれくらいじゃないかなと。
もう一つ、明らかに契約を取らない方がいい顧客がいるということもあるので、それも差し引いて60-70%で安定継続が上限になりそうです。同じ成約率60%でも顧客を選んだ結果としての60%、だと強いと思いますね。
成約率を科学する
もともと頭の中にぼんやりとあったものを言語化してみたというのが今回の内容ですが、たぶんあんまりこういうアプローチで成約率改善に取り組んでる人や会社はいないんじゃないかなと思います。
よく言えば客観的に書けてると思いますが、悪く言えば現場を知らないから机上の空論を書いてるだけかもしれません。
ただ、端から見てて、今月の成約率がヤバくて目標達成できなさそうだから
- 特典や値引きを増やそう
- ロープレを先輩とたくさんやろう
- 台本を見直そう
のような、人は入れ替わっても属人化した同じ施策を繰り返しているだけの組織は結構ありそうで、もうちょい汎用性の高いアプローチ方法が確立してもそろそろいいんじゃないの?とは見えます。人材紹介業におけるエス・エム・エスのCAメソッドみたいな。
まぁ、言うは易く行うは難し、なんですけどね。
成約率についてのまとめ
ポテンシャルのある人であれば、再現性高く優秀なプランナーになれるようなプログラムができたらいいなと思ってます。
今って属人的な経験に沿ったノウハウか、1つの成功事例からの横展開が多い気がしますが、網羅的で汎用性の高いロードマップ・プログラムみたいなものって見たことないんですよね。
もし仮に出来上がったら、ゼロから始めて3年くらいかかりそうだけど。
専門学校とかで教えてもいいのではないかと思いつつ、いや、アカデミックな方がいいのかな、学校だし、、、。わからん。