更新日 2020年06月25日

2020年12月期第一四半期のワタベウェディングの決算について考察してみた

2020年12月期第1四半期のワタベウェディング決算

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

企業のIR情報を見て会社の状況や方針を理解できるのは、社会人としての重要なスキルの1つです。そこで、今回の記事では、ワタベウェディングの2020年12月期第1四半期の決算説明資料をもとに、その内容について考察してみようと思います。(注)本記事の内容はあくまで個人的な見解であり、投資向けに書いているわけではありません。この記事の内容をご覧になられて投資判断をされても一切の責任を負えませんのでご了承ください。

 

今回の決算の概要

元となるワタベウェディングの2020年12月期第1四半期の決算説明資料は下記URLで見ることができます。

https://www.watabe-wedding.co.jp/library/pdf/corporate/ir/20200501_n1q.pdf

決算概要

1_決算概要

数字がたくさんあるのでざっと見るべきポイントをまとめると

  • 売上高:前年同期比18億円ダウン
  • 売上総利益:前年同期比14億円ダウン
  • 営業利益:前年同期比7億円ダウン
  • 当期純利益:前年同期比20億円ダウン

となります。コロナウイルスの渡航禁止の影響をモロに受けている状態ですね。ただ2Q(4月―6月)の方が影響大きそうですが…。

セグメント別業績の概要

2_セグメント別業績

セグメント別にはこの通りですが、

  • 海外も渡航禁止
  • ホテルや観光業もダメ

となっていて、どのセグメントも厳しい状態です。前期(2019年度の決算)では売上が伸びてきて経営状態も改善して来ていたタイミングなので、外的環境の変化が原因とはいえかなり厳しい状態が続きそうです。

 

リゾート部門の重点施策

3_リゾートウェディング事業の重点施策

コロナウイルス対策に、というよりはこれまでの基本成長戦略にのっとった重点施策を継続して取り組んでいくという内容です。

正直な話、国家レベルの話で企業がどうしたところで海外渡航についてどうなることはないと思うので、リゾートウェディング領域ではトップシェアの企業として、奇をてらった施策を次々と打っていくよりも、基礎となる商品力強化施策と販売チャネル強化で足元を固め、成長戦略の各施策で伸ばしていくという思想なのなのかなと思います。

 

ホテル・国内挙式部門の重点施策

4_国内事業、ホテル事業

実は海外リゾートと同じく観光業も大きな打撃を受けていて、各施設の宿泊部門や宴会部門の予約、受注の多くはキャンセルになっていると思います。

今回のリリースでは具体的な対応策などは書かれていませんでしたが、こちらも外部環境の影響が大きい年度となりそうです。

 

それ以外の事業トピックス

けっこうたくさんあったのですが、過去にこのブログでも取り上げていたり、全部取り上げていると長くなるのでざっとコンテンツ概要と気になるところはコメントを書きます。詳細を知りたい方は冒頭のリンクからご確認ください。

  • 主力エリアのチャペル内観リニューアル及びガーデン会場新設 『コオリナ アクア・マリーナ』2020年2月運営開始
  • トレンドを取り入れた3スタイルを提案し沖縄エリアでの競争力向上へ寄与 『アクアグレイス・チャペル』2020年1月リニューアル
  • グアム・恋人岬からの絶景を独占する白亜の完全独立型チャペル 『オーシャンクリフ チャペル』2020年7月オープン
  • ハワイ・オーストラリアにて人気のガーデン会場を2020年1月運営開始
  • 有名アイコンやブランドとコラボし、新規客層へアプローチ 『WATABEWEDDINGloves Barbie 』『BEAMS DESIGN』『ELLE MARIAGE』を展開
  • リゾートの特性を考慮し、衣裳の美しさと快適さの両立を実現 衣裳新ブランド「Resoll Collection(リソルコレクション)」発表
  • 主要エリアの全ムービー商品をプロペラUSAにて監修 2020年1月より取扱い開始し付帯率の向上及び売上に貢献
  • 旅行会社のノウハウを活かしシナジー効果による旅行事業の強化 ワタベウェディング専用旅行商品を取扱い開始し付帯率向上を実現
  • 店舗と同じ高品質な接客サービスをオンラインで提供 オンライン相談サービス「リゾ婚オンラインカウンター」
  • 拡大するEC市場に対応 EC販売チャネルを強化し、さらなる収益向上を目指す
  • 自社WEBメディアを強化し、広告の販売など新たな収益確保へつなげる 当社のさらなる顧客獲得・ブランド認知向上に寄与
  • 当社のさらなるブランド訴求と新規顧客獲得を目指し地域性や商品価値に適した店舗づくりを実施
  • 『ワタベウェディング 京都フォトスタジオ』オープン ワタベウェディング 東京・目黒フォトスタジオ』リニューアルオープン
  • こだわりのウェディングフォトが叶うフォト専用WEBサイト「Ushers-photo(アッシャーズ・フォト)」オープン
  • 「働き方」と「キャリア形成」の多様化を図る新人事制度の導入により「働きがいのある会社」目指す
  • 持続可能な社会達成を目指し、 関連する取り組みを実施
  • グループ会社の間接部門業務を集約 管理業務のプラットフォーム化を図り資源の有効活用へ繋げる
  • CRMの仕組みを構築し、集客率UP及び顧客利便性の向上を狙う
  • 世界的なラグジュアリー・ツーリズム・コンソーシアム 『Traveller Made®(トラベラーメイド)』へ2019年9月加盟
  • 日本の伝統工芸を織り交ぜたデザインへ変更 和室の客室を2019年7月リニューアル完了
  • 多様化するフォトニーズに対応する複合型スタジオ ホテルメルパルク10施設のフォト事業をワタベウェディングが運営

 

2020年12月期の業績予想

5_業績予測

予想通りと言えば予想通りですが現時点では未定のようです。いつ渡航制限が解除されるのか、サービスとしてリゾ婚が成り立つのかの見通しが立つまでは予測も難しそうです。沖縄とかに振り替え需要が増えるのかなぁとは思いますが…。

ちなみに、期初時点では次のような予測でした。

ワタベウェディングの2019年度の翌期の連結業績予想

 

ワタベウェディングの2020年12月度第1四半期決算についてまとめ

ほんとに簡単にですが、決算説明資料をもとに考察を書いてみました。ブライダルの現場で働いていると企業のIR情報を見ることはほとんどないとは思いますが、他の会社でどんなことをやっているのか、起こっているか、ブライダルマーケット全体をどのように捉えて動いているのかなどがわかると意外と楽しいと思うので、この記事をきっかけにIR資料も見るきっかけになってくれればうれしいです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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