アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
結婚式場集客ではあまりなじみのないDSP広告。雑に書くとディスプレイ広告の一種ですが、事前の知識を持っていないとGoogleやYahoo!との違いがよくわからず、なんか過ごそう、という感じで始めてしまう人もいます。そこで今回の記事ではDSP広告を選ぶときのチェックポイントを解説します。自社サービスに役立つかどうかを判断するための予備知識として知ってもらえると嬉しいです。
DSP広告とは?
Demand Side Platform(デマンド サイド プラットフォーム)の略語であり、インターネット広告において広告主の効果の最大化を目的としたツールである。広告主はDSPを用いて、配信したいターゲット、予算などを設定し、バナーを入稿すれば、あとはDSPが自動で最適な広告配信を行ってくれる。
簡単に書くと上記の通りですが、こちらの記事ではDSP広告の詳細について書くものではないので、以下に参考になりそうな記事をまとめておきます。DSP広告って何?という方はまずこちらをご覧ください。
- SATORI:DSP(Demand-Side Platform)とは?を初心者にも分かりやすく解説します
- ウェブ部:5分で完璧に理解できる!DSPの仕組みと新しい手法
- MARKE HACK:DSP広告とは | 知っておきたい4つの基本特徴
- Degital Marketing Lab:DSP、SSPの仕組みと特徴
- GladCube:「枠」から「人」へのターゲティング、DSP広告とは?
DSP広告を選ぶときのチェックポイント
基本要件で確認すること
DSP広告の成果は「誰に、どこの面で、何を配信するか」この3つで成果は変わってきます。そもそもの機能として、自社サービスのターゲットにきちんと当たるような配信ができるDSPなのかどうかを判断します。
誰に配信できるか
ターゲットのセグメントをどの粒度で設定できるかを確認します。基本的なところだと、
- 年齢:何歳刻みで可能か
- 性別
- 地域:都道府県レベルか市区町村レベルか
- 趣味・嗜好など:どういったカテゴリがあり、自社サービスのターゲットに当てるために有効と思われるものはあるか
といった感じの点は必ず確認します。
上記以外に何かしらのデータベースなどと連携して特異なカテゴリに配信できる場合は、その根拠となるデータをどこから取得しているのか、シェアはどれくらいなのか、などを確認しています。
どこの面で配信できるか
ターゲットユーザーが多く集まるであろう配信面(SSP・AD Exchange)を持っているかどうか、すでに他のDSP配信を行っている際は重複がないか、Lineなど特異な(希少価値の高い)面に配信が可能かどうか、を確認します。また、インフィードの広告配信は可能なのか、ダイナミックタリーゲティングの配信メニューはあるのか、も確認します。
何を(どんなクリエイティブを)配信できるか
バナーのサイズの種類は手持ちにあるのか新規制作が必要か、クリエイティブにテキスト量などの制限はあるか、などを確認します。
運用・サポート体制について確認すること
次に実際に契約し配信を開始した後の体制について確認するポイントです。
- 運用者:誰が運用するのか、自動最適化を図っていくのか、先方の中に運用者が別にいるのか?
- 運用者のスキル:運用担当者は営業担当と別の人か同じ人なのか、修正の指示を出した場合の反映までの連携のスピードはどれくらいかかるのか、運用担当者は平均して何社分のアカウントを管理するのか?
- 管理画面:こちら側で管理画面から実績を見ることは可能か?
- レポーティング:頻度は月次か週次か、レポートの方法は打合せかメール送付なのか?
- 出稿内容への改善提案の有無:数値が目標に届かなかった場合の改善はどのように行っているか?
これらを確認し、実際の運用をこちらが望むレベル感で実現できそうかを判断します。
出稿条件について確認すること
出稿条件(契約条件)を確認します。特に課金方法のところは後述の事例の見方にも関わってきます。
- 課金方法:CPMか、CPCか、その他か
- 最低出稿金額:縛りがあるのか、ある場合はいくらから出稿可能なのか、正直な話その金額は調整可能な範囲なのか?
- 最低出稿期間:1ヶ月単位に配信のON/OFFが可能なのか、3ヶ月継続が前提なのか?
- 出稿準備:こちら側で必要な作業は何か(タグの埋め込みだけですむのか、フィードの作成が必要なのか、バナーの用意は必要か、など)
事例を出されたときに確認すること
近しい業界の過去事例の数値の紹介されることが多いと思いますが、その数字をそのまま信じ込むことは危険です。基本的に営業なので、過去の中でもよかった部分を切り取って営業資料に載せていることが多いので、数字を見ながら以下の点確認できるといいでしょう。
- その事例のCVとは何を指しているのか、定義は何か(ラストクリックか、クリックスルーか、ビュースルーか)
- その事例の数値が出るまでにどれくらいの期間を要したのか(諸月の数値なのか、最適化された後なのか、どれくらいかかったのか)
- その事例の数値を出すためにどのような議論を経てたどりついたのか、そのプロセス
例えば、そもそも出稿を検討している自社サービスとCVの定義が異っていると参考になりませんし(例えば、自社では登録をCVとしているが、事例は登録+資料請求をCVとしてカウントしている、など)、最適化されるまで半年かかっていましたとかだと想定している時間軸とあうかどうかわからないので数字見せられてすごいですね!ではなく詳しく聞きます。
あと、嫌な聞き方をするなら、ここに載せている事例以外に成果が出なかったクライアントはどれくらいいましたか?と聞くと、ほとんどの場合は苦笑いされますが自信あるところだと教えてくれてあります。
シミュレートを出されたときに確認すること
ちゃんと作ってきてくれた営業資料であれば、後ろのほうに数値のシミュレートがあると思います。私個人の考えとしては、代理店や取引先の出してくる契約前のシミュレートはまったくあてにしていません。その通りになったことがない、というのが一番の理由ですが、あくまで営業資料なのできれいな数字に合わせてきていることが多いからです(というかそもそも精緻なシミュレートって難しいですしね)。
シミュレートに含まれる数値の見方としては、私は以下のような感じで眺めています。
- CPM:配信セグメントをこちらで指定した場合にどれくらいのCPMになるのかはそんなにぶれないと思います。ただし、セグメントを細かく切ったり、月間の運用額を少なくしたりすると高くなるのでそのあたりは聞いています。
- CTR:他社事例のバナーのクリエイティブとCTRの実績(と配信条件)を教えてもらえれば、参考数値にはなると思います。
- CVR:CVの定義を何においてシミュレートをしているのかをまず確認し、その上で自社の数値を照らし合わせながら見ます。オーディエンスは威信かリタゲ配信かによっても変わるのでそのあたりも加味して見ています。
- CPA:上記のKPIの掛け算で計算できるので、勝手にこちらでいつも計算しなおしています。
その他で確認すること
- 支払いの条件:末締め翌月払い、前払い、など
- クリエイティブ制作:制作を依頼した場合にやってくれるかどうか、その場合の金額と権利帰属がどちらになるのか。
DSP広告の営業を受ける機会別の確認方法
DSP広告の営業や説明を受ける機会は大きく3つあります。
- ホームページから自分で問合せる
- 営業電話がかかってきたりや自社コーポレートサイトに向こうから問合せが来る
- EXPOなどのイベントのブースで説明を聞く
ホームページから自分で問合せる
代理店やDSPの取り扱いのある企業のホームページの問合せフォームから問合せたり資料請求などをするケースです。問合せ後に先方から電話がかかってきてヒアリングもしくはアポの調整が入ることになると思うので、詳しくは実際に会って聞くことが多いです。
営業電話がかかってきたりや自社コーポレートサイトに向こうから問合せが来る
基本アポなしのことが多いと思います。上記の要点だけ電話で聞いて、興味があったら実際に会って話を聞くことが多いです。電話で確認するために5分くらいで聞いておきたい簡易ポイントをまとめておくと急に連絡が来てもあわてずに聞けます。
EXPOなどのイベントのブースで説明を聞く
事前にアポをとっておくイベントとふらっとブースに立ち寄るケースがありますが、時間だとだいたい10分~20分程度でしょうか。やはり、DSPのブースであればこんなことを聞こう、とあらかじめ準備しておくといいと思います。
DSP広告についてまとめ
DSP広告などふだんあまりなじみのない広告の場合、担当してくれる営業のスキルによっても受ける印象は変わってはしまうものの、そもそもどんなDSP広告なのか、それは自社のサービスのマーケティングとマッチしているのか、という点できちんと判断して出稿可否をしたいですね。
優れた機能を持ちEC業界で非常に人気のDSPであっても、ブライダル業界では全然目的が違うので一概にいいとは言い切れません。上手な営業にのせられて無駄な広告配信をしないように、一息おいて考えてみましょう。