ブライダル総研のある記事を読みまして、改めてこのテーマについて考えてみました。ウェディングプランナーがいる場合といない場合を比較して何が違うのか?その差分を介在価値としたときにどんなことが考えられるのか?という内容について書いてみます。
目次
ウェディングプランナーはなぜ必要か?
今、改めて考える「結婚式の意味」と「プランナーの介在価値」とは? (「GOOD WEDDING AWARD2020」より)
このエントリを書こうと思ったきっかけはこの記事を読んでみて。確かに改めてタイトルとして書き出してるといったん何なのだろうか?と思うところもありちょっと考えてみようと。
先に断っておくと私自身にプランナー経験はありません。結婚式場運営企業で企画職をやりながら、また起業後も様々なフリープランナーの方とお話しさせていただく中で感じていたことをもとに書いています。
で、先に結論から書いてしまうと
- 準備の作業効率化
- 結婚式のクリエイティブ
- プロセスを通じた経験
この3つだと思っています。詳しくは後述しますが、「なぜ結婚式をするのにウェディングプランナーが必要なんですか?」という問いに対して
- 結婚式準備を効率的に進めることができるから
- 素人では創れないクリエイティブな結婚式にすることができるから
- 準備~当日までのプロセスを通じて二人の価値観や人生観に新しい気付きを与えてくれるから
このように回答できるから、と読み替えていただくイメージですね。逆に言えばこれが満たせないなら要らなくない?という話であり、またこれから時代とともにこの介在価値も変わっていくものと思っています。
1.準備作業の効率化への貢献
もしプランナー無しで結婚式を企画~開催しようと思った場合に、開催場所やアイテムなどすべてのコンテンツをゼロから探して全部を自分で決めていくことになります。ここは現役のプランナーの方がより実感できるところだと思います
もちろんできないことはないし実際に完全DIYで開催している人もいますが、割合で言えばそこまで熱量高くやり切れる人はほぼいません。
ブライダル業界の中だけで見ても、多様な会場に多様なドレス、花屋、アイテム業者がすでに存在しており、その情報を集め比較検討し選択していくのは、本当に大変。さらに業界外のアイテムなども取り入れて…となるとさらにその範囲は広くなり…。
こういった多様かつ大量な情報を事前に集約し、かつカップルごとに最適な商品をオススメしてくれることでその時間を短縮することができるのはプランナーの介在価値の1つだと言えます。ここはあまり普段から意識している人は少なそうだなと思いますけどね。
ただしこれ結婚式場勤務のほとんどの場合、「プランナー」の介在価値であって、「プランナーAさん」の介在価値ではないんですよね。嫌な書き方をすれば在籍している式場のオペレーションと取引先を理解していて接客・案内できれば誰でもいい。
そして、もうちょっと先の未来になればシステムやテクノロジーに置き換割っていくと思います。Amazonに接客員はいないですが、優れたUIと高性能なレコメンドアルゴリズムがあるので不便さを感じることは少ないですよね?そういう流れになるかと。
2.結婚式のクリエイティブを高める
2つ目はクリエイティブの話。
ここでいうクリエイティブとは、どこで挙げるか、どのように装飾をするか、どのドレスを着るか、どのブーケにするか、進行をどうするか、演出はどうするか、など各ウェディングコンテンツを組み合わせることで生み出される結婚式のトータルコーディネートのことです。
この組み合わせが顧客の感性や価値観に高くフィットしているからこその高いクオリティが生み出す付加価値、とでも言いましょうか(日本語ムズイ)。
「この式場の結婚式」を提供するのであればそんなに重要ではない要素なのですが、「この二人だからこそ」の結婚式を創るためにはこのアレンジができる能力は必要であり、これはブライダルでの長年の経験や知識、それと顧客ごとのインサイトを読み取れるスキルがあるからこそできることです。
初めて結婚式を挙げる顧客は自分たちには何が最適なのか?は分かるはずもなく、そこを埋めて満足度を高めるのはプランナーの介在価値の1つだと思います。
これは人によってスキル差がある部分であり「プランナーAさん」だからこその介在価値になり得る要素だと思います。式場勤務の場合、どの商品をどのようなトークで提案するかというテンプレートがあるので(ほとんどの場合ね、別にテンプレが存在すること自体は悪ではないですよ、当社で担保するクオリティの基準を設けるという意味で)、その通りの接客をするのか自分なりの顧客に合ったアレンジ提案ができるのかの差はあるかなと。
ここの領域については、そのアレンジ精度もAIの方が優秀という未来もなくはないのですが、データ量の不足、技術開発投資原資の不足などの理由から実現は遠いと思いますね。
3.プロセスを通じた経験
3つ目はプロセスにフォーカスした話。文中からの引用で言えば次の部分。
今の時代、結婚式に対する考え方は人それぞれ。無理にする必要はないし、しなくても困ることも無いのかもしれません。でも、やはり私は、今回のアワードを通じて、「結婚式のある人生と無い人生は、何かが違う、何かが変わる」と感じました。何より親でも友達でもない、究極の第三者であるウエディングプランナーが、ここまで他人の人生を考えてくれる、こんな機会はそうありません。
コロナに負けること無く、この大切な機会をこれからもより多くの方に体験していただけるよう、結婚を考えている人と、何よりもウエディングプランナーに、「結婚式の価値」と「ウエディングプランナーの介在価値」を、これからも伝えていきたいと強く思った今回のアワードでした。
個人的には経験という単語が全然しっくり来ていないのですが、他に単語が思いつかずにこのように書いています…。
結婚式って時間にすれば3時間くらいで、長い人生においては一瞬ともいえる時間ですよね。でもこの時間を創るまでの過程でカップルがお互いについてわかることや見えること、気付くことってたくさんあると思うんですよ。で、その気付きは結婚後の生活にプラスにもマイナスにも大きく影響する。
そのプロセスを通じた経験をプランナーが並走してあげられるからこそ、その影響をプラスに変えていくことができる。記事内にもあるように、親族でも友人でもない第三者の人が二人の人生についてそこまで深く考えることってほぼないんですよね。だからその経験は貴重だし価値ある時間になる。
これもプランナーの介在価値の1つだと思います。このコンセプトはCRAZYが強みとしているところのような気がします。
ただ、1つあるのは結婚式をしたい人が全員それを求めているかと言えばそうではない、という点かな。というか式場探しをしているときにそこまで考えている人はほとんどいないんじゃないですかね。つまり潜在的な介在価値。
ここを顧客ごとにどのように捉えてどのように寄り添っていくかはスキルというかプランナーの腕と言えると思います。
ウェディングプランナーの介在価値は変化していくのか?
これまでの多くのプランナーは1の要素が強かったですし、運営企業側もそれをスタッフに求めていたと思います。
業務効率を改善せよ、成約率を高めよ、単価を上げよ、など、こういったことを会社から言われることは多かったですよね。
情報の非対称性が高くかつ顧客はリピートしない、頑張って高い顧客満足を得ても次の顧客にはつながらない、次の顧客を呼んでくるのはゼクシィだけ。こんな業界環境なのでこのようになるのは仕方ないと思いますし、むしろ競争環境において企業側は最適化していたとも言えます。
ただこれからは、少なくとも1の介在価値はシステムやテクノロジーによって置き換わっていくでしょうし、むしろここは置き換わっていかなければいけない部分だと言えます。いつまでFAXで受発注してるんですか…?っていう話で、そろばんが超早い経理の人が今の時代に価値ある人材ですか?っていうのと同じ。
そして、これからは2と3の部分で求められる比率が高くなるだろうと。
人から選ぶ、のようなコンセプトのウェディングサービスも少しずつ出てきていますし、所属している社員を押し出したプロモーションを展開している企業も増えてきています。
では、人から選ぶって一体なんなのか?
この人となら他にはないクリエイティブが実現する、結婚式を通じてかけがえのない体験ができる、だからこの人にお願いをする、そこに価値がある、こんな理屈になるんじゃないかと。これ以上を言語化するのは難しいのですが。。
そのプランナーに紐づく要素を発信するチャネルはこのようなブログだけではなく、SNSもYoutubeも多様にあり、どちらかと言えばチャネルごとのグロースをハックするのではなくコアな部分をどうやって磨けるかが選ばれる理由になっていくと思います。
ウェディングプランナーの介在価値についてまとめ
パッと記事見て思い付きで1時間くらいで書いたものの、意外と長くなってしまいました。まとめると現時点での介在価値は次の3つ
- 準備の作業効率化
- 結婚式のクリエイティブ
- プロセスを通じた経験
このうち1はこれからシステムやテクノロジーに置き換わっていき、2や3がより価値としての重要度を増していくと思う、という内容でした。