更新日 2022年04月02日

ブライダル業界のDXについて考える

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アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

最近トレンドワードとなっている「DX」というワード。ブライダル業界でも例にもれず飛び交っているわけですが(最近はちょっと減ってきたかも?)、やろう!と思ってすぐに完成するものではなく、しっかりと取り組んでいくことが必要なテーマだと思っています。そこで、今回の記事では、ブライダルにおけるDXについて考えてみます。

 

そもそもDXとは何か?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経済産業省の「DX推進ガイドライン Ver.1.0(平成30年12月)」では

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

と定義されています。ちょっと難しいですが、簡単に書くと「ITを活用してビジネスモデルを変革し、競争優位を確立すること」と言えますし、ここには書いていないですがそれが結果として顧客の価値創造につながることが真の目的だと思います。

これまでも結婚式業務のデジタル化やIT活用は叫ばれていましたが、特に今年に入ってからの顧客接客業務のオンライン化やテレワーク対応などを背景に、その流れが加速してきているように感じています。

一方、発信されている内容は様々で、デジタルツールを使うこと、業務をデジタル化すること、オンラインの新サービスを提供すること、など粒度や対象領域が異なる様々な場合でもDXというワードが使われています。

DXはいきなり起こるものではなく、デジタル化、デジタライゼーション、DXと、フェーズによって段階的に実現していくものです。

752_DX(デジタルトランスフォーメーション)

まずはデジタル化。これまで紙やFAXなどのアナログなツールを使っていた業務を、システムを活用することで効率化することがこの段階。紙台帳をカレンダーツールを使う、FAXでの受発注をシステムを使って発注できるようになる、など。

次にデジタライゼーション。単体のツール導入による効率化の次のステップとして業務をデジタル化することで、例えば「来館者アンケートをiPadで回答すると自動で顧客管理システムに連携される」などのこと。この場合はシステム入力業務にかかっていた工数が効率化される。

最後にデジタルトランスフォーメーション。テクノロジーを活用することで、ブライダルのビジネスモデル自体を変革し、これまでは作ることができなかった付加価値を創造するのがこの段階です。

このように、ITツールを使うことだけがデジタルトランスフォーメーションではなく、その先の業務オペレーションの見直しと効率化、そしてビジネスそのものを変革していくことが目的なのです。

 

ブライダル業界におけるDXとは?

先ほどの定義とした場合にブライダル企業、特に結婚式場運営企業のDXはどのように進めていけばよいでしょうか。

企業ごとに現状のデジタル化の進み具合が異なると思うので、ざっとこんなことができるんじゃないかというのを書いてみます。

デジタル化

  • 紙台帳をカレンダーシステムにする
  • 顧客情報を書面のファイリングから顧客管理システムの利用にする
  • メールをチャットツールに変える
  • エクセル週報をBIツールに変える
  • 来館者アンケートを紙からipadにする
  • サプライヤーとの受発注をFAXからメールでの発注にする
  • 納品確認を目視からツールでの確認に変える

など。このように、これまでのツールよりもより簡単にできるものへ変えていく流れです。

デジタライゼーション

  • 見積りをエクセル作成から顧客管理システムツールからエクスポートできるようにする
  • 来館者アンケートの結果をipadからシステムに連携する
  • AMSと自社システムをAPI連携してデータ入力工数を削減する
  • 顧客管理システムの見積りからサプライヤーに発注できるようにする
  • 顧客管理システムの見積りを会計システムをAPI連携して経理処理業務を削減する
  • ご祝儀をシステムを使って事前送付
  • オンライン接客ツールを用いたオンライン接客とリモートワーク化

など。ツールやシステムを使うことを前提に業務を新しく設計し、工数削減をします。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

など。具体的にどのような技術を使って、どのように実現させていくかはまだぼんやりとしたイメージではあるものの、マネタイズを変える、提供する価値を変える(もちろん顧客が求めている価値であることが前提)、ここまでを実現できて初めてDXと言えるんじゃないかなと思います。

 

ブライダル業界のDX推進にこれから必要になること

企業のIT化がどこまで進んでいるか、その現在地によって必要なことは異なりますが、今後IT化やDXを進めるにあたってどう進めるか、何が必要かについても考えてみます。

投資の意思決定

システムやツールを導入するのにはコストがかかります。これまでの結婚式場運営における大きい投資は、会場費、修繕費、人件費、広告費などですが、IT化を進めるのであればこれらと同額、またはそれ以上の投資が必要になります。

これまで使ったことがない分野への投資は慎重になりがちですが、、必要なコストと理解して意思決定することが必要です。

社員の意識変化

システムやツールは導入するだけでは意味がなく、まず使うこと、次に使いこなすこと、そして使う前より効率的な業務フローになっていることが重要です。

そのため、実際に対象となる社員にはなぜこのツールやシステムを導入するのか、導入後に何を目指しているのか、どういったメリットがあるのかなどををしっかりと説明し、納得した上で業務に組み込んでいきましょう。

経営のコミットメント

実行すると決めたら途中で困難があってもやり切ることが重要で、中途半端に導入だけして途中でやめたりすると逆に非効率になることも多いです。

システム導入や変革の過程では多くの場合車内からの反発や抵抗を受けることは多いですし、業務が効率化すれば今いる人材が不要になる可能性もあります。もしそうなっても最後までやり切る、その覚悟が必要だと思います。

専門人材の確保

エンジニアやデータサイエンティストなど、IT化を進めるにあたって必要なリソースを確保することは極めて重要です。ただ、一般的にプランナーの給与レンジをは全く異なるので(プランナー平均年収の2倍以上の場合も多い)、採用を目指す場合は給与規定の改定や社内理解の醸成も必要となるでしょう。

また社内での採用が難しい場合は外部の専門家と提携することも選択肢の1つでしょう。その場合はPL上は業務委託費になりますが、それなりのコストになるのでやはりその投資への意思決定は重要になります。

 

ブライダル業界のDXに関するまとめ

DXの定義とそこに至るまでのステップ、もし実行するなら必要になることをまとめました。

いずれ必要になることは認識しつつもなかなか実行に移せない企業も多いと聞きますが、いつかは必要になることですし他業界では進んでいる事例も増えてきているので、取り組むなら早い方がいいのかなと思います。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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