更新日 2021年08月18日

結婚式場で精度の高い業績予測するための考え方とそのメリット

0003_結婚式場の業績予測の考え方

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

結婚式場は契約してから結婚式を実際に実施するまでの期間、つまり営業活動を行ってから売上が計上されるまでの期間が長く、それを考慮した業績予測を行う必要があります。上場/非上場に関わらず、正確な業績予測は企業の意思決定精度を高めますから、業績進捗はできるだけ正確に把握しておきたいものです。今回は結婚式場の業績予測について、基本的な考え方から具体的な管理ツールまでを解説します。

※営業活動から売上までの期間って?という方はこちらの記事をご覧ください。

 

成約月と施行月の関係性を理解しよう

ある4月の1ヶ月間の成約が20組だった場合、以下のような成約者リストになります。

03_特定月に成約した顧客のリスト(例)

見てわかるように1ヶ月間に成約した人でもその挙式月はバラバラです。

03_特定月に成約した顧客の施行タイミングはバラバラ

グラフにするとこんな感じですね。

一般的に、契約から結婚式までの期間は6か月~10か月と言われていますが、地域差もありますし3か月以内を検討されている人もいれば1年以上先の時期を検討している人もいます。何月来館の方が何か月後の結婚式を検討しているかのデータはAMSのデータなどを洗えば集計・分析可能なので、ぜひまずは自社の実績を確認してみてください。

では次は、施行月を基準に考えてみます。以下はある一ヶ月間の施行顧客のリストです。

03_特定月に施行した顧客のリスト(例)_3

施行月はすべて20XX年6月ですが、成約月はバラバラです。

03_特定月に施行する顧客の成約タイミングはバラバラ

同じくグラフにするとこんな感じですね。これも適当につくった分布ですが、過去データを元に分析をかければある程度は精度高く予測することが可能でしょう。

さて、ここまで書いた以下の2つのポイントを理解することが、結婚式場の業績管理の第一歩になります。

  • 成約した月が同じでも施行月にばらつきがある
  • 施行した月が同じでも成約した月にばらつきがある

 

結婚式場の業績予測では成約と施行のつながりが大事

ここまで「成約月ごとの挙式月の分布」と「挙式月ごとの成約月の分布」について書いてきましたが、結婚式場の業績予測をするにはこの2つのつながり踏まえてを予測する必要があります。

03_毎月成約した顧客が積みあがっていくイメージ_2

こんな感じですね。

そして、この成約と施行をクロスにして考えていきます。成約月ごとの分布を縦に並べ、施行月の組数を縦に合計すると、その施行月の合計組数になります。

03_毎月の成約と施行月の掛け算表で表すとこんな感じで、毎月の成約数が右側の月別施行組数に分布されていくイメージ。そして赤枠の11月の施行組数は4月、5月と1か月たつごとに積みあがっていくイメージです。

 

予測時点での受注実績と業績予測

03_例:4月(期初)年度業績予測をする場合の考え方

上記の図のように例えば期初に年度の業績予測をする場合、「成約済みの組数+これから成約する組数=通年の施行組数」の計算式で予測することになります。

成約済みの組数は実績データを集計すればよく、これから成約する組数は先ほどのような月別成約数の施行付き分布で計算すればシミュレートすることができます。

また、期中に業績予測をする場合でも考え方は同じで、成約済みの実績の割合が月を追うごとにどんどん増えていくイメージです。

実際の現場ではエクセルでフォーマットを作って運用することが多いでしょう。細かなフォーマットや関数の組み方はこの記事では割愛しますが、基本的な考え方をマスターしていて「施行月の分布割合データ」と「月別の成約目標数」だけあれば比較的簡単に組むことができるので、ぜひチャレンジしてみてください。

もし業績管理用のフォーマットについてや考え方についてご質問がある場合は下記フォームよりお気軽にお問合せください。

お問合せはこちら

 

精度の高い業績予測をできることのメリット

ブライダル企業、特に結婚式場におけるマネジメントでは「当月成約目標に対する進捗」への意識は高いものの、「未来の売上予測」を見据えてきちんと対策を打てているところは少ないと思います。

  • そもそも業績管理の中の項目に売上予測が含まれていない
  • なんとなく売上予測をしているが、根拠となるロジックがなく担当者の勘に頼っていて精度が低い

など様々な理由はあると思いますが、目先の営業の数字だけを追っていてもきちんと売上に結びつく施策をクリティカルに講じていくことは難しく、契約から売上計上までのリードタイムが長い結婚式場ビジネスでは、気付いたときにはすでに手遅れであることがほとんどです。

03_精度の高い業績予測をできることのメリット

こうならないために必要なのが精度の高い業績予測であり、その最大のメリットは「施策の判断、実行をすぐにできる」ことなのです。

例えば通期の業績が目標に対して未達になりそうだ、ということに早く気付くことができれば、

  • 売上が未達になりそうな月限定のキャンペーンを打って集客し、集客組数を増やす
  • 時期が特に決まっていないユーザーに対して積極的にその月へ誘導する営業をする
  • すでに成約済みのユーザーへの二次会の販売を積極的にかける

など、組数を増やす、単価を上げるための施策はかなり打ちやすくなります。その状況を見落とし、時すでに遅しの状態にならないためにも、業績予測は成約の進捗確認と同等もしくはそれ以上に重要な業績管理なのです。

 

結婚式場の業績予測の考え方についてまとめ

数値の見通しを確認する→その改善のための施策を数値的根拠から導く→実行のためのスケジュールとタスク管理を行う→実行する→見通しをまた確認する

このサイクルを正確に回すことで業績のアラートに早く気が付くことができますし、そのための対応も早く取り組むことができます。

まずは業績予測の基本的な考え方を理解し、自社の式場はどういう状態かな?と考えてるところから始めていきましょう。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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