アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
今回は常識を疑ってみよう!という頭の体操の記事で、テーマは「ブライダルの市場規模を広げる方法」です。ブライダル業界の市場規模や約1兆3千億円ある一方、少子化に伴う結婚適齢期人口の減少、婚姻率の低下、結婚式実施率の低下、これらが相まって年々市場規模は縮小してきています。このマクロトレンドの中で結婚式場各社は日々の競争環境に置かれているわけですが、今回の記事では、この市場規模をいつもとはちょっと違う角度から考えてみます。
今のブライダル業界の市場規模
ブライダル業界の市場規模は約1兆3千億円です。その根拠となる詳しい情報については別記事でまとめてありますので、興味のある方は下記のページからご覧ください。
ざっと概要をまとめておきます。
挙式・披露宴 | 1兆1,900億円 | 婚姻組数:約60万8千組×披露宴実施率:55.3%×組単価:354.8万円 |
挙式のみ | 180億円 | 婚姻組数:約60万8千組×挙式のみ実施率:9.9%×組単価:30万円 |
食事会・会食 | 752億円 | 婚姻組数:約60万8千組×食事会実施率:15.5%×組単価:80万円 |
フォトウェディング | 63億円 | 婚姻組数:約60万8千組×写真撮影実施率:4.3%×組単価:24.1万円 |
合計 | 1兆2,900億円 | - |
ブライダル業界の計算方法を別の角度から考える
次に、この市場規模の考え方をもう1段階細分化してみます。
- 挙式・披露宴の市場規模=組数×組単価
- 組数=婚姻組数×結婚式実施率
- 婚姻組数=独身人口×婚姻率
組数に関しては、結婚式実施率、独身人口、婚姻率、この3つのKPIが日本社会では減少し続けているのでブライダルの市場規模が縮小してきている、この流れについてはいいですよね。こういった背景はブライダル業界に限らずドメスティックな事業形態をとっている以上なかなか対抗できるものではないと思います。
もう1つの組単価を細分化して考えていきます。
- 組単価=新郎新婦自己負担金額+ご祝儀
- ご祝儀=列席ゲスト×3万円(平均)
こうなります。自己負担金を今から増やすのは難しいでしょう、またご祝儀を増やすためには列席人数を増やすか1人当たりのご祝儀額を高くすることが必要です。どうでしょうかね?これも難しそうです。
そこで、ご祝儀の原資に、もう1つの経路を増やしてみることを考えてみます。
- ご祝儀=列席ゲスト×3万円+列席しないゲスト×3千円
3千円という金額は適当に設定していますが、ポイントは列席できないゲストからもお祝い金をもらえないか?という点です。海外にいるなど地理的な理由、会場のキャパシティで入らないなどの理由、ゲストのスケジュールの理由、など、本当は声かけたい/かけたけど当日に来れない人は一定数いると思います。
そういった人たちから、当日は来れないけど結婚おめでとうね!というお祝い金を新郎新婦が受け取ることができれば、もう少し金額的な余裕ができるんじゃないかな?と考えられます。例えば新郎新婦合わせてそういった交友関係の人が100人いたとすると、3千円×100人=30万円、今より新郎新婦のお財布は増えることになります。
これが自己負担金の軽減に使われるのか、そのまま組単価にオンするかは微妙なところですが、そうすると結婚式場への支払額が増える=組単価が上がる=結婚式場への売上が増える=市場規模が増える、となるわけです。
列席しないゲストからの送金を実現するためには?
と、理屈だけ並べるとまぁ確かに、と思われるかもしれませんが、実際には何となくかなりハードル高そうだなと思います。
- 列席はしないけど結婚したことを伝えたい相手はけっこういる
- その人たちの中にもふたりの結婚をお祝いしたいと思っている人もけっこういる
これが成り立つと仮定すると、その間の送金システムさえ作ってしまえば理屈的にはいけそうな気がしますよね。でもなんか、こう、合理的な理由ではないのですが、そのシステムがあっても発展しなさそうな気がします。思いませんか?
たぶん、文化的にそういったことが今までなかったのでユーザーが戸惑うのと、送金するきっかけが作りにくいだろうなと考えられるのが原因ですね。例えば、
- 「久しぶりー!実はね、今度結婚することになったんだ。(中略)。ということで、下のurlから3,000円の送金お願いね!また会おうね~~」
こんなLINEとかメッセがきたとして送金しようと思うかってことなんですが…。相手との関係性にもよるけど、少しためらいそうな気がします。
例えば、単にそのまま送金せよとかじゃなくて、新郎新婦の列席できない人向けライブ配信とかをして、その流れから~、とかであればまだいけそうな気はしますね。そのまま送金ではなく、ライブ内での投げ銭の感覚です。
参考記事:【空想事業企画⑤】結婚する二人を「直接」祝福できるライブ配信サービス「OURROOM」
こうやって、今までにないところからお金を集める、というのも市場規模といわず個々の結婚式場でも考えるべき課題の1つなのかなと思います。
ブライダル業界の市場規模を拡大させる話のまとめ
今回の記事の結論は、当日列席できない方からも新郎新婦に簡単に送金できる仕組みをつくろう!です。そうすれば新郎新婦の手持ちが増え、ひいては結婚式場への支払額が増え、売上が伸びますね!というお話でした。ブライダル市場規模=シュリンク&ブライダル業界の今後=ジリ貧、こういったイメージを持っている方にとって、常識を別の角度から見て可能性を考えてみるきっかけになれば、と思って書いてみました。
あと、もし送金サービスを作ったとしても、この記事で書いたような文脈でリリースしたら、下手したら炎上する可能性もあるので気を付けてください。それくらい世間の結婚式のお金に関わる話は敏感ですしネガティブに捉えられることが多いように思います。