アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
結婚式場集客におけるウェブマーケティングの重要性は増してきており、その担当者をどのように採用、育成していくかが課題になってきています、という話。
目次
ブライダル企業でウェブマーケターの重要性は高まっている
- WEBマーケターはこれからのブライダル企業には必要
- でも採用するのは難しい
- 定着するのはもっと難しい
ブライダル業界に限らず企業のマーケティング活動においてウェブ施策の重要性は高まってきており、社内に必要な人材だが採用・定着が難しい、という会社が多いと思っています。
これはブライダル媒体集客効率の低下、ウェディングスタイル・チャネルの多様化、などが背景で、ブライダルもWEBに取り組んでいると勝てた業界から、WEBをやっていないと負ける業界に変化していると言えます。
ただ現状ではまだウェブマーケ専門家を採用せず(できず)、プランナー卒業生がウェブを担っている企業も少なくないでしょう。それだけだとまぁ厳しいよねって思うわけです。
そこで今回は、ブライダル活躍できるウェブマーケターをどうやったら増やせるかについて、何がハードルになって、それをどうやって突破するかを考えていきます。
ウェブマーケティングの特性
- リスティングやInstagramなどの広告運用
- SEO
- SNS
- サイト改善
- CRM
- Youtube
など、一言でウェブマーケと言っても施策は多岐にわたります。この数ある施策の中から優先度を決めて高速に企画実行し成果を出していくことが求められます。
企業がウェブマーケに取り組んでいくときのポイントとして、「力量問わず担当者の人数を揃えるよりも、1人でいいからウェブを理解している人がいることの方が極めて重要である」ことが挙げられます。ウェブマーケ未経験者が10人集まったチームよりも、バリバリのウェブマーケプレーヤー1人の方がパフォーマンス高いことが多いよねってことです。
例えるなら、完全英語圏に旅行に行くときに全員英語が分からない10人組で行くよりも、ネイティブ並みの話せる友達が1人いる方が現地で楽しみやすいよね、っていうのに近いかもしれません。
この理由は、ウェブマーケは最初のアドテクなどの構造理解が一番難しく、基礎を覚えた後の具体的なツールや運用内容はネットで調べやすいからです。なので、全体像を未経験者が独学で覚えるよりもわかっている人を1人連れてきて教えてもらう方がはるかに効率的なのです。
なので、ウェブマーケチーム1人目は「ウェブを分かってる人」が理想で、みんな未経験だけど一緒に力を合わせて考えていきましょう!のような発想でチームを作ると失敗する確率が高いと思います。
これを踏まえて、ではどうやって採用するの?って話になります。
ウェブマーケターを採用する難しさ
冒頭紹介した記事とも一部重複しますが、ウェブマーケターの獲得には3つの壁があります。
- ①採用の壁
- ②定着の壁
- ③成果の壁
①採用の壁
- そもそも優秀なウェブマーケターの人数が少ないので争奪戦になりやすい
- 他業界と比較して給与水準が低すぎる(そこそこのウェブマーケターなら年収700万くらいの求人も多い)
- ブライダルは斜陽産業だと思われている
- ウェブでできること領域が少ない(と思われがち)
普通に採用が難しいのと、プロダクトの魅力がさほど強みにならず条件も良くない、この辺りが主な理由です。
もし本気で採用したいならGreenやビズリーチ、キャリトレなどのアカウントを作って候補者を探してみるといいんじゃないかなと思います。たぶん温度感や相場観つかめると思うので。
また社内異動で未経験者でウェブマーケチームを組む場合は、どうやって効率的に成長できる環境を整えるかを徹底的に考えることが必要です(詳細は後述)。
②定着の壁
- 自分より上位役職者や経営層のウェブマーケへの理解がない
- 自分以外に集客に興味がある人がいない
- 使うお金が大きく超コストセンターに見られがちで、社内の風当たりが強い
- なんせ孤独
こんな感じかな。必死で考えて企画して実行しようと思った施策が経営層にも現場のメンバーにも誰にも理解されないストレスがやっぱり大きいと思います。僕も以前はそうだったし。こういう状況が続くと辞めたくなります。
なので、ウェブマーケのメンバーが何を目的にどんな仕事をしていて、どのような状態を目指しているのかをきちんと社内メンバーに理解してもらうことが必要になります。まぁでも一番はやはり、経営層が理解することだと思いますけどね。
③成果の壁
- 成果基準が明確に定められてない
- KPI改善したとしてもそもそも評価者がKPIを理解していないので評価されない
- 成果が出るまでの時間軸を理解していない
- 施策の質と量が低い
取り組んでいるけど成果が出ない、こんな理由が多いかなぁ。4つ目はさておき、1~3は改善しているのにそれを把握できずにきちんとした成果が出る前に止めてしまうので結果的に最終成果まで結びつかないわけです。
ウェブマーケはブライダル媒体運用のように出稿改善→即反応のような話ではなく、複合的な施策を時間をかけて実行いくものも多い。ブランディングなんかは最たる例ですね。
なので、何が成果なのかをまず明確にすること、そして時間軸の共通認識を持つこと、これが重要になると思います。
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ここまで書いたような3つの壁を乗り越えて、ウェブに理解ある人材をまず1人確保することが僕は最善手だと思っていますが、いやいやでもそんな簡単には無理よ、ってケースもあると思います。
なので次は、自社社員をマーケターとして育成するためには何が必要?を考えていきます。
優秀なウェブマーケターになるために必要なこと
持論ですが、活躍できるウェブマーケターになるためには以下の3つのSTEPを踏んでいくことが必要です。
- 理論を理解する
- 実践する
- 成果を出す
そして、業界とメディアの経験が増えていくことでより強いマーケターに成長していきます。
ブライダル企業でマーケを担当しているのは元プランナーで異動してマーケ部になった、または役割変更で集客担当者になったというケースが多いですね。
なので、新人マーケター目線では3つの成長STEPが叶う環境に身を置くことが重要であり、経営目線ではこういった環境を整えることが重要になります。
1.理論を理解する
まず知る。ほんとに未経験の場合は本を読むのが一番早いと思います(ただし諸説あり)。ウェブマーケ関連の本は様々あるので、選ぶときのコツは次の3つ。
- できるだけ入門書を選ぶこと(マンガで分かる~とかでもOK)
- 発売日が新しい本を選ぶこと
- 同じテーマの本を複数読むこと(3冊以上推奨)
ある程度基礎理解ができて実践し始めたら、わからないことがあったら都度ネットで調べる、というのがおすすめです。
会社として用意した方がいい環境でいえば、業務に関連する書籍購入費用の補助を出す、もしくは会社でまとめて購入する、などがあります。最近のスタートアップだとほぼこの制度はある気がしますね。
2.実践する
次に手を動かす。「自転車に乗れる本」を100冊読んでもそれだけでは乗れないのと同じように、ウェブマーケも理論だけ覚えてもできるようにはなりません。ただ、手探りで始めるのは非効率すぎるので先に理論理解をしておきましょう、という感じですね。
特に管理画面の使い方や実際に広告を打つとどういう反応が得られるのかなどは回数を重ねて理解していく部分も大きいので、日予算の上限設定など事故ってはいけないポイントはきちんと押さえたうえでガンガンやっていくのがいいと思います。
あと、代理店泣かせではありますが、複数の広告代理店やウェブマーケコンサルの会社に問合せて営業してもらうのも1つの手です。提案の中でわからないことはその場でどんどん聞きましょう。10回くらい聞いたらなんとなく何を言っているかわかるようになってきますからね。
経営目線で重要なことと言えば失敗しても怒らないことかなぁ…。ウェブマーケは月1発行のゼクシィとは違って細かな調整がほぼリアルタイムで可能なので、仮説を立てることに時間をかけるよりもすぐにやって結果を見て改善する、ということをできるようにしてあげた方がいいでしょう。
3.成果を出す
先ほどと重複しますが
- 成果基準を明確に定めること
- KGIだけでなくKPIも設定すること
- 成果が出るまでの時間軸も定めること
これが大事です。やって結果が出なかったら別のやり方でやればいいので、大事なのは成果が出るまで改善を続けることだと思います。
経営側としては上記をメンバーと握った上で、自信が分からないなら細かいことに口を出さないのがいいと思います。それかマイクロマネジメントしたいなら自分も勉強するのが大事かな、と。
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ここまでをまとめます。
- ウェブマーケターの獲得は必須と言える
- 理想は外部から凄腕マーケターを採用することだが難易度も高い
- 社内で育成するなら理論→実践→成果の壁を越えられるような環境整備が大事
マーケター採用時に使える口説き文句
最後に、ウェブマーケターを採用したいと思っている企業の採用担当者の方に、選考の中でどのように自社をアピールすると効果的かを書いて終わりにします。
僕はこれまでのべ300人くらいは面接で会ってきたと思うので、その時の経験をもとに、って感じです。
●マーケター転職理由と特徴
・広告代理店経験者
事業に携わりたい、という人が多い。
広告代理店の場合、複数社(中には10社以上も)のアカウントを同時に運用する仕事なので、もっと1つの事業に深く関わりたいという理由で転職を希望する人が多かったかなぁ。
担当経験のある媒体(Google、Yahoo!、Facebook/Instagram、など)に対して深い知識と運用経験があるけど、マニアックなDSPしか経験ないとかだとブライダル業界では活きないので、どの媒体のスペシャリストなのかは必ず面接で確認しましょう。
また、運用担当者のみの職場など単一職種の職場経験が長いと他部門とのコミュニケーション力に難がある場合もあるのでそこも確認するといい。
あと、比較的大きめの代理店だと営業と運用が分業で分かれていることがあるので、営業しか経験していない人を採用しないように注意。営業だけに喋りはうまいんですが、自分では運用できない場合があります。
・事業会社マーケ経験者
チーム間のコミュニケーションなど職場環境、に悩んで転職する人が多い。
具体的には営業と仲が悪い、エンジニアやデザイナーが動いてくれない、営業出身の経営陣に理解されない、など。ちなみに僕はこのタイプw
他の理由だと、プロダクトのカテゴリや事業規模を変えてマーケターとして成長したい!という人もけっこういたかな。
他チームとの連携や事業におけるチームの一員として働いた経験があるのは強みとして活きる一方、実際の運用は全部代理店にお願いしていたのでディレクションしかやったことないです、などスキルや知識面で穴がある人も少なくはない。
なので、どちらかと言えば経験・スキル面を重点的に選考ではすり合わせできるといいのかなぁと思います。
●ブライダル企業の魅力とは?
- ウェブマーケ未開の業界なのでポテンシャル無限大
- 広告予算は多いのでやれることの範囲が広い(ただし媒体出稿比率が高いので、アロケーションどうするかは腕次第)
- 現場のプランナーや商品開発など他セクションのメンバーと深くかかわりながら仕事ができる
- (マーケは少人数組織の場合が多いので)広い裁量権を持って仕事ができる
- リアルが強い業界なので、ウェブ×リアルというキャリアにおいてレアな経験を積める
ウェブマーケターには「人の幸せな時間に携われる」的な結婚式って素敵だよねの話はあまり刺さらない気がします。いや、もちろん全くゼロではないんだけど。押すなら企業の魅力で押した方がよいと思う。
逆にマーケターがブライダルで難しいと感じるところとして次のようなことが挙げられるので、ここは伝えた方がいいかも。
- マーケで完結しないビジネスモデルなので、CVが増えても後工程のKPIが沈むと業績は伸びない
- ゆえにマーケ最適化ではなく全体最適化の視点で施策を企画実行することが求められる
- CPAが高く1CVの価値が大きいので、ECマーケ経験者などは考え方が全然違い戸惑うことが多い
- 基本的に一度キリ商材の集客なので、リピート率というKPIが存在しない
- あとギャラの話。たぶん他業界と比べて低いのでどう考えているかを誠意をもって伝える
ブライダル業界で活躍するマーケターを増やす考え方と方法についてまとめ
集客が事業ボトルネックとなるケースが増え、ブライダル企業のマーケターいない問題はこれから顕在化していくかなぁと思います。もしかしたら今の時点で課題認識している企業はちょっとだけ先進的かもしれません。
逆に従事者側でいえばブライダル業界知識×マーケティングスキルの掛け算の需要は今後高まるので、何か新しいスキルを身に着けたいという方はマーケティングはオススメです。
なんか改めて読み返すとポジショントークっぽくも読めるんですけど、けっこう本心で書いたつもりなので、少しでも参考になると嬉しいです。