更新日 2023年07月05日

ブライダルイベントが増えることの業界的なメリットとデメリットを考える

0974_ブライダルイベントが増えることの業界的なメリットとデメリットを考える

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

最近増えてきているブライダルイベント。今後このイベント形式の催しが増えた場合のメリットとデメリットを考えてみます。

 

ブライダルイベントとは?

最近激増しているブライダルイベントは大きく以下の3つに分類することができます。

①媒体主催イベント
②式場主催イベント
③フェス風を装ったただのブライダルフェア

①媒体主催イベント

ゼクシィフェスタやハナユメフェスタなど。特にゼクシィはプチフェスタ含めて全国で開催数がとても増えてますね。

主催媒体社が試着や体験系の様々なコンテンツを用意し、結婚式場はイベント内で接客ブース出展して来場者に自社式場をアピールし、来館予約を獲得することが目的。

主催者によって異なる部分もありますが、出展料とイベント経由来館の手数料が主な売上。

②式場主催イベント

バリューマネジメントが定期開催しているレトロ婚フェス、ベストブライダルがたまに開催しているフェス、T&Gが過去に開催したよくばりウェディングフェスなど、結婚式場運営企業が主催するイベント。

媒体主催と同じく様々なコンテンツを用意して集客し(フェスによっては試食もできる)、来場者に自社式場の来館予約をしてもらうことが目的。

③イベントを装ったただのブライダルフェア

これはそのまんまですね。

媒体、自社HP問わずブライダルフェアタイトルの表記をイベント風にしたり、試着など通常のフェアとは異なるコンテンツを追加したりなど違いはありますが、基本的にはブライダルフェアの企画の延長線上で、自社主催イベントとの違いは以下の2点です。

  • イベントは複数会場での開催、フェアは単独会場での開催
  • イベントは来館予約の獲得が目的、フェアは成約の獲得が目的

***

ここまでがざっとブライダル系イベントの定義です。

これ以外にもフリープランナーやフォトグラファー、ドレスショップが連携して試着&撮影イベントなどもやっていますが、今回は省略します。

この中で、特に最近は①~③のいずれもが増えてきていまして、これは俯瞰で見ると業界的にどのような影響があるのかについて考えてみます。

 

ウエディングフェスとブライダルフェアの違い

ブライダルイベントの名称でよく使われる「ウェディングフェス」と「ブライダルフェア」は何が違うのかについても補足しておきます。

この違いは就活に例えるとわかりやすいかなぁと思っています。

  • ウェディングフェス→合同説明会
  • ブライダルフェア→企業の選考面接

合同説明会は企業選考の応募を獲得することが目的、選考面接は採用が目的。フェスは来館予約を獲得することが目的、フェアは成約が目的。

この違いとほぼ同じ。

マイナビやリクルートが開催する合同説明会がゼクシィフェスタとかに該当し、ベンチャーやスタートアップとかがよくやってるMeetupとかが式場運営企業主催のイベントのイメージ。

この辺りって業界の中にいると当たり前なんですが、似たような単語がいっぱい出てくるので違いを理解するのはなかなか難しいですよね。。

 

ブライダルイベント増加のメリット

さて次に、イベントが増えることでどんなメリットがあるのかを立場別に考えてみます。

●顧客にとってのメリット

  • 様々な式場やアイテムの情報を1日で知れる、体験できる、式場見学予約をまとめてできる
  • ウェブや雑誌だけではわからないリアルの体験ができる
  • (フェアと比較して)ガツガツ営業されない
  • デート感覚で行ける

●式場にとってのメリット

  • 通常の媒体経由CVとは異なる客層の来館予約を獲得できる
  • 潜在層と接触できる
  • 自社イベントの場合であれば、イベント後のCRM施策を充実させることで更なる上積みが期待できる

●媒体にとってのメリット

たぶんないと思います。後述するデメリットが大きすぎるというのもありますが…。

ただ、市場縮小によってメディアパワーの減少は避けられないため、通常の媒体出稿を勝ち取るためにやらなければいけないオプションコンテンツの1つと化しているんじゃないかなと。

***

総じて言えばメリットはこんな感じだと思います。

  • 顧客はライトに結婚式場やコンテンツに触れる機会が増えること
  • 式場は顕在層以外の顧客層への接触・獲得機会を得られること
  • 媒体はイベントやってでも式場への送客実績を作らないとこの先厳しいこと

 

ブライダルイベント増加のデメリット

一方、イベントが増えることでのデメリットも考えてみます。

●顧客にとってのデメリット

特にデメリットはないですね。興味なければ行かなければいいだけです。あるとすれば、後述する式場コストの増大に伴う価格転嫁リスクが多少あることくらいですね。

●式場にとってのデメリット

  • 開催の度にブース準備と接客人員を手配しないといけないのでリソース確保がめちゃ大変
  • 広告宣伝コストが増える
  • フェア経由で来館する顧客と比較して検討度合いが浅い場合が多いので獲得効率が悪い

●媒体にとってのデメリット

  • 開催、運営コストが重たい
  • その割に儲からない(たぶん)
  • 今後もしフェス参加→フェア予約が主流になってしまうと、イベントをやらないだけでメディアパワーが相対的に弱くなる

***

言葉にするとシンプルでなんですが、式場も媒体も開催コストがかなり重たいよってことが最も懸念事項だと思います。

 

ブライダルイベントの今後について考える

ここまで書いてきたメリットとデメリットを踏まえ、今後のイベント開催についてどのように考えるとよいかを書いていきます。

●まず媒体主催イベントについて

顧客にとっては結婚式を検討する情報収集機会の選択肢が増えるので基本的にはメリットのみ、一方式場と媒体社にとってはコストと期待効果が本当にプラスなのかが判断基準になると思います。

統計的なデータはないのであくまで個人的な印象ですが、ローコストオペレーションを開発しないと、媒体も式場も相当疲弊すると思います。

ただ、会場費、集客コスト、イベント運営人件費、この3つがほぼ固定費でかかってくるので、コストカットと言ってもオンライン開催するくらいしか正直思いつきません。。

難しいかもなぁ…。

●次に自社主催イベント

自社主催は以下の3つが判断基準になると思います。

  1. イベント集客方法の確立=最適CPAで安定して来場予約が獲得できる
  2. イベント運営のローコストオペレーションの確立
  3. イベント来場者の長期的なマネタイズ方法の確立(イベントだと潜在層が来場しやすいため)

この3つが成り立たなければうまくいかないでしょう。単発では成功しても継続は難しそう。

個人的には特に3つ目が難しいと思っていて、潜在層にリーチできたとしても通常の来館予約獲得→即決では効率が悪すぎて費用対効果が合わないので、他のルートを設計することが必要になります。

そう考えるとバリューマネジメントのレトロ婚フェスは多数開催し続けていて採算は取れていると考えられるので(実績は知らないですが…)、すごい発明したなぁと思いますね。

●最後にフェス風のフェア

特に集客力があるわけでもないしコストもかかるのでやらない方がいいと思います。

専用LP作って通常の媒体広告とは別にリスティングやウェブ広告回したりとかしてるところもありますが、ほぼ費用対効果合わないです。

 

ブライダルイベントについての考察まとめ

ブライダルイベントは顧客にとってのメリットはあるものの、開催にかかる人的/金銭的コストが大きいため、そのコストは誰がどのように負担するの?が今後は特に重要になってくると思います。

複数社で連携して、開催会場持ち回り制&広告費折版とかだとまだコストダウンできそうなんですが、そのノウハウを持つ企業がほとんどないのでこれも難しそうです。

今回の内容は現状分析までがメインで解決策の提示には至っていませんが、イベントというコンテンツをどう活かしていくかは式場集客において大きなテーマの1つになっていきそうです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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