アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
ブライダル業界でも接客のオンライン化が今後加速してきそうですが、ドレス試着やアルバム選びなど実際の商品の違いを見比べながら接客を行いアイテム決めを行っていた打合せをオンラインですることは難しいのではないか?とも考えられます。そこで、今回の記事ではウェディングドレスなどリアルを伴うウェディングアイテムのオンライン接客について、その可能性と具体的な方法を考えてみます。
目次
ブライダル業界のオンライン接客の概要
ウェディング×オンラインの領域は大きく分けると下記の4つに分類できます。
- 接客をオンラインでする
- 働き方がオンラインになる(テレワーク)
- 結婚式をオンラインでライブ配信する
- 結婚式をオンラインでする
今回の記事ではこの中の「接客をオンラインでする」の中のさらに「リアルの必要性が高いアイテムの打合せ」について詳しく書いていきます。
ウェディングアイテム別のオンライン打合せ可能性
- 〇:そのままオンラインでも可能そう
→装花(会場装花)、映像、引出物、司会、音響照明 - △:工夫が必要だが実現可能性は高い
→飲料、衣裳(小物)、装花(ブーケ)、写真、印刷物 - ×:相当工夫しないと難しそう
→料理、衣裳(ドレス・和装)
超主観ですがこんな感じかなと思います。
まず〇をつけているところは、そのままオンライン接客へ移行しても特段大きな問題にはならないんじゃないかと思います。オンライン接客用の資料作成などいくつか手間はかかりますが、一度作ってしまえば毎度作成が必要なものでもないのでそこまで大変ではないでしょう。
次に△、これらは実際に商品を見て選びたいニーズが強めで、オンラインでの接客設計に加えて実際に商品を確認してもらうフロー構築の必要度が高そうだと思うアイテムです。
最後に×ですが、これは実際に見るニーズが強いうえに商品を確認してもらうハードルが非常に高そうだなと思うアイテムです。
ドレスと料理のオンライン接客が難しいと思う理由
大きな理由は上にも書いた通り下記の2つです。
- 実物を見たい、食べたいというニーズが強い
- オンライン化したときにこれまでと同じクオリティの打合せに近づけることが困難
顧客のニーズ
衣裳と料理はお客様が重視するポイントで常に上位に入るほどの重要なアイテム。仮にオンラインで写真やイメージ動画を使った接客をして商品を決めたとしても
- (衣裳)当日着てみたら思っていたものと印象が全然違った
- (衣裳)サイズが合わなかった
- (料理)味付けが想像していたものと違った
- (料理)ボリュームが想像していたより少なかった
などなど、このようなことが起こると取り返しがつかず、自分の満足度もゲストの満足度も損なうリスクが高いので、新郎新婦としても自分の目で確かめたい、自分で実際に食べて味を確かめたいという希望が強いのだと思います。
オフライン時と同じクオリティに近づけることが困難な理由
まず衣裳で言えば実際に着てみることで、
- 自分のイメージしていた姿との違い(あれば)
- サイズやフィット感
- 試着そのものが楽しいという貴重な時間の経験
など実際に体験したからこそわかることがたくさんあり、これはどんなにカタログを見ても過去の花嫁の動画を見てもこの体験をオンラインで実現するのが難しいものです。
同様に料理でも
- 味付けやボリューム
- サービスマンのスキル
- 式場でコース料理を食べるという体験
こういった点をオンラインで再現するのは難しいでしょう。
このような理由から衣裳の試着と料理は試食だけはオンライン化不可能だと思います。強引でもいいからやろうと思えば、
- ドレスと自宅に配送し、到着後にオンライン接続してディレクションしつつ試着(試着後に返送)
- コース料理をパッケージ化して自宅にデリバリー(UberEatsのイメージ)して試食してもらう
といった方法も考えられますが、実際の結婚式と大きく条件が異なりすぎるので、そこまでしてオンライン化するメリットがないように思います。お互いの負担が減るわけでもなく、式場や衣裳屋側のコストも上がりいいことがありませんので…。
なので、この2つについては打合せオンライン化の対象から外して考えます。
もしリアルな商品をオンライン接客で対応するとしたら?
次に先ほどの〇と△のアイテムについて、打合せのオンライン化する具体的な方法を考えてみます。
方法①:オンライン打合せ
シンプルなんですがこんな感じでしょう。
- 対象商品:会場装花、映像、引出物、司会、音響
- フロー:オンラインで打合せ予約→打合せ実施(Zoomなどを使って)
予約は電話でもメールでもいいですが、youcanbookmeとか使うと便利でしょうね。チャットとかでもいいかもしれません。気を付けたほうがいいことは、式場(プランナー)もパートナー(の担当者)も同じオンラインツールを使うこと、でしょう。例えばプランナーはZoom、司会者とはSkype、映像はHangoutとかだと新郎新婦側の負担が大きいので、理想的には式場側でアカウントを持ってパートナーに権限付与がいいのかなと思います。
方法②:商品事前選定&商品郵送+オンライン打合せ
事前に打合せで使用するサンプル商品をお客様宅(またはお客様が打合せをするときにいる場所)に郵送し、お客様の手元にサンプル商品がある状態でオンライン打合せをする、という方法です。考えられる商品は下記の通り。
- 対象商品:ドリンク、衣裳小物、ブーケ、写真(アルバム、記念写真)、印刷物
- フロー:オンラインで商品選択&打合せ予約→商品配送→到着→打合せ実施(Zoomなどを使って)→商品返送
この方法のメリットはオンラインの打合せながら実際の商品(本当はサンプル品だが…)が手元にある状態で接客できるので、これまでの対面接客と違い状態を作り出せることです。お客様目線ではオンラインカタログをつかって説明されるよりイメージがわきやすいですし、営業目線では営業効率も高まることでしょう。
課題になりそうなのはサンプル品の在庫を抱えることと配送と返送コストです。ここは式場ごとに具体的な数字を計算してみないとメリットとコストのどちらが大きいのかわかりませんが、事例もありますので実施ハードルはそこまで高くはないとは思います。
方法③:アプリなどを使いをスマホやPC上で実際と近い状態を作り出す
これは一番実現ハードルが高いですが、アプリ内で試着や会場装飾などをバーチャルにできるようになるアプリを開発し、そこで商品発注まで完了してしまおうという内容です。
- 対象商品:会場装花、衣裳、衣裳小物
- フロー:アプリインストール→試着・装飾シミュレーション→サポート・相談→打合せ実施(Zoomなどを使って)
この場合の打合せは商品を1から説明するというよりは、決めたものの確認という位置づけになると思います。
リアルなアイテムの接客オンライン化についてまとめ
ということで、単純にオンライン化すればいいよね!というだけでは進まなさそうなアイテムの打合せについての考えをまとめました。この記事を書いている時点では緊急事態宣言延長か、とも言われておりまだ先行きは不透明ですが、たぶんもう完全に元の世界に戻ることはないと思うので何ができるか仮説ベースでも考えていこうと思います。