アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
マニアの思想が先鋭化しすぎるのはよくないよねっての話。
すべてのジャンルはマニアが潰す
これは2012年にブシロードが新日本プロレスを買収したときの発言で、一部の熱狂的なファンの要望を受け入れ続けると、新規ユーザーが入りづらくなり、その結果ジャンルは衰退してしまう、ということを指摘したものです。
▼詳しくはこちら(外部サイト)
https://president.jp/articles/-/57128?page=1
リアタイで知っていたわけではないのですが、その後に何度かこの発言の引用を目にすることがあり、なんとなく頭の中に残っていた言葉でした。
確かに、日々インターネットをパトロールしているとマニアによる悪行や行き過ぎた要求などを目にする機会も少なくないなと感じます。
またそこまではいかなくても、例えば、
- ラーメンマニアがいそうなラーメン二郎は入りにくい
- 筋トレマニアがいそうなGOLD GYMは問合せにくい
- コスメマニアがいるからSNSでは気軽に質問しにくい
など、マニアの存在が結果的に初心者の敷居を上げてしまっていることもありそうです。
もちろん、すべてのマニア=悪という話ではないのですが、その道に詳しいがゆえに素人や自分とは異なる考え方・哲学を持つ人に対して攻撃的になることは少なくないんじゃないかなと思います。
さて、もうお気づきだと思いますが、じゃあブライダル業界はどうなんだ?っていうのが今回のテーマです。書くのが怖いですね~。
結婚式マニアはいるのか?
結婚式だと顧客サイドがマニアになることはほぼないんじゃないかなと思います。
ドレスマニアやアクセサリーマニアなどコンテンツ単位ならいるかもしれませんが、結婚式となると
- 1人が何度も挙げることはない
- ゲストとしても自らの意思で参加できるものではない
という理由からマニアになることは難しそうです。
神田うのさんくらいじゃないですかね。
https://mantan-web.jp/article/20110121dog00m200016000c.html
一方、提供者サイドはマニア化しやすいと言えます。
仕事として結婚式づくりに日々取り組みずっと向き合っているわけですから、必然的に誰よりも結婚式に詳しくなるからですね。
これまでの歴史から最新のトレンドまでを幅広く網羅し、その中で顧客ごとの顕在/潜在的なニーズに最適なアイディアを提案し形にしていく。結婚式づくりの仕事においてその知識や経験を積み重ねていき、いい意味でマニアになることは重要なことだと思います。
しかし、それが行き過ぎてしまって「詳しいのは自分であり(顧客に寄り添っていると自負しているものの)自分の提案こそ正しい」までなってしまうと、商品やサービスを受ける側の気持ちを忘れてしまって、提供する側が自己満足に陥っているんじゃないかなと思うんです。
悪い結婚式って何?
どこでだったか忘れたんですけど、こないだ「最近の結婚式にはいい結婚式と悪い結婚式がある」という話を見かけたんですよ。
具体的に何が悪い結婚式なのかまではわかりませんでしたが、これを聞いたときにマニア化の始まりだと感じたんですよね。
あくまで推測ではあるものの、悪いの根拠が提供コンテンツやサービスのクオリティが低いことであれば、それは改善しなければいけないこととして異論はありません。
しかし、スタイルやコンセプトなど結婚式の抽象的な概念が自分の考えと異なることを悪いとしているのであれば、それは違うんじゃないかなと。未だに金太郎飴みたいなテンプレートな進行の結婚式してるなんて!みたいなやつね。
自分の中にこの仕事に対するプライド・正義があり、こうあるべきという理想がある。ここまではいい。
でもそれ以外は悪で改善しなければいけない対象であり、業界全体がそうならなければいけないまで思考が歪んでしまうといきすぎだと思います。
これは僕のポリシーですけど、商品・サービスの良しあしは全て顧客が決めるものと考えています。
もし本当に「悪い結婚式」なるものがあるならそれは顧客が判断するものであり提供者サイドで判断することではない。ましてや同業者が他社の結婚式を指してあれは悪だなどと言うものでもない。
顧客が悪と判断したものはいずれは必ず淘汰されていくし、悪いことを偽って販売していたらそれは詐欺です。
ある提供者側が他事業者が提供する商品・サービスを悪いと思っていたとしても、それを求める顧客がいるってことはその顧客にとっては悪ではないわけです。
なのでまとめると、提供者サイドが結婚式マニアになりすぎることによって、
- 顧客目線より自分目線が無自覚のうちに優先されている状態になってしまうこと
- 自分以外の考え方やスタイルに対して排他的な思考になってしまうこと
こういう人が増えてしまうと、いずれ業界をつぶしていくんだろうなと思います。
結婚式はこうあるべき論を事業者側が(攻撃的に)発信し過ぎると、顧客にとってもハードルがどんどん高くなっていきますからね。
「いいマニア」になることが重要かなと。
理解と共感の話
最後にちょっとだけ余談。
ここまでつらつらと書いてきましたが、実際のところブライダル業界従事者の多くは知識、スキル、経験値不足なのでそもそもマニアの域に達してもいないでしょう。
ただ、InstagramやTwitterなどのSNS、コミュニティなどで結婚式マニアの人たちの発信を目にする機会は増えてきており、業界初心者やこれから目指している人はその情報をどう受け取るかは今後より大事になっていきそうだと感じています。
このブログも情報源の1つかもしれません。
さて、そういった情報に触れた時の受け取り方で大切なポイントは2つあると思っていて、それは理解と共感です。
- ①理解して共感している
- ②理解していないが共感している
- ③理解しているが共感していない
- ④理解していないし共感もしていない
最も理想は言うまでもなく①。
逆に最も危険なのは②理解せずに共感している人です。
これまでの結婚式は会場は違えどだいたい同じようなものだったと思うんですよ、それがいいか悪いかはおいといて。
しかしこれからは様々なスタイルが求められるようになるし受け入れられるようになるので、提供者サイドも様々な流派というか考え方が増えていくと思うんですよね。だからいろんな意見も出てくるだろうし、デバイスやアプリのインフラが発展したことで目にする機会も増える。
だから、よくわかんないけど耳障りのいいこと言ってるから共感!みたいなのを繰り返していくと思想が先鋭化しやすく、今回でいう「よくない結婚式マニア」になってしまいやすいと思うんです。
共感するなら理解する、理解できないなら共感しない、こんな心構えを持っているといいのかなと思います。
ちなみに、いつもこのブログを書くときの心構えとしては、共感されようとされまいとどっちでも構わないけど、理解はしてもらいたいなと思ってますね。
今回のまとめ
僕はブライダル業界マニアではあると思いますが、結婚式マニアではありません。
それもあってそこそこの頻度で「現場も知らないくせに偉そうに」と言われるんですけど、現場を知り尽くした結婚式マニアだけが喜ぶものになっても意味ないよねと思うので好き勝手に書かせてもらいました。