アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
企業のIR情報を見て会社の状況や方針を理解できるのは、社会人としての重要なスキルの1つです。そこで、今回の記事では、エスクリの2020年3月期第3四半期の決算説明資料をもとに、その内容について考察してみようと思います。(注)本記事の内容はあくまで個人的な見解であり、投資向けに書いているわけではありません。この記事の内容をご覧になられて投資判断をされても一切の責任を負えませんのでご了承ください。
今回の第3四半期決算の概要
元となるエスクリの2020年3月期第3四半期の決算説明資料は下記URLで見ることができます。
決算概要
数字がたくさんあるのでざっと見るべきポイントをまとめると
- 売上高:前年比微減
- 売上総利益:前年比微増
- 営業利益:前年比微増
- 当期純利益:前年比減少
となっています。ここまでの決算状況で原価率が2%近く下がっているのがびっくりですね。原価率に関しての言及が特になく仕入れの工夫か他に何かあったのかわからなかったですが、これくらいの規模の企業で2%下げるのは相当なことだと思います。今後も継続すれば利益率改善には大きく貢献しそうです。
ただ、事業別に見ると不動産事業がマイナス、ブライダルはプラスとなっていて昨年と売上の構成比率が変わっているので、その影響で原価率が変化した可能性もあります(不動産事業が原価率が高く、ブライダルが原価率が低く、相対的な比率が変わり原価率が下がった、という理屈)。
ブライダル関連事業の状況
国内結婚式場運営企業の決算で見るべきポイントは下記の3つです。
- 新規受注組数
- 受注残組数
- 組単価
この数値を正しく見ることで、本業のブライダル事業の状態を外部からでもある程度把握することができます。
新規受注組数
2019年10月~12月末までの期間内の成約組数は前年比3%減です。2Qの新規受注実績も前年割れしていたので、通年で前年割れしている状態が続いているのだと思います。ちなみに、新規受注が落ち込むのは来館が少ないか成約率が低いかのいずれかが要因ですから、その要因分析と対策がどこまで取り組めているかが今後のカギになりそうです。
また、新規受注組数の結果は翌四半期~翌期の施行組数・売上として業績数字として返ってくるので、これから先1年間くらいの売上は単価でリカバーしない限り昨対を割る期間が続きそうです。
受注残組数
受注残組数は「受注済みかつ未施行の組数」なので新規受注が増えると増えますし、受注残組数×組単価予想が未来の売上になります。今回の発表では前年対比104.7%で伸びています。新規受注が減っているので受注済み組数も減るのが自然のようにも見えますが、この3Qでは台風による延期もあり未施行のお客様が多かったことなども影響しているのではないかと思います。
組単価
微減ですね。結婚式場運営企業は施行組数×組単価=売上、となるので、組単価が横ばいの場合はほぼ施行組数の増減がそのまま将来の売上に反映されていきます。
建築不動産関連事業
前期比で見ると売上、利益ともに大幅に落ちていますが、計画通りとあるので特に問題はないと思います。
その他の取り組み
プレスリリースに出ている内容はこのブログでもたびたび取り上げていますが、今回の決算説明資料で触れられている施策についても少しご紹介します。
ラヴィマーナ神戸の運営開始
2020年3月から9バンケットの大型施設「ラヴィマーナ神戸」の運営を開始しました。このブログでも紹介しましたが、該当記事はかなりのセッションをいまだに稼いでいて、業界内でも注目度は高そうです。成約済みのお客様ごと引き受けたのかゼロからなのかによって業績に乗り始めるタイミングは分からないですが、9バンケ分を新規出店するよりかは効率的に事業拡大をできたのではないかと思います。
少人数向け会場「ラ・メゾン・デ・アンジュ」OPEN
今後の少人数需要の増加に向けてのバンケ増設という取り組みです。こういったバンケがあることが集客にうまくつながると効果的だと思います。
それ以外の取り組み
- 株式会社サンリオとタイアップ ハローキティ&ディアダニエルのオリジナルドレスを開発
- 女性従業員の育児と仕事の両立支援
- 「東京都スポーツ推進企業」&「スポーツエールカンパニー」に認定
- エスクリのオンラインギフトショップ 「アニクリギフトストア」リニューアル&株主優待クーポン配布開始
このブログで紹介している取り組みもあるので、興味ある方はご覧ください。
エスクリの2020年3月度第3四半期決算についてまとめ
ほんとに簡単にですが、決算説明資料をもとに考察を書いてみました。ブライダルの現場で働いていると企業のIR情報を見ることはほとんどないとは思いますが、他の会社でどんなことをやっているのか、起こっているか、ブライダルマーケット全体をどのように捉えて動いているのかなどがわかると意外と楽しいと思うので、この記事をきっかけにIR資料も見るきっかけになってくれればうれしいです。