更新日 2022年04月04日

結婚式場の直近希望者の成約率を高めるための方法まとめ

0398_結婚式場の直近希望者の成約率を高めるための方法まとめ

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

結婚式場の業績管理において重要な指標は成約率と受注施行月の分布です。特に結婚式場の年間業績は当期が始まったタイミングで6割は受注済み顧客の売上とも言われていますから、業績をコントロールするためには直近(一般的には3か月以内)の結婚式を希望する顧客の成約数をいかに増やすかも重要と言えます。今回の記事では、直近希望者の成約率を高めるための方法をまとめます。

 

直近希望者が結婚式場にとって重要な理由

新郎新婦が結婚式を希望する時期にはばらつきがあります。

390_新郎新婦の結婚式検討時期分布

※上記はイメージです。

3か月以内のいわゆる直近を希望するお客様もいれば、1年以上先を希望するお客様(お客様目線では1年以上前から準備を始めている)もいます。来館月別に多少のばらつきはあるものの、このような統計データとなっていることが多いと思います。

このグラフをただ眺めても、へぇそうなんだー、で終わってしまうのですが、業績面で考えると希望時期はかなり重要な意味合いを持ちます。例えば3月末決算の会社の11月の来館が上記分布だった場合、

390_3月末決算の会社の11月の来館者分布の場合

希望する時期によって、上グラフのように売上年度が変わるので、どの年度の売上を作りに行くかを事前に方針としてしっかり決めておかないといけません。アサイン、特典をどの程度つけるか、フライヤーは何を置くか、など来館前にできる準備はたくさんあります。

さらに、この時期から先に今年度内を希望するお客様はどんどん減っていきますので、年内がほぼラストチャンスと言ってもいいでしょう。このように、特に上場企業では年度予算達成の最後の調整を掛けられるタイミングとも言えるので、この時期にご来館される直近希望者の重要度が高いと言えます。

この希少な直近希望者が来館した際にどのような方法で成約率を高めるのか、具体的にどのようなことができるのかを紹介していきます。

 

アサインルールを変更する(今期希望者にエースをアサインする)

通常のアサインルールは会社や会場によって異なりますが、このタイミングで今期の予算見通しが未達の場合はその基本ルールを変えてでも直近希望者の成約率を最大化することを目指すのも1つの方法です。

具体例を考えてみましょう。

  • 平均成約率60%のAさん
  • 平均成約率40%のBさん
  • 平均成約率20%のCさん

この3名がいて、普段のアサインは予定人数が多かったり想定予算の高い(=売上期待値が高い)お客様にAさん、少人数や予算が少ないお客様にBさん、それ以外にCさんというのが基本ルールだった場合に、下記3組のお客様が来館したらどのようなアサインにしますか?なお、接客日は11月、3月末決算の会社とします。

  1. 今年度2月希望、30名想定、新婦のみ
  2. 翌年度6月希望、50名想定、新郎新婦来館
  3. 翌年度11月希望、100名想定、新郎新婦来館

普段なら、下記のようなアサインになるはずです。

  • 3=Aさん
  • 2=Bさん
  • 1=Cさん

ですが、今回のケースのように今期内の売上の見通しがネガティブな場合は、最優先は今期希望者の成約率を高くして今期の売上を積むことです。となると、

  • 1=Aさん
  • 2=Bさん(前倒しで今期受注にできる可能性があるため、詳細は後述します)
  • 3=Cさん

このようなアサインで今期希望者の成約率を最大化する布陣を敷く方がよいでしょう。トータルで見れば期待値は下がるアサインなのですが、今期の売上を獲得できる可能性のある機会はもう限られているので、限定的にこういう施策の引き出しを用意しておくことも大事です。

398_アサインのルールを変更する_2

値引きの強弱をいつもと変える

普段の値引きや特典のルールは、施行のシーズンや月によってグラデーションまたは階段状に設定されていることが多いでしょう。

398_一般的な結婚式場の値引き額の設定方法

こんな感じですね。

それに対し、期またぎの差を極端に大きくすることで、今期内の成約率を高くするのも1つの方法です。具体的には3月までと4月以降の値引き差を大きくするということです。

398_値引設定ルールを変更する

こんな感じです。このように、特典差を大きくすることで、4月(来期)にしようか3月(今期)にしようか迷っているお客様を今期へと誘導しやすくします。ただ、普段の受注と比べて今期内成約の単価は下がりますから(値引きが大きいので)、見通しのロジックには注意が必要です。

 

初期見積りの作り方を変える

直近希望者は何かしらの理由(マタニティ、転勤が決まっている、身内や家族の事情など)で直近を希望している場合と、特にこだわりがなくて直近でもよいという場合がありますが、いずれにせよ通常の半年~1年前の申し込みの場合と比べて準備期間が短いので、貯金する時間がほどんどありません。一般的に結婚式場の見積りは申し込んでからかなり上がると思われているので、その点で漠然とした不安を感じている方が多いように思います。

そこで、その不安を払しょくして成約率を高めるために、新規来館時の見積り内容を通常よりも充実させ(極端な場合はもう最終見積りと同じレベルまで入れ込み)て提案をすることも1つの方法です。

398_初期見積りの作り方を変える

直近希望者は検討にかける時間もあまりないので、最初からこの金額でできます(要するに金額が上がらない)とお伝えし、少しでも安心してもらえるような工夫も必要でしょう。ただし、相応の特典付与や値引は必要になるので、利益率が低下することは考慮に入れておく必要があります。

前倒しをする

ブライダル業界内で一般的な用語かどうかわからないですが、ユーザーが希望している施行時期よりも前の月やシーズンを提案して成約を取ることを前倒しと言います。

398_前倒しをする

具体的には

  • 前シーズンで結婚式を挙げる付加価値を提案する
  • お得な特典や値引を提案する
  • 希望条件により近い日柄や日取りを提案する

などの方法で希望していた時期(来期)から今期へお客様の希望を誘導し、今期での受注を獲得するという営業手法です。詳細は今回の記事では割愛しますが、やはりこれも誘導するにあたり失注や値引増大のリスクがあるので、一時的に有効な新規営業手法の1つとして持っておくとよいでしょう。

 

結婚式場で直近希望者の成約率を高めるための施策まとめ

  1. アサインルールを変える
  2. 値引きルールを変える
  3. 見積りの作り方を変える
  4. 前倒しをする

今回紹介したのはこの4つの方法で、どれかをするというよりは必要度合いに応じて複数施策を同時に実施していき、業績のコントロールをしていくことが必要です。また、成約率の施策と合わせて集客施策もセットで取り組むとよいでしょう。
※参考
結婚式場に直近希望者を集客するための方法まとめ

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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