更新日 2021年10月17日

スマ婚の特徴とは?ビジネスモデルを図解してみた

155_スマ婚のビジネスモデル図解

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

事業のビジネスモデルを理解することは、その事業やサービスがなぜつくられたのか、どんなことを強みとしているのかを体系的に理解でき、事業開発や個人の知識習得でとても勉強になります。ブライダル業界の中でも様々な特徴的なサービスがあり、その仕組みや違いを知ることで見えてくることも多いと思います。

今回は「日本中の結婚式を安く、美しく。格安結婚式を全面プロデュース」するスマ婚のビジネスモデルを図解してみました。

 

スマ婚とは?

株式会社タメニーが運営する、一流の結婚式場で格安の挙式・披露宴ができるプロデュースサービスです。もともとは株式会社メイションが運営していましたが、2019年にタメニー(旧パートナーエージェント)が買収し、今に至ります。

これまでの高額なオプション商品をたくさんつけて高単価になりがちだった挙式披露宴スタイルから、必要なものだけを適正価格で提供するスマートな結婚式を実現することで、費用が理由で結婚式をあきらめていた人にも結婚式を挙げられるようになりました。

sumakon
Webサイト https://smakon.jp/
運営会社 株式会社タメニー

では、このサービスのビジネスモデルを図解してみます。

 

スマ婚のビジネスモデル

スマ婚のビジネスモデル図解
2009年の最初のスマ婚ショールームオープンから、圧倒的な低価格と、タレントのベッキーを起用したCMや「Oh Happy Wedding!」のCMなどで人気に火が付き、今でも低価格系のウェディングプロデュースサービスの中では最大手といってもいい有名なサービスです。

結婚式の一般的な流れはまず契約をしてから具体的な内容の打合せをします。そして打合せの中で、今までの結婚式は「一生に一度のことだから」と次々と高額なオプションを勧められて費用が高騰していくことがほとんどです。

初期見積りからの単価アップ率やオプションアイテムの受注率などを評価指標に取り入れている会社もあるので、ブライダル業界で働く方にとってはむしろ当たり前と感じることも多いでしょう。ただこの方法が当たり前だったが故に、想定外に予算が上がって希望の内容ができなかった、そういう話をよく聞くので予算が怖くて結婚式を諦めた、というカップルが多かったのも事実です。

そこでスマ婚は、①自社で結婚式場を持たずにプロデュースのみを行う、②特定のアイテム業者と提携せず業者間の自由競争を促す、という2つのスタイルで余分なコストを徹底的に排除し、これまでよりはるかに低価格で結婚式を提供することを実現しました。

また、単に安いだけではなく、ホテルやゲストハウスなどの一流の結婚式場を提供が可能であり、さらに20,000着以上40ブランド以上の中からドレスや和装を選ぶことができるなど内容にもこだわっているので、クオリティはそのままに費用だけを抑えた結婚式を実現したのです。

日本の平均所得の落ちていきているという背景もあり、「経済的な理由で結婚式を挙げられない」というカップルは増えてきており、なし婚層増加の大きな原因となってきています。結婚式にあこがれもあるし挙げたいけど結婚後の生活も大事だからお金はそんなに出せない、そんなカップルにとって、結婚式をあきらめなくてよかったと思えるようなサービスです。

ちなみに、2010年代前半のころのスマ婚ブランドはもっと尖っていた(既存のブライダル業界のことをディスりまくってた)のですが、後半に入ってからはサイトのトーンも、メッセージングもだいぶ柔らかくなってきている感じがします(笑)。

 

今後の展開の予想

最後に、これから先にスマ婚がどのようになっていくのかについて予想してみます。

これから先の結婚式ニーズは年々縮小していきますが(参考記事)、費用に関する考え方は二極化していくのではないかと思います。高単価でもいいからこだわりたい層ととにかく低価格に挙げたい層です。なので、大きく今からマーケットシュリンクのあおりを受けるということはないかなと思います。

プロデュース事業

スマ婚はウェディングプロデュース事業で、お客様からの代金をすべてスマ婚でもらい、利用した会場やアイテム業者にその分の料金を支払う、というスキームです。そのため、

  • 売上=施行組数×組単価
  • 施行組数=集客数×成約率
  • 利益=売上-原価(会場や業者への支払い)

となるので、売上を伸ばすためには施行組数を増やすか、組単価を上げることが必要、施行組数を伸ばすためには集客数か成約率を伸ばすことが必要です。さらに、利益を伸ばすなら会場への支払いを以下に抑えるか、提携業者と有利な契約を結べるか、がカギになりそうです。

組単価は低価格を強みにしているのでそこまで高くしていくことはないでしょう(サービスコンセプトと反しますし)。また、成約率はある程度成長してきた現在からさらに伸ばすのは難しいと思うので、現実的には「集客数をどこまで伸ばせるか」「原価率をどこまで押さえることができるのか(販促費かもしれませんが)」この2点がポイントになると思います。

スマ婚はプロデュースサービスなのでゼクシィには出稿できないはずですので、基本的なユーザー獲得導線は

  • WEB上で集客→サイト来訪→来店予約/資料請求/LINE@登録→来店→成約

となっているはずです。

WEBでの主な集客手法は

  • マス広告→指名検索を増やす
  • SEO→流入を増やす
  • ウェブ広告(リスティングやSNS広告)→CVを獲得する
  • SNS運用→ファンを増やす→流入を増やす
  • 記事広告など→認知を広げる

サービス開始からこれまでの間に一通り対策してきていると思います。マス広告は2010年代前半にTVCMを売ってましたし、LIGの記事広告も殿堂入りしていますね。また、2016年末から開始されているmarrialは記事メディアとしてかなりのコンテンツ量になっていて、

  • 低価格系の予算ワードはスマ婚本体のサイトで(https://smakon.jp/)
  • 結婚式に関わるテールワードの対策はメディアのmarrialで(https://smakon.jp/marrial/)

と分けて対策していると思います。こういったサイト構成の場合、メディアで集客したユーザーをどうやって自社サービスのCVまで持っていくかがけっこうキモになるのですが、現状では固定フッターをPC/SPにつけている+バナーちらほら程度で、SNSも力を入れているわけではなさそうなので、このあたりの改善とコンテンツの量産が直近の打ち手になるかと思います。

それと合わせて、サービス開始時と比べて〇〇婚とつくサービスがやたら増えているので、単に安い!だけではなく他の〇〇婚系サービスとは異なるブランディングもしていけると、またもうひと伸びするんじゃないかなと思います。

サブブランド展開

メインであるスマ婚に加え、

  • スマ婚少人数挙式
  • マイクロウェディング
  • スマ婚会費制パーティ
  • スマ婚二次会

と、ニーズに対応するように複数サービスを展開しています。これは、どんなスタイルにも対応するスマ婚、よりも特定のニーズの専門サービスという見せ方をした方がマーケティング観点でのメリットがあるからだと思います。

とはいえ、あまりに細分化しすぎると組織運営上の非効率さというデメリットも出てきますから、最適なバランスが難しいところですが、この方針でしばらく続けていくんじゃないかなと思います。

 

スマ婚のビジネスモデルについてまとめ

スマ婚のビジネスモデルについて、簡単にまとめました。今後どのような事業成長を目指しているのかは私にはわかりませんが、サービスリリース当時と比べるといい意味でも悪い意味でも落ち着いてきている感じがします。このまま現状維持で進めていくのか、新たにインパクトのある仕掛けをしてくるのか、今後が楽しみです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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