アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
これまで「もしブライダル業界に●●があったら?」という内容や私が空想で書いた事業企画の記事などもけっこう書いてきました。そこで、今回の記事ではどういうきっかけでそういったアイディアが思い浮かぶのか、新規事業を始めようとした場合に最低限考えなければいけないことは何か?ということをまとめます。
目次
一般的な新規事業の企画プロセス
社内で新規事業を立ち上げよう!となる場合や、すごいアイディアを思いついたからこの事業をするために独立しよう!など、新規事業を立ち上げようとする背景は様々ですが、新規事業立ち上げのプロセスは、以下のように進められることが一般的です。
- 事業のビジョンを明確にする:何のためにその事業を行うのか?その事業を通じて何を成し遂げたいのか?
- 事業ドメインを決定する:事業展開をする領域(物理的、機能的)をどこに置くのか?
- ビジネスプランを検討する:誰に、何を、どのように、いくらで売るのか(4Pともよく言われます)?
- 具体的な行動計画を決める:いつまでに、誰が、何を完了させるのか?
事業企画がどういった狙いなのかにもよりますが、上層部から新規事業を立ち上げるように命じられたという背景の場合以外は、1のビジョンを決める前に「こんなサービスあったらいいのにな」とか「ここをもっとこうしたら儲かるんじゃないか」とか思ったことがきっかけになることも多いと思います。
今回の記事では、具体的な新規事業立ち上げに有用なフレームワークやプロセスの詳細についての解説はしませんが、もし興味ある方はググれば山ほど記事が出てきますので、調べて勉強してみてください。
私がいつも使っている新しい企画の発想法
一般的には上にも書いたように、大上段の「ビジョンとは何か!?」というところから始めるわけですが、そういわれるとちょっと身構えてしまう人もいるでしょう。私もそうなのですが、新規事業のアイディアやきっかけはもっとふとしたところから得られることも実は多いと思っています。
私がいつもアイディアを思いつくときに大事にしている観点が、
他の新しいサービスとか流行っているサービスを見つけたときに「これをブライダルに置き換えたらどうなるか」
これです。
仕事以外の時に自分がユーザーとしてサービスや商品を使ったときに感想を持ちますよね?「これは使いやすい」「いいサービスだな」「もっとこうした方がいいのに」などなど。そのような感想を持つときの1つの観点に「このサービスのブライダル版ってどうなるかな?」っていうのを追加するだけ、というのがポイントです。
これまでこのブログで紹介してきた記事も、そのほとんどが既存の他業界のサービスをブライダルに置き換えたらどうなるか?と考え始めたことがきっかけです。
(例1)【空想事業企画⑧】ウェディングのプランニング手法の共有化サービス「WedHub」
→GitHubのブライダル版。ソースコードをプランニングに置き換えて管理共有、最終的にはオープンソース化とかまでできたら面白いんじゃない?っていうのがきっかけ
(例2)【空想事業企画⑦】ブライダル企業がプランナーを指名!ウェディングプランナードラフト
→転職ドラフトのブライダル特化型版。優秀なウェディングプランナーは社会的にもっと評価されていいのになぁと思っていたところに、転職ドラフトの広告を見つけて思いついたのがきっかけ
(例3)【空想事業企画⑤】結婚する二人を「直接」祝福できるライブ配信サービス「OURROOM」
→SHOWROOMの結婚式版。最近代表の前田さんはメディアにもよく出ているので事業自体は知っていたのですが、そのビジネスモデルを見たときに「直接支援できる」っていうコンセプトは結婚式でも当てはめられるのでは?と思ったのがきっかけ
(例4)もしブライダル版のトリバゴを作るとしたらどうなる?
→トリバゴのブライダル版。OTAごとで宿泊のプラン金額が違う→プロデュースサービスごとに結婚式のプラン金額が違う、と読み替えると似たような実態なので置き換えることができるのでは?と思ったのがきっかけ。
(例5)サブスクリプションで結婚式は売れる?アイテム選び放題の完全定額ウェディングは実現するのか?
→これは特定のサービスではないですが、最近はやりのサブスクってブライダルで実現するとしたらどうなるかな?と思ったのがきっかけ。
などなど。思いついたけど記事にしていないにもたくさんありますが、ここまででもこんな感じで思いついたことを書いてきています。とはいっても、思いついて企画を書き起こしているだけで弊社でも実際にやっているわけではないので、事業を企画したとまでは言えませんけどね。。
このように、全く新しいビジネスモデルをゼロから作り出すというのはなかなか難しいですが、他の業界や領域で成功しているモデルをそのまま横に展開する、これならアイディアが思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
新規事業を考える上で大切なポイント
ここまで、新規異業のアイディアはどのようなきっかけで思いつくのか、について書きましたが、これだけを読んで「あ、そうなのか!明日から自分もできるぞ!」と思うのはちょっと早いです。他の業界のサービスを見たり使ったりしたときに事業アイディアに結び付けられるような準備を事前にしておくことが必要になります。
①ビジネスモデルを自分で想像できる、理解できるようにしておくこと
簡単に言うと、ビジネスモデルとは企業が売上や利益を生み出す仕組みのことなのですが、サービスをパッと見たり使ったときにこのビジネスモデルを想定できるかどうかは実は重要です。ビジネスモデルを考えるときのポイントは、
- このサービスは誰からお金をもらっているのか?
- このサービスのユーザーは誰か?
- ユーザーに対して提供している付加価値は何か?
最低限、この3つをパッと考えられるように訓練するといいでしょう。慣れてくると、1つ1つのサービスがどのようなモデルで運営されているのかわかるようになるので、グッと視野が広がします。
②常にアイディアのアンテナを張っておくこと
ビジネスモデルや社会の構造について一生懸命勉強しても、他サービスに触れたときに発想がそちらに行かなければ意味がないですし成長しません。新しいサービスや商品に触れたときに「これをブライダルでやるならどうなる?」と常に考える、発想を転換するような癖をつけるようにしましょう。最初は難しいかもしれませんが、これは取り組めば取り組むほど慣れていきますので、とにかく思考回数を重ねることが大事です。
③業界転換テンプレとかを持っておくと最初はやりやすいかも
とはいえ、なかなか最初は難しいと思うので、穴埋め用のテンプレートシートなどを持っておく(リアルにでも頭の中にでもどちらでもOK)といいかもしません。
こんな感じですね。これだけだとピンと来ないと思うので、例を挙げると…。
(例):indeed
「仕事探しはindeed♪」のCMでおなじみのindeedです。
- 求人情報→ウェディングプラン
- 採用企業→結婚式場
- 求職者→新郎新婦
このように置き換えて、新郎新婦が結婚式場を探すときのプランが網羅的かつ圧倒的な数量がまとまっているサービスサイトがあったら需要ありそうかな?なんかできそうな気がするかな?
このように、他業界の既存サービスをブライダルに置き換えたらどうなる?を常に考えることを続けていくと、自然とアンテナの精度も高くなり新規事業企画ができるようになっていくと思います。
いいアイディアだと思ったときの深掘るポイント
とはいえ、こういったアイディアが100個思い浮かんで、これはいけそうかも!と思うのは1~2個あるかないかくらいだと思います。初めのうちは1つもないかもしれないです。50個はあるぞ!と感じる人は見通しが甘いだけです。
で、もし本当に行けそうだと思ったら、即行動!というのもいいですが、まずはもうちょっと深掘って考えてみましょう。具体的にはこの記事の最初のセクションにある「3.ビジネスプランを検討する」の部分です。
個人的にある程度網羅的に考えることができるなと思うポイントは以下の5点。
- ビジネスモデルを図解してみる
- 事業・サービス・商品が解決できる課題は何かを明確にする
- 事業の特徴、競合、差別化要素を明確にする
- 事業のKPIを整理し、成長に必要な要素と施策を洗い出す
- 事業場のリスク、より詳細に検討鍵つような項目(主にマーケティング、プロダクト、キャッシュフローの観点)
このブログの「空想事業企画」のカテゴリの記事も基本的にこの構成で書いていますが、上記のポイントを深く考える過程で、何が課題になりそうか、どうやったら成長できるか、市場規模はどれくらいか、関わるプレイヤーはどういった人になるのかを網羅的に整理することができます。
ここまでの情報を整理してもまだ「これはいける!」という手ごたえがあれば、実際にアクションを起こしていきましょう。実際に動いて初めてわかることも多いので(むしろそっちの方が100倍ある)、実行!実行!実行!ですね。
ブライダル業界の新規事業発想法についてまとめ
新規事業はうまくいかないことの方が圧倒的に多いです。ここまでしっかり検討して実行しても、100個新規事業があれば1個成功すればいい方でしょう。ただ、打席に立たなければその1の成功にもつながりません。これまでと同じことをしていてももう長くはないということを薄々とは感じ始めてはいるが何から手を付ければいいかわからない、という方にとって、少しでも参考になればなと思います。