更新日 2023年08月16日

ご祝儀3万円は高すぎる?もしもご祝儀が一万円になったら

0996_ご祝儀3万円は高すぎる?もしもご祝儀が一万円になったら

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

結婚式の今のご祝儀3万円文化はいつまで続くんだろうねっていう話です。

 

結婚式のご祝儀について

Twitetrの結婚式トピック見てると定期で流れてくる「ご祝儀 3万円」に関するツイート。

▼トピック「結婚式」
https://twitter.com/i/topics/847896684638097408

何かしらの理由で定期的に燃えるので、ご祝儀に関してはよくたたかれているなぁと思います。Instagramは知りませんけどたぶんあんまり見かけない気がします。

北海道など一部の地域を除き、「結婚式に列席したらご祝儀は3万円」がスタンダートになって久しいですが、個人的にはそろそろこの前提は厳しくなっていくんじゃないかなと思っています。

ということで今回はご祝儀文化について考えてみます。

 

歴史を振り返ってみよう

諸説あるものの、ご祝儀3万円は1980年代~1990年代から定着したと言われています。情報ソースたくさんありすぎるので興味ある方は調べてみてください。

で、この文化が定着してからの30年間で起こったことを思い返してみると

  • 所得の減少
  • 税率、社会保険料率の増加=手取り額の減少
  • 生涯未婚率の上昇&披露宴実施率の低下

などがあります。

ちゃんとした統計データをすべて見たわけではないのですが、これらの変化からご祝儀の絶対額こそ変わっていないものの、ゲストの経済的な負担が高まってきていると考えられます。

  • 手取り50万円のAさんがご祝儀3万円を払う
  • 手取り25万円のBさんがご祝儀3万円を払う

支払っている金額は同じでも、AさんよりBさんの方が経済的負担は相対的に大きいよね?っていうこと。

で、日本経済をマクロで捉えると特に若者層ではBさん寄りの人が増えているから、ゲストの金銭的な負担は目に見えないところで増えているはず。

また、結婚する人も結婚式を挙げる人の割合も減少しているので、ご祝儀を渡す機会はあっても回収する機会がない=支払いっぱなしの人も増えており、これも心理的な負担を高くする一因になってきていると思います。

なので、昔なら「高校卒業以来だしさほど関わりもなかったけどまぁみんなに会うのも久しぶりだし3万円くらいなら」となっていたのが、「本当に心からお祝いしたい人以外で3万円も払うのは嫌だな」となっている人が増えてきているんじゃないかなと。

こうした背景から、そろそろ「ご祝儀=3万円」の業界の常識を疑う必要が出てきたんじゃないかなと思うわけです。

 

ご祝儀文化はいつまで続くのか?

・結婚式が富裕層の娯楽になる日(2020/3/12配信)
https://note.com/bridalchiebukuro/n/n13c6f5cd3042

もう2年半前に書いたメルマガですが、少しずつ現実になってきているなと最近思います。コロナ前に書いた記事ですが、最近の増税や社会保険負担増もあり、より加速してきた感はありますね。

上記のメルマガでも書いている通り、今の常識や方向性が変わることなく時間が経っていくと、たぶん結婚式は富裕層しか上げられないものになると思うんです。

例えが難しいですが、

  • 都内のタワマンは富裕層しか買えない
  • 専門式場での結婚式は富裕層しか挙げられない

2030年くらいにはたぶんこんな感じになりそう。

家を買おうと思えばまぁいろいろあるけど、タワマンは経済的に無理。結婚式も挙げようと思えば選択肢はいろいろあるけど、高額な専門式場は経済的に無理。こんなイメージ。

で、その理由はこんな流れ。

  • 披露宴実施率が50%を切ると挙げない人がマジョリティになる
  • そうなると将来挙げる見込みがない人は(本当に仲いい人を除き)ご祝儀払いたくない
  • その結果、ゲスト人数が減少する
  • 既存モデルの会場は単価減で経営が成り立たなくなる
  • なので、富裕層にターゲットを寄せる
  • レッドオーシャン化が加速

悲観的過ぎると言われればそうかもしれないですが、じわじわとそうなりつつあるなとは感じます。

これまでの低価格系プロデュースはスマ婚や楽婚、会費婚など「ご祝儀または会費+α」で挙げられますという、新郎新婦の自己負担額が小さいことに訴求したサービスが多かったですが、今後のサービス企画ではゲストの経済的な負担まで考えてコスパ設計することが求められそうです。

 

もしもご祝儀が1万円になったら

勘ですが、たぶんご祝儀1万円くらいなら今後の経済状況を考えても、ある程度気持ちよく出せる範囲じゃないかなと思うんですよね。まぁ実際にそんな日が来るのかはわかりませんけども。

新郎新婦の自己負担は今と変わらずゲストのご祝儀が1万円になるという変化が起こるので、そうすると組単価は今より150万円~200万円くらい下がることになるはずです。

オンライン列席なら1万円でも可能では?とも考えられますが、オンライン列席も一部は浸透した感はあるものの、それがマジョリティにならないことはもう決着がついたと見ていいでしょう。

そうすると、やっぱり今の固定費の大きいモデルの結婚式場ではもし1万円になったら経営が耐えられないだろうなぁと思います。なので媒体を含めて事業者側からこのムーブが起こることはなさそう。一時的に集客はできるかもだけど、後々に自分たちの首を絞める可能性の方が大きい。

原価構造的に考えても、もし1万円を前提とするのであれば

  • 料理はケータリング
  • 飲料はカクヤス
  • 会場は自社で持たずに都度借りる(1日借りて~20万円くらいのところ)
  • ドレスはメルカリ
  • 引出物は無し
  • 招待状は無し、ウェブで完結
  • 写真、映像はオプション

とかにしないと厳しそうで、やはり今の結婚式とは全く別物になりそうです。

もう1つ発想としてあるとすれば、3万円のご祝儀を一度払ってもらってその後に何かしらの方法で2万円分を還元するというフロー。

協賛型ウェディングみたいな形態で、協賛金の総額を列席ゲストで分配するとか、結婚式以外の利益の一部をゲストに還元するとか、列席ゲスト向けのCRMに同意する人に外部企業からの売上を還元するとか…。

ここまで行くとそもそも結婚式とは何なのか?みたいな哲学的な問いに沼りそうなので、今回はいったんここまでということで。

言うは易し行うは難し。

企画を考える時点でこんだけ難しいんだから、実行するとなるともって色々大変なんだろうな…。

 

今回のまとめ

だらだらTwitter眺めてたらご祝儀ネタをよく見かけたのでノリで書き始めたものの、考え始めると思っていた以上に「ご祝儀3万円」を前提とした商慣習でガチガチに固められていた、それを覆すのは大変そうだなと思いました。

今回の記事を書いてみて改めて思いましたが、ブライダル事業関連リソース(ヒト、モノ、情報)を活用して結婚式以外でどのようにマネタイズするかがこれからはより重要課題になっていきそうです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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