アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
最近のトレンドや状況から、今後ウェディング業界はどうなっていくのか、そしてその中で個人は何をしたらよいのかを考えてみます。
目次
ウェディング業界のこれまでの振り返りとこれからの将来で起こること
いきなり個人的な話で恐縮ですが、自分のキャリアを振り返ると、新卒はコンサルティング会社に入り、そこから結婚式場運営企業に転職し、でもその後は一度他業界でデジタルマーケをやっていて、そこから起業して今に至るので、ブライダル業界経験は約10年ちょっとです。
最初にブライダル企業に転職したのが2011年、そこから今日までの10年ちょっとの間でもそれなりに大きな変化はあったと思います。
- 雑誌媒体からネット媒体へのユーザー利用の移行
- スマホ普及に伴うSNS活用集客の広まり
- CRAZY WEDDINGを起点にした結婚式のオリジナル化
- フリーランスのプランナー/クリエイターの増加
- 業務システムを導入する企業の増加(紙台帳やFAX利用率の低下)
など。
そしてこれから先の10年はおそらくこれまでの10年よりも動きが早く、より広範に、ダイナミックに変化が起こっていくのではないかと思っています。
- 人口統計的に避けられない結婚人数の減少=市場規模の縮小
- 経済衰退に伴う婚礼費用の減少=市場規模の縮小
- 社会へのAI浸透に伴う業務効率化=必要人員数減=業界雇用市場の縮小
クリエイターやプランナーの方が個人の範囲で生きていくのであれば、人気がある人なら市場が縮小しても大して影響を受けない可能性もあります。ただ、私個人のスキルや思考性を考えると影響は大きく受けそうで、今後の身の振り方をどのように考えなければいけないのだろうと思ってますね。
より正確に書けば、いつかブライダルを辞めようというわけではなく、自社ビジネスの対象をどのタイミングでブライダルの外まで広げるかを精度高く判断せねば、と思っています。これを見誤るともう這い上がれなくなりそう、という危機感。
ということで、ウェディング業界の未来について、出来る限り現実的にどうなるかを考えてみます。
人口統計から考える市場の推移
こちらのグラフは日本の人口推移予測です。
このうち、ブライダルマーケットの対象となる15歳~64歳(年齢幅広けどデータないから許して)の人口の推移は下記の通りです。青色のグラフのところ。
- 2000年:86,380
- 2010年:81,735
- 2020年:73,408 ← 今このあたり
- 2030年:67,729
- 2040年:57,865
- 2050年:50,013
- 2060年:44,182
※単位:千人
このように猛烈に減っていきます。これは今から変えようがありません。
異次元の少子化対策だとか言われていますが、手遅れだと思います。何とかできる時期は過ぎました。もうどうにもなりません。
この年齢帯の人口減少率は2020年対比で
- 2030年:▲7.7%
- 2040年:▲21.1%
- 2050年:▲31.8%
- 2060年:▲39.8%
と予測されているので、仮に婚姻率が今と変わらないと仮定すると、この分だけブライダル市場規模も同様に減少していくはずです。つまり、今と同じ取り組みをしていると、この分だけ売上が自然減することになります。
ただ実際には、婚姻率も今より下がりそうですし(生涯未婚率が上昇)、社会保険や税金が上がり手取り額が減少することで婚礼単価も下がるでしょうし…、とかもあるので、これよりもっと早く減少していくでしょう。
さらに、上場企業の営業利益率を見るとだいたい10%前後が多く、それでいて固定費率が高いビジネスなので、10%の売上減少=営業利益がほぼそのままなくなることを意味します。今、営業利益率10%の企業は、他の企業からシェアを取っていかないと2030年には利益がなくなってしまうと予想されます。
とかをいろいろ考えると、2040年までには今ある式場の50%くらいはつぶれるんじゃないかなと思っています。
何年単位で未来を考えるのか?
さて、暗い話だけをしてもしょうがないので、悲観的な未来予測を前提としたとしてもこう考えていけばいいのでは?という話も書いてみます。
経営者として考えること
弊社のようにエンドユーザーに対して直接結婚式を提供しているわけではない企業は、今後も永続的にブライダル一本で食っていくのは相当に難しいと思っています。
式場またはプロデュースであれば人気上位10%のサービスであり続ければ生きていけますが(それでも商圏にもよるけど)、婚礼事業者に対して何かしらの支援をするサービス事業者は特定企業へのシェア集約が進むほど環境はより厳しくなっていくはずです。
一方で、結婚式に関するデータ活用という観点では現状でもほぼ未開ありかつ事業ポテンシャルの宝庫であると考えています。
そしてこの領域にアクセスするためには、DX推進とマーケティングチャネルシェアの獲得が必須だと思っていて、そこに向けて弊社の立ち位置だからできることを粛々と進めていく予定です。
まとめると、
- 短期(1~3年):既存リソースを活用してエンドユーザーと会場をつなぐチャネルを構築
- 中期(3~5年):Wedding Meを人・会場・コンテンツが集まるプラットフォーム化
- 長期(5~10年):プラットフォーム内にストックされていくデータを活用した外部企業との連携・マネタイズ
こんな感じですね。
これがうまくできなかったらどこかのタイミングで弊社はなくなっていると思います。
でも逆にうまく実現できれば、ブライダル業界も顧客からの売上だけに頼らなくても市場規模を維持できるようになるはずなので、Wedding Me関連事業がそこのhubになっているはずです。なのでそこを目指していきたい。
あと、これと並行してインバウンドの可能性も探りたいですね。もし日本のブライダル市場規模が伸びるとしたらここしかありませんし。
個人として考えること
もう一つ、市川個人として自分のキャリアをこれから先どうしていこうかという観点です。
いちお起業家ではあるんですが、自分の特性的には起業家というよりは事業家の方が近いんだろうなと思っています。
- サイコパスみもないし
- 独自性もクリエイティビティもないし
- 圧倒的な行動力とか熱量みたいのもないし
- できるだけリスク取りたくないし
- 野心みたいのもないし
と、スタートアップの起業家っぽい要素が全然ない。。
でも、事業を手戻りなく合理的なスピードで効率的に拡大させていくのはやってても好きなので、そういう意味でも事業家って言った方が自分には近いのかなと思っています。
今は自分でやりたい事業を自分で作っている、って感じです。0→1はほんとは苦手なんですけどね…。
なので最近はWedding Me Worksも事業拡張フェーズに入ってきたから楽しいですね、ここからが僕の本領発揮のフェーズだと自分では捉えています。
となると、「市川=有能な事業家」というラベリングをどう貼っていくかが大事になります。
ブライダル業界に詳しい人というラベリングは、認知度はさておきもう自信を持って言えるかなと。あとは自分のスキルセットの幅をどこまで広げるか、どこまで深くしていけるか。
マーケ全般と事業企画はプレーヤーとしてもできるし、採用、ファイナンス、労務、法務あたりの事業運営における必要最低限の知識も持っている。ここまではよさそう。
今後はこれにプラスして動画活用やAI、web3などの新しいテクノロジーを実務初心者レベルまで使いこなせることがビジネスパーソンとしての必須要素になるからそこをやっていきたいなと。次の5年のテーマです。
そんな感じで考えながらやっていますね。
結局は手を動かせるかどうかが大事
ウェディング業界の将来や自分の未来について
- 考えたり
- 憂いたり
- 想いを馳せたり
することは自由なわけですが、正直これだけだとやったところで全然意味はなくて、結局大事なのはそれに従ってどう動くか、だと思うんですよね。
- 考える、憂う、馳せる
- どうすればいいかを決める
- 決めたことを自分でやる
- やったことを発信する(対社内でも、対顧客でも)
- 相手にちゃんと伝わる
- 信用を得る
- 未来への道が晴れる
こんな順番になるはずなので、1で止まらずに一歩ずつやっていきましょ、と。
今回の記事では業界全体を俯瞰しての予測と市川個人が考えていることを書きましたが、プランナーの方、スタイリストの方、支配人や管理職の方、フリーランスの方、様々な立場でも同じように考えることはできると思います。
将来の見通しが暗いからと業界から逃げることも簡単なんですが、せっかく10年もやってきたからにはできるとこまではやってみたいなと思います。
ウェディング業界の将来予測と個人で考えることのまとめ
- 業界や自分の未来について考えることは大切
- でも普通に考えれば業界の未来は超厳しい
- じゃあその前提で今何ができるかを会社と個人の観点で考えよう
- あと、考えるだけだと意味がないからしっかり行動に移していこう
今回の内容を簡単にまとめるとこんな感じです。
一人一人の置かれている立場やこれからやりたいことは違うと思いますが、考え方とかが少しでも参考になると嬉しいです。