アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
企業のIR情報を見て会社の状況や方針を理解できるのは、社会人としての重要なスキルの1つです。そこで、今回の記事では、AOKIホールディングス(以下、AOKI)の2021年3月期第1四半期決算の決算説明資料をもとに、その内容について考察してみようと思います。(注)本記事の内容はあくまで個人的な見解であり、投資家向けに書いているわけではありません。この記事の内容をご覧になられて投資判断をされても一切の責任を負えませんのでご了承ください。あと、そもそものPLなどの読み方については過去の記事をご覧ください。
今回の2021年度3月期第1四半期決算の概要
元となるAOKIホールディングスの2021年3月期第1四半期の決算説明資料は下記URLで見ることができます。
今回はこの決算説明資料の中のブライダル部門(アニヴェルセル)についてのところのみをピックアップして書いていきます。
こちらの数字の「アニヴェルセル・ブライダル」の数字をご覧ください。
売上は前年比95.5%減少、営業利益は13.2億円の赤字です。2020年4月7日~5月31日の期間、全施設で挙式・披露宴を中止したとのことで、実質的に稼働したのは6月のみの数字だと言えます。また6月稼働したとはいえ単純に平均すると前年比33%程度となることを考えると、前年比15%程度の売上だったと予測できます。
この期間のブライダル企業の決算はどこも厳しい数字となっていますが、その中でも特に厳しい数字となっています。もともと損益分岐点の高い(たしか施行枠の稼働率60%、430万円くらいだったような?)企業なので、売上の減少は利益にダイレクトに効いているのでしょう。
1Qのアニヴェルセルの対応を考えてみる
売上の減少は外的要因によるものであり、これはアニヴェルセルに限った話ではありません。この期間で違いが出るのは主に販売管理費の項目です。
上記スライドにある販管費の内訳を前年と比べると、広告宣伝費(73%減)と人件費(33%減)が大きく抑制されていることがわかります。
広告費はゼクシィをはじめとしたブライダル媒体各種への出稿を大幅に減らしたこと+施行がないのでエージェント手数料がほとんどかからなかったのが理由でしょう。いつ頃からブレーキをかけたかは定かではないですが、月ごとに意図的に出稿量の調整を掛けられるのはゼクシィくらいしかないので、まずゼクシィ抑制と見ていいと思います。
また人件費の減少は解雇ではなく休業だと思います。この期間は雇用調整助成金も出ていますから、休業扱いにしてその間の人件費を特別損失で計上したんじゃないかな、と(違ったらすみません)。ただそのあたりの会計処理は単体ではなくホールディングス全体で決めていくでしょうから、実際のところどうなんだろ?はちょっとわかりませんでした。
なお、この期間内の店舗閉鎖や新規出店はありませんでした。
アニヴェルセル・ブライダル事業の詳細
数値は見ての通り。
投資家向けにこういうデータをきちんと公開するのは真摯だなと思う一方、書かれている数字は控えめに言っても地獄。特に単価の下落は一時的ではなく2021年度いっぱいは少なくとも続きそうな雰囲気ではあります…。
公開されている情報が少なかったので今回はここまで。グループの中でもアニヴェルセルが特に厳しいですが、ファッション、エンタメも同様に前年割れをしていて厳しい状況が続きそうです。
AOKIホールディングスの2021年3月度決算についてまとめ
ほんとに簡単にですが、決算説明資料をもとに考察を書いてみました。ブライダルの現場で働いていると企業のIR情報を見ることはほとんどないとは思いますが、他の会社でどんなことをやっているのか、起こっているか、ブライダルマーケット全体をどのように捉えて動いているのかなどがわかると意外と楽しいと思うので、この記事をきっかけにIR資料も見るきっかけになってくれればうれしいです。