アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
結婚式場運営で何における課題を自社で解決できない時に頼りになるのがコンサルティング会社。特に課題が細分化複雑化している昨今の社会環境において、そのソリューションを持っている会社とうまく付き合うことは事業運営において重要な項目と一つと言っていいでしょう。
今回の記事ではブライダル業界のコンサルティング会社について、その特徴や依頼前に知っておくとよいことを解説します。
目次
コンサルティング会社って何?
そもそも「コンサルティング」とは何でしょうか?一般的にコンサルタントもしくはコンサルティングとは「クライアントの経営上の課題を明らかにし、その解決策を提示するまた実行フェーズまでを行うこと(職業)」と言われています。
シンプルに言えば会社のお医者さんです。
医者は患者の病気を治すことが仕事で、コンサルタントは企業の病気(課題)を解決することが仕事です。また、病院にも○○科と専門があるようにコンサル会社にも得意とする課題解決領域または業界ごとに分類することができます。
<専門領域別>
戦略系コンサルティング/総合系コンサルティング/IT系コンサルティング/シンクタンク系コンサルティング/人事系コンサルティング/会計系コンサルティング/マーケティングコンサルティング、など。
<業界特化系>
- ヘルスケア/IT/金融/自動車・自動車部品/食品/ブライダル、など
上記以外にも様々な専門領域、業界のコンサルティングファームがありますので、興味があれば調べてみてください。
さてこの中で、ブライダルコンサルティングとは「ブライダル業界での課題解決を専門に行うコンサルティングファーム」のことを指します。
※Googleなどで「ブライダルコンサルティング」と検索すると上記定義のほかに、ウエディングプランナー(プロデューサーという会社もある)のことをブライダルコンサルタントと定義している記事もありますが、この記事では、新郎新婦に対してではなく企業に対してのコンサルティングについてがテーマです。
ブライダルコンサルティング会社の種類とメリット・デメリット
①結婚式場運営会社のコンサルティング事業部
自社で結婚式場を運営している会社の1つの事業としてコンサルティングを行っているパターンで、最近だとニューバリューフロンティアなどが勢いありますね。
集客~営業~施行までの一連の流れを自社で運営しているので、トータルでの知見への信頼感があること、スポットでのコンサルティングだけではなく、集客代行、営業代行、式場運営代行など幅広いスキームで契約できることがメリットです。
- その一方、コンサルティング会社のブライダル部門の成功事例がソリューションの基礎にあるので知識が偏っていること、コンサルティング会社のやり方をインストールするスタイルになることがほとんどなので、発注側の方針と合うか合わないかによって成果が大きく変わってしまう点はデメリットと言えます。
②ブライダル業界に特化したコンサルティング会社
元ブライダル業界のメンバーやコンサルティングファーム出身者が、ブライダル業界に特化してコンサルティングを行っているパターンで、リクシィ、sozoなどが有名でしょうか。弊社でも集客領域でコンサルティングサービスを運営しています。
得意とするソリューションの専門性が高い(集客が得意、営業の育成が得意、など)、複数のブライダル企業へのコンサルティング実績があるので、ソリューションが多彩で柔軟性が高いことがメリットです。
一方、コンサルティングで利益を上げている会社なので一般的に価格設定が高い、現場オペレーションの知識をどこまで持っているかわからないので、提示されたソリューションが個別最適で終わってしまうリスクがあるため事業全体へきちんと成果を波及させるためには発注者側のディレクションが必須であることはデメリットと言えます。
③総合コンサルティング会社
ブライダル業界に関わらず様々な業界へのコンサルティングを行っている会社に発注するパターン。広く捉えれば広告代理店への集客代行などもこれに当たります。
ブライダル以外の業界での実績も多数あり、得意とするソリューションの専門性が非常に高い(集客が得意、営業の育成が得意、など)、コンサルティングファームの人材スペックが総じて高いことがメリットです。
一方、総じて価格設定がかなり高い、ブライダル業界の専門知識があるわけではないので、発注してからきちんと成果を上げるまで(コンサルタントが業界に慣れるまで)時間がかかることが多いと言った点はデメリットと言えそうです。
3つのパターンに分類しましたが、どの会社にも強み・弱みがあるので、「自社の解決したい課題は何か」を明確にし、しっかりと検討したうえで使い分けることが大切です。
ブライダルコンサルティングのスキーム
①コンサルティング方式(常駐型/非常駐型)
常駐・非常駐に関わらず、特定の課題に対してソリューションを提供するパターンで月額コンサルティングフィーで契約することが多いです。
課題の範囲が狭いこと、自社内にリソースはあるけどノウハウがないなどの場合はこの方式であることが多いです。それか、コンサル会社側にリソースがなくそもそも受託で受けられない場合もそうなりますね。
集客を改善したいからゼクシィの出稿内容を改善してほしい、現メンバーをスキルアップして新規成約率を改善してほしい、などのオーダーだとこの方式の方がお互いにフィットしやすいです。
②運営受託方式
結婚式場に人員を送り込み、集客や新規接客、または打合せまでを代行するモデルでの契約のパターンで、その式場の売上の何%かをもらうレベニューシェア方式での契約が多いです。
もともと式場側にブライダルリソースがないレストランやホテル、逆にコンサル会社側が潤沢な人的リソースを持つ場合にこのスキームがとられることが多いです。
場所は貸すから丸ごとやってほしい、という式場側からのオーダーから始まることが多いですが、このスキームで受託できる会社は限られているので数としてはそこまで多くはありません。
ブライダルコンサルティング会社に依頼する2つの目的
貴重な資源(=コスト、時間)を投下して外部のコンサルティング会社を使う目的は究極的には2つしかありません。
①時間を買うためにコンサルティング会社を使う
経営上の課題はわかっている、課題の解決策もある程度見えている、ただ人員リソースが足りずにずるずると時間だけが過ぎてしまっている、こういったケースでは外部の会社に依頼することは有効です。
既存のメンバーはどうしても日常業務に追われてしまって、何か新しいことを始めようと思ってもそれに時間を割けなかったりします。その対応策として人員を採用してその企画業務に当てるということも可能ですが、採用には時間もお金もかかりますし、新たに採用した人が即フィットして活躍できるかもわからない、フィットしなかったときに解雇もできずに人件費だけかさむ、といったリスクがあるので、採用に対しては慎重になりがちです。
自社で採用して育成してきちんと検討を重ねれば2年掛けて課題を解決できるかもしれないが、そんなに待っていられないので外部の会社に依頼をして2ヶ月で解決してもらおう、こういった意図で発注するケースです。
こういったケースでは、解決したい課題の定義、想定している解決策、解決策を実行するための具体的な業務など、コンサルティング会社に依頼したい事項をまとめた上で、納期を決めて発注前のディスカッションを行うといいでしょう。そのディスカッションを複数社と行ったうえで、価格、納期、アサインされるメンバーのスキルセット、などを提示してもらい、その中から比較して決めるといいと思います。
②スキルを買うためにコンサルティング会社を使う
経営上の課題はわかっているがどのように解決していいかわからない、解決する方針はなんとなく見えているが具体的に何をしたらいいかわからない、というケースでは、その領域に特化したスキルを持った外部の会社に依頼することが有効です。
例えば、集客に困っているのであればマーケティング領域に強いコンサルティング会社に(広告代理店なども含む)相談して解決策を提示してもらったり、営業で困っているのであれば営業領域に強いコンサルティング会社に相談しましょう。自社にあるスキルなナレッジだけでは自社の課題を解決できないと感じたので、外部の力を頼ろう、こういった意図で発注するケースです。
こういったケースでは、解決したい課題を伝えたうえでどういった方法でこの課題を解決するのか提案をもらうといいでしょう。このときに、事例をたくさん見せてもらうことも重要だと思います。結論で集客が150%になりました、だけではなく、どういった課題があり、どのような方法で、どれくらいの期間をかけてその成果を導いたのかも深く確認し、その方法が自社に当てはまるのかという視点で話を聞きましょう。
ブライダルコンサルティング会社に依頼する前に準備しておくこと
コンサルティング会社や代理店にうまく成果を上げさせるコツは「どれだけ的確に要望を伝えられるか」だと思います。
①解決したい課題と目標を明確にする
一番危険なのはコンサルティング会社に丸投げすることです。集客困ってるから何とかしてよ!とか、売上下がってるからなんとかしてよ!というオーダーでは、コンサル側も目標設定から始めなければならず、「関係者へのヒアリング」的なフェーズから始まるのでプロジェクトの期間が長くなってお金が余計にかかったり、もっと悪質な会社だと目標設定をあいまいにしたままプロジェクトをキックオフするので、結果的に何も解決しないこともあります。
そのため、コンサルティング会社(広告代理店なども含む)に依頼・相談する前には、必ず課題と目標を明確に設定しておく必要があります。
例えば、集客が減っているので改善したい!という課題を抱えているのであれば、
- 過去3年と比較してどれくらい下がっているのか
- どの媒体からの来館数が変化してきているのか
- 来館者の年齢や住所などのデータに変化は起こっているか
- 競合環境などのここ数年の変化はどのようになっているか
などといった基本的な分析、解決策の仮説作りは自社内のチームで行い、それを元に相談・依頼をしましょう。
②かけられるコスト(予算)を明確にする
契約前に見積もりは出してもらうと思いますが(というか出してもらってください)、見積りを依頼するときには、必ず「先に予算の上限を伝えてからその金額内で作ってもらう」という依頼の仕方をしてください。
似て非なる考え方で「課題を解決するために必要な項目を入れ込んだ見積りを作ってもらう」という方法もありますが、そうすると青天井で高くなりますし、発注側の担当者がその領域で相当詳しくない限り提示された見積りが妥当かどうか判断できません。総額で100万円なら100万円、月額で20万円なら20万円と、上限を先に決めておきましょう。
③契約の単位はできるだけ細かく設定する
これも見積もりに関わりますが、契約する期間と対象はできるだけ細かく切って契約したほうがいいです。営業ですごく期待できることを言っていたが実際に発注してみたら全然だめだった、でも契約があと1年残っている・・・、といった状況にならないためです。例えば集客改善のプロジェクトであれば
- 要件定義(1ヶ月)
- 集客施策の企画(1ヶ月)
- 集客施策実行(3ヶ月目~)
- 効果検証(4ヶ月目~)
雑に書くとこんな感じになりますが、全部やることを前提に発注するのではなく、段階的に契約をして継続をするかどうかを決めていくほうがリスクヘッジになります。基本継続前提で1の内容だけで契約をして、1の完了前に2の継続を判断する、といった感じです。1~4.のプロジェクトを全部一度に契約してくれればディスカウントしますよ!と提案してくる会社もありますが、危険なので個別にしたほうがいいですね。
ブライダルコンサルティングについてまとめ
特にこの1年で、経営が厳しくなってきている結婚式場も多いと思います。
困ったときにはうまく外部の力を借りることが必要ですが、知識や準備がなく闇雲に発注してもうまくいかないことも多いので、この記事がその準備の参考に少しでもなれればうれしいです。
また、弊社でも主にブライダル集客のコンサルティングを運営していますので、お気軽にお問合せください。