更新日 2021年10月19日

トキハナ(旧:Choole)の特徴とは?ビジネスモデルを図解してみた

164_トキハナのビジネスモデル図解

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

事業のビジネスモデルを理解することは、その事業やサービスがなぜつくられたのか、どんなことを強みとしているのかを体系的に理解でき、事業開発や個人の知識習得でとても勉強になります。ブライダル業界の中でも様々な特徴的なサービスがあり、その仕組みや違いを知ることで見えてくることも多いと思います。

今回はのトキハナ(旧:Choole)のビジネスモデルを図解してみました。※2020年4月30日にChooleからトキハナにリブランドしました。

 

トキハナ(旧:Choole)とは?

株式会社リクシィが運営する、自分たちの費用が見学前にわかる、結婚式場の見学予約サイトです。持込可能な式場数はNo.1(自社調べ)。費用は最低価格保証で即決などの制限なし。ベストな条件で安心出来る式場だけを厳選して紹介してくれます。

特に持込み自由であることとLINEで気軽に相談できることなどが人気のサービスです。

tokihana
Webサイト https://tokihana.net/
運営会社 株式会社リクシィ

では、このサービスのビジネスモデルを図解してみます。

 

トキハナのビジネスモデル

トキハナ

gensen weddingを運営するリクシィが手掛けるサービス第二段。業界の暗黙の了解ともいえる結婚式場と特定アイテム業者の提携を自由化することをコンセプトにし、サービスリリース以降、掲載結婚式場やアイテムブランドを伸ばしてきています。

結婚式までの一般的な流れは、まず結婚式場に申し込み、それから具体的な内容の打合せを開始します。打合せの時にドレスや装花、引出物、写真などを細かく決めていくのですが、その際はその結婚式場と提携している業者の商品からしか選ぶことができず、もしそれ以外から選ぶと持込料を取られてしまうことがほとんどです。

一方ユーザー側のトレンドとしては、結婚式への価値観の多様化や費用の問題で、これまでの画一的な結婚式にはやる意味を見出せない人が増えてきており、結婚式を挙げるなら自分たちらしい結婚式にしたいというニーズが増えてきています。

そのため、これまでの「結婚式場が提携するアイテムから選ばなければいけない」という点に疑問を持つ人が増え、最近ではInstagramなどで自分の好きなものを見つけて、結婚式場に持込みを交渉する人も増えてきているようです。

そこでトキハナでは、持込み可能な厳選式場だけを紹介し、適正価格で好きなアイテムを用いた結婚式の実現をサポートしています。このサービスによって、ユーザーの価値観の多様化や費用の問題を解消し、結婚式自体を増やすことを目指しています。

トキハナを利用する際の流れは、まずサイト内のマイページで自分の気に入ったアイテムや式場を探すことができ、次にLINEやチャット、メールで試着・見学をし(この点もユーザーは手軽で便利)、実際に見学や試着後に申し込み、となります。

これによって、アイテム選びが自由になるだけでなく申し込み前にある程度のアイテム構成がクリアになることから「申し込み後に見積り100万円上がる問題」も同時に解決することができます。

 

今後の展開の予想

サービスの利用フローが一般的な媒体やカウンターと異なりますが、結婚式場やアイテム業者に送客し、発注や申込が発生すると成功報酬として売上が立つ、というモデルだと思います。CVポイントが試着や見学予約なのか申込なのかはわかりませんが、とすると、

  • 売上=成約数×成功報酬料率
  • 成約数=サイト登録者数×サイト内CVR

そのため、売上を伸ばしていくためには、

  • サイト登録者数を増やすためのメディアパワーの向上が必要
  • サイト内で登録や予約を促すために高いユーザビリティの実現が必要
  • 掲載会場やアイテムを増やすための法人営業力が必要

となるはずです。

まずメディアパワーを増やすためには、SEO、SNS、広告運用の最適化などの手段を徹底的に突き詰めていくのが基本戦術となりますが、

  • SEOは、サイトコンテンツ量は提携先が増えてくれば自然とかなり増えてくるはずなので、ECサイトのようにサイトの内部設計が重要になります。特にウェディングドレスなどアイテム系のキーワードは検索ボリュームが大きいですから、/itemsのディレクトリ以下の構成をきちんと設計し、アイテム系テールワードでセッション取れるようになるとかなり強くなれるのでは?と思います。また、MAGAZINE(/articleのディレクトリ)にも力を入れているようなので、ここの成果もキーになるでしょうか。
  • ウェブ広告は、リスティングはたまに見かける程度で、他は分かりません。一般的なブライダルフェアや地域+結婚式場などの競合性の高いKWを避け、サービスコンセプトに合致するKWに絞って運用しているものと思います。
  • SNSはFacebook、Instagramのアカウントがあり、Instagramに特に力を入れているようです。すでに数万人のフォロワーがおり、今後さらにどこまで伸ばせるか、卒花とのコネクションを活かしていければ、といったところでしょうか。

このような点がポイントにとなると思います。これまでのサービスとユーザー側のフローが大きく違う上に、ユーザー側からは見えにくい(パッと見で理解されにくい)ところが特徴のサービスなので、ブランド認知されるまでは地道に取り組みを続けていくことが必要になりそうです。

ただ、特にSEOは後述する法人営業で提携先が増えてくれば並行して伸びる仕組みになっていると思うので、そこもポイントになると思います。

最後に、法人営業についてですが、簡単に行ってしまえばメディアパワーは強くなれば増えてくるはずです。「提携してくれれば月間10組来館増えますよ」と言えれば強いですよねって言う話です。

普通に考えると結婚式場側からするとこれまでの取引モデルを根底から変えなければいけないのでアレルギーは大きいはずです。現時点で掲載されている会場を見ると、クリエイティブ系のプロデュースサービスでよく使われている会場が多いのはそういった理由からでしょう。

大手系の会社を攻めていないのか攻めにくいのかまでは分からないですが、今後ホテルや大手系ゲストハウスなどが載ってくるようになると選び方の多様性も上がるので、より強くなりますね。

これから先どのくらいのスピードの事業展開を想定しているのか、どのようなエリア進出をしていくか次第ですが、業界の構造的な課題を経穴できるサービスだと思いますので、今後が楽しみです。

 

トキハナのビジネスモデルについてまとめ

結婚式場と提携するアイテム業者の関係が変わると、各企業の利益構造も大きく変わりますし、アレルギー反応を示す企業も多いのではないかと思います。

ただ、ブライダル業界全体で見るとジリ貧になってきていますし、構造的な課題はいつか誰かが解決に向けて動かなければいけないとも覆います。今後はどんなことを仕掛けてくるのか、業界全体にどんなインパクトをもたらしてくれるのか楽しみです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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