※寄稿記事です。
結婚式の組単価を考える上で、コース料理単価は非常に重要です。コースランクが上がると人数分の単価アップが見込めること、利益率が高い商品であること、などから、取扱商品の中でも最重要商品として位置付けている会場も多いでしょう。ただ、具体的にどのような方法で提案したらよいのか、その考え方や方法を確立できておらず悩んでいる会場も多いのではないでしょうか?そこで、今回の記事では、コース料理単価で高単価を目指すためのポイントをまとめました。「初期見積からコース料理単価が上がりにくい」「受注単価が大きくブレる」というと悩みをお持ちのプランナー、コース料理の平均単価を上げたいというリーダー/支配人の方に参考になればうれしいです。
目次
ゲストの満足度が高い結婚式をつくるときになぜコース料理が重要なのか?
料理の満足度と結婚式後のゲスト満足度の関係性
「料理はゲストの満足度を高める最も大切なアイテム」ということはプランナーの方は誰もが理解していると思いますが、今一度、料理を通してゲストが感じ、体験する魅力を考えてみましょう。
まず、ゲストが結婚式に呼ばれたときに料理に関して楽しみにしているのは以下のようなことです。
- 列席前の結婚式当日の楽しみ:新郎新婦に会えること/久しぶりの友人に会えること/★料理★
- 披露宴直前メニュー表を見る:料理への期待が高まる
- 披露宴中、料理提供される:食材、美味しさ、盛付けが期待以上のものである
- 披露宴後:料理が美味しかったと満足度が高まる
「料理は」結婚式における1つのコンテンツではありますが、一般的にゲストの期待値は高く、ゲストが料理で満足するといい結婚式だったと感じてもらえる可能性が高くなります。そうすると、自然に「招待してくれてありがとう」「いい結婚式だったよ」という感想が新郎新婦に集まり、結婚式後、新郎新婦は「結婚式をして本当に良かった」と感じることができます。
ウェディングプランナーとして仕事をしている以上、新郎新婦と共に「ゲストの満足度が高い結婚式を作りたい」という考えている方がほとんどだと思います。これを実現するための要素はいくつもありますが、「料理」というポイントで考えるならば、ゲストの料理満足度が高い→ゲストから新郎新婦への評価が上がる→いい結婚式になる、このような考え方がベースとなります。
ゲストの満足度が高い結婚式を作る上でのプランナーの在り方
次に、このような結婚式のプランニングしていく際のプランナーの考え方についても少し触れておきます。
打合せプランナーは結婚式準備の段階では、どうしても今、目の前にいる新郎新婦の満足(予算内に収まる等、新郎新婦の価値観だけで商品を決定する等)だけを考えて打合せをしがちです。
しかし、「なぜ結婚式をしようと思ったのか」「なぜ結婚式に招待しようと思ったのか」という問いを新郎新婦に投げかけると、少なからず「招待するゲストに感謝の気持ちを」「家族のために」と新郎新婦でない人の為に結婚式をしようと思ったという回答が返ってくることもあると思います。
新郎新婦によっては、ゲスト満足の必要性を感じていないこともあると思いますが、打合せプランナーは「目の前にいる新郎新婦の今の満足」だけではなく「結婚式当日のゲストの満足」も同時に意識してプランニングをしていくことが大切なのです。
コース料理提案のプロセスと差が出るポイント
打合せの基本的な考え方は以下の記事で書いていますので、参考に乗せておきます。ここから先はこの考え方を前提として進めますので、まだお読みでない方は是非ご覧ください。
コース料理を打合せで新郎新婦に提案するプロセスは
- 新郎新婦の料理に対する価値観の情報収集をする
- 新郎新婦/ゲストが感じ、体験する魅力を提案する
- コース料理を説明する
となります。正直に言って、3.の「コース料理を説明する」はプランナーによって大きな差はありません。プランナーによって差が出るのは①と②です。ここがどのくらいのレベルで実行できるかによって、コース料理単価に大きな差が出ます。
では次から、安定して高単価にできるプランナーが具体的にどのようなことを行っているのか、書いていきます。
コース料理で高単価を目指すための「商品提案」のポイント
先ほどの通り、
- 新郎新婦の料理に対する価値観の情報収集をする
- 新郎新婦/ゲストが感じ、体験する魅力を提案する
この2点をどのように行うかが差がでるポイントです。
①新郎新婦の料理に対する価値観の情報収集をするときのポイント
ある程度の料理提案用のトークスクリプトはどの会場にもあると思いますが、お客様が100組いれば100通りの価値観があるので、スクリプト通りの提案を繰り返していても、どこかで壁にぶつかってしまいます。
コース料理単価の高い打合せプランナーは、新郎新婦の価値観や現状を正確に把握し、その情報をもとに次の「②新郎新婦/ゲストが感じ、体験する魅力を提案する」フェーズのシナリオ組み、トーク内容を考えています。この情報収集がないと(決まったトークだけをプランナーは)、何をどのように提案するかのシナリオを考えられず、当たり障りのない話だけで終わってしまいます。
以下は、新郎新婦の現在の価値観を把握する為の質問例です。
- 新郎新婦がこれまで列席した結婚式では、どのような料理が提供されたのでしょうか?
- その料理は、ゲストである新郎新婦にとってどのように感じたのでしょうか?
- また、日ごろから料理に拘りを持っているのでしょうか?
- 特別な日には、特別なお料理でお祝いする、等の経験はあるのでしょうか?
これらはあくまで一例ですが、プランナーが「現時点での新郎新婦の料理への価値観」を把握し、「ゲストの満足度を高めるアイテム=料理」であるという考え方から提案していくことで、新郎新婦ごとにフィットしたシナリオを立てることができます。もちろん、すべてのお客様の価値観をコントロールできるわけではないですが、うまくいったケース、そうでなかったケースの振り返りを行い、実際にロープレをし、反復練習をすることで、この情報収集スキルは身に付いていくと思います。
②新郎新婦/ゲストが感じ、体験する魅力を提案するときのポイント
料理の魅力を提案するときのポイントは「料理の重要性を共感してもらうこと」「期待を超える料理について提案している」の2つです。
料理の重要性を共感してもらうこと
いきなりコース料理は単価の高いコースの方がいいですよって提案しても響きません。順序として、先ほどの価値観の把握から、料理は結婚式のゲスト満足度において重要な要素である→だから料理は重要である、という考え方に共感してもらうことが大切です。
コース料理単価の高い打合せプランナーは、立てたシナリオでトークを終えても、新郎新婦に「料理の重要性を共感してもらうこと」が不足していると感じれば、共感して頂けるまで提案し続けています。大切な基盤になる部分ですので、粘り強く提案することができるかが大きな差となっています。
期待を超える料理について提案している
コースごとに食材が違う、コースの品数が違うなど、コース料理単価がアップするロジックは会場ごとに違うと思いますが、基本的にはコース料理の設計に沿って「ゲストの期待を超える料理とは?」を提案します。
例えば、単価アップは食材の違いというロジックになっている場合、
- 「フォアグラ/和牛フィレ肉/オマール海老/キャビア」と記載されたメニュー表を目にしたゲストは、料理に期待しますね
- 高級食材は、メニュー表を見た段階で新郎新婦のゲストへのおもてなしの気持ちが伝わりますよね
- →メニュー表で活字映えするメニューを選ぶということが、コース決定のコツですよ。
という流れで提案をすることができます。
こちらもあくまで一例ですが、コース料理単価の高い打合せプランナーは、受注したいコース料理=ゲストの期待を超える料理であり、それを選ぶことが新郎新婦の満足度にもつながる、というロジックをきちんと設計したトークシナリオが描けていることがほとんどです。ノリと勢いで押し売りしているわけではありません。
コース料理単価で高単価を目指すためのポイントまとめ
コース料理単価で高単価を目指すためには、
- プランナーが、「現時点での新郎新婦の料理の価値観」を把握し、「ゲストの満足度を高めるアイテム=料理」という考え方からきちんと提案していくためのシナリオを立てる
- 結婚式当日のゲストが感じ、体感する魅力を提案し、新郎新婦がコース料理の重要性に共感して頂けるまで粘り強く提案を続ける。
- 「ゲストの期待を超える料理」=受注したいコース料理というシナリオが描けている
この3点が大切です。
コース料理単価は、利益、新郎新婦/ゲストの満足度の観点で大変重要なアイテムです。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。