アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
これまでのイベントディレクションの事例をもとに、結婚式場が主催するウェディングイベントについて考えてみます。
目次
ウェディングイベント飽和時代の到来
2022年ころから、ウェディング関連のイベントが増えてきています。
- ゼクシィフェスタなどの媒体主催のイベント
- レトロ婚フェスのような式場運営企業が主催するイベント
- 楽婚フェスタのような式場だけどプロデュース主催のイベント
このように主催者は様々ではありますし、地域によって開催頻度に差はあるものの、首都圏や関西などの大都市圏ではかなりの頻度で開催されています。プラコレのインスタ見てても告知投稿多いですし、Instagram広告もイベント集客用のクリエイティブだらけになってきてますよね。
数年前まではゼクシィやハナユメが年に1-2回くらい開催する、地域によってはウエコレやレイウエディングがたまに開催する、くらいの頻度だったのが、今では日常的にどこかで開催されているような状態になってきました。
こうしたウェディングイベントが増えることの是非については以下の記事にまとめてありますので、興味あればご覧ください。
・ブライダル業界の結婚式場探しイベントが増えている理由と今後の予想
今のマーケット環境や式場の集客状況を考えると、出店か主催かはさておきイベント施策も実行しないとだめだよなとは思いつつ、式場の成約までの工程が明らかに1段階増えることになるので金銭的コスト・人的コストを適切にマネジメントしないとCPAは上がり続けていずれ自分の首を絞めてしまうこともまた事実であり、判断がむずかしいところです。
さて、このようなイベント飽和時代に突入し、自分たちでもイベントをやってみたけどなかなかうまく狙った効果を出せない、、、という式場集客担当者からの相談も増えてきているので、今回は「式場主催のウェディングイベント」のポイントについて考えてみます。
イベントコンテンツによる差別化は難しい
2024年の大都市圏において、イベント自体の珍しさはもはやありません。
たぶんこれは30年前(?)にブライダルフェアが登場した頃(まだ毎日開催されるものではなかった頃)と似たような感じなのではないでしょうか。まだ僕はその時この業界にはいなかったので話でしか聞いたことないけれども。
式場主催かつ式場で開催されるイベントコンテンツは
- パーソナルカラー診断
- 骨格診断
- その他プレ花が興味ありそうな診断(顔タイプ診断、肌診断、など)
- ウェディングドレス試着
- 婚礼料理またはスイーツ試食
- 結婚式場相談
- フォトウェディング相談
- その他プレ花が興味ありそうな相談(マネー、ハネムーン、ジュエリー、など)
このような内容が一般的です。
様々な診断や試着コンテンツを無料で体験できることをフックにイベントへ集客し、結婚式場相談ブースへ誘導し、後日の来館予約(ブライダルフェア予約)を取るをゴールに設定していることがほとんどでしょう。
イベント自体が珍しく、パーソナルカラー診断や骨格診断が流行りだした2021年などは様々なコンテンツを無料で体験できることでの集客力が強かったですが、イベント自体が珍しくはなくなった&自分で診断受けたことがある人の割合が増えたことで、これだけで集客をするのは難しくなってきたと言えます。
つまり、開催することが差別化だった2020年~2022年までと比較して、内容で差別化していかないとイベント集客すら難しい時代になってきているわけです。※ただしゼクシィフェスタのような強力なネームバリューを持つところは除く。
ウェディングイベントが解決できる顧客ニーズは何か?
今までは、カラー診断/骨格診断をすれば人は集まるらしい、試着できるよって呼べば来場者は来るらしい、来場者の式場相談ブース通過を強制すれば一定確率で来館予約は取れそう、とか手法論から考えていくことが多かったと思います。
様々な手法で1組でも多く集客を!は経営的には正しいのですが、このような小手先勝負なってくると最終的には資本力があるところが勝つのが世の常なので、いったんここでマーケティングの基本に立ち返ってみましょう。
- イベントはどのような人のどのような課題を解決するのか?
- 結婚式場見学でもない、ブライダルフェアでもない、イベントだからこそ提供できる価値は何か?
- その中でも結婚式場が主催するからこそ作れる価値は何なのか?
この辺りからを考えてみます。
解決する顧客課題は何?
検討フェーズ初期段階の方の、何がわからないのかわかっていない状態だからこその不安を解決するのがイベントじゃないかなと思います。
僕もたまにイベントに行かせてもらってますが、今でも
- 結婚式場に見学に行ったら決めないといけないと思ってたので、本当に吟味してから予約しなきゃと思ってました
- 結婚式場の見学ってお金かかると思ってました
- いきなり結婚式場に行くのが何となく怖いと思ってました
参加者からこのような言葉を聞くこともあります。
これだけ情報があふれていても(逆に多すぎるから?)こんな感じなので、この辺りの顧客が不安に感じていることを解決できるといいんじゃないかなと思います。
イベントだからできる価値は?
イベントは営業の場というよりは体験の場としてとらえた方がよさそうで、つまりは様々な体験を通じて
- 式場探しをするにあたっての細かな不安や漠然とした不安を解決する
- 結婚式場や自分に合ったスタイルの探し方を知る
- 見学前に考えたことがいいことを知る
この辺りが提供価値になるんじゃないかと思います。
式場主催(開催)だからできることは?
結婚式場見学は怖くないよ感を出せることじゃないですかね。
弊社でディレクションさせていただいたウェディングイベントはもう10回近くになるんですが、式場開催のメリットは「スタッフの良さを直接的に来場者に伝えられること」だと思ってます。
来場者アンケートの自由記述欄にも「スタッフの方が本当によくしてくれて楽しかった」というコメントはよく書かれます。
最近はメディアでのスタッフ訴求も増えてきましたが、スマホ越しに見るよりも実際に会って体感してもらった方が100倍伝わりますし、うまく来場者のInstagram投稿を促せる仕掛けを作れると間接的なブランディングにもつながります。
式場主催イベントの目指す姿は何か?
現実的にはイベントに伴う費用対効果が合うのか?が開催を継続するかの論点になるのは言うまでもありません。
- たくさん来場してくれました。
- 来場者アンケートのイベント満足度も高かったです。
- でもイベントきっかけでの成約は0組でした。
- かかったコストは人件費含めて100万円でした。
これだとただのボランティアイベントになってしまうので、じゃあまた次もやろう!とはなりにくい。何かしらの形でちゃんとリターンを得られなければいけません。
となると、開催側の目的は業績的なリターンであることは理解しつつも、営業感を出さずに体験を通じて認知やエンゲージメントを高めることを目的とするのがよさそうです。
この辺りの目的意識の持ち方というかスタッフの感覚は可能な限り統一するのが望ましいものの、実際には何度かやっていきながら感覚として覚えていくことが多いと思います。
これまでの自分の経験からして、式場主催イベントの初回から全員の意識が揃っていて大成功!はかなり難しいとおもいます、やったことない人がほとんどですからね…。
また、対顧客メリットの観点、開催運営コスト効率化の観点から、可能であれば複数社(複数会場)での合同開催した方が良いと思っていて、その方法は
- 似たような会場が数社集まって特定のウェディングスタイルを訴求するコンセプトで開催する
- 極端に異なる会場が数社集まって、いろいろを1日で知られるイベントコンセプトで開催する
このいずれかがよさそうです。特にゼクシィフェスタ開催地域では、ゼクシィとは違う訴求をした方が良いでしょう。
そのほかのポイントとしては
- ブライダルと関係ないインフルエンサーをキャスティングしてもあんまり意味ない
- 開催にかかる固定費(診断の先生へのギャラ、社員人件費、等)に対して広告宣伝費を抑えすぎると失敗しやすい
- 会場レイアウトとオペレーション設計によって来場者のブース参加率は大きく変わるので、当日にどのような導線で来場者が動くのかの緻密な事前シミュレーションは必須
- イベントで後日来館予約を獲得できるか?だけで判断するのではなく、イベント後に後追いすることを前提に考える
このあたりも意識するとよいでしょう。
開催を検討する場合は、エリアや開催規模、予算、会場の特徴、用意できるコンテンツ等によってイベントコンセプトは様々考えられるので、あくまで考え方のポイントとしてご理解いただけるとよいかなと思います。
結婚式場主催のウェディングイベントについてまとめ
イベントはお客さんにとってもいいと思うんだけど、上手にやらないと式場側の疲弊を招くので開催ノウハウが確立されるといいなと思います。
ちなみに、ウェディング系イベントで一番うまくいっていそうに見えているのが「HANAYOME PARK」。式場主催ではないのだけれども。
・HP:https://hanayomepark.page/
・Instagram:https://www.instagram.com/hanayomepark/
名古屋なので実際に行ったことはないですしSNSとかサイト見ているだけですが、企画~事前告知~当日までの発信はもちろん、開催を重ねるごとに進化して言っている感がすごいなーと思いながら見ています。
式場主催ではないので今回のメルマガの趣旨とはちょっと違うかもしれませんが、こういうイベントはどんどん増えていくといいなと思いますね。