更新日 2021年10月19日

ウエディングパークの特徴とは?ビジネスモデルを図解してみた

161_ウエディングパークのビジネスモデル図解

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

事業のビジネスモデルを理解することは、その事業やサービスがなぜつくられたのか、どんなことを強みとしているのかを体系的に理解でき、事業開発や個人の知識習得でとても勉強になります。ブライダル業界の中でも様々な特徴的なサービスがあり、その仕組みや違いを知ることで見えてくることも多いと思います。

今回は「日本最大級の結婚式場のクチコミサイト」のウエディングパークのビジネスモデルを図解してみました。

 

ウエディングパークとは?

株式会社ウエディングパークが運営する、国内最大級の結婚式場のクチコミサイトです。全国6,000以上の結婚式場情報に、下見、本番、参列の口コミ、ユーザー投稿フォト、費用明細などの会場に紐づくコンテンツだけでなく、準備マニュアルなども充実しており、みんなのウェディングと並んでブライダル業界の2大クチコミサイトと言っていいでしょう。

weddingpark
Webサイト https://www.weddingpark.net/
運営会社 株式会社ウエディングパーク

では、このサービスのビジネスモデルを図解してみます。

 

ウエディングパークのビジネスモデル

ウエディングパークのビジネスモデル図解
ウエディングパークは2004年に当時のブライダル業界で初めてクチコミサイトを立ち上げ、クチコミを見ながら結婚準備をするというイノベーションを起こしてきました。立ち上げ当初はクチコミに対する業界からの逆風も多かったようですが、今では結婚準備におけるクチコミ利用は当たり前になってきており、ゼクシィに次ぐ規模の結婚式場情報サービスとして成長してきました。

ゼクシィ登場以降は特に、新郎新婦が結婚式場を探すときは会場が提供する情報が掲載された広告を見るか、直接の知人や友人の情報に頼るしか方法がなかったため、一生に一度のことで失敗したくはない意思決定ハードルの高い商材の割には、比較検討に十分な情報が出回っていない状態でした。

一方、新郎新婦は基本的にリピートしない、ゲストとしても比較できるほどの回数列席する機会がない、などの理由で「クチコミ」を集めることも難しく、新郎新婦は表に出ているわずかな情報と見学したときの直感を頼りに結婚式場を決めていたと言え、十分に比較検討して式場を選びたいというニーズに応えられているわけではありませんでした。

そこでウエディングパークは、このブライダル業界の情報の非対称性を埋めるべく、結婚式場のクチコミサイトを立上げ、インターネットやテクノロジーを活用したサービスを展開してきました。

DIGITAL×BRIDALを会社としても掲げており、技術開発力を活かして今では結婚式場だけでなく、海外(Wedding Park 海外)、フォトウェディング(Photorait)、指輪(Ringraph)、ウエディングドレス(Wedding Park Dress)など、ブライダル関連のサービスを幅広く展開しています。

もう1つの大手口コミサイトであるみんなのウェディングとの違いは、ウエディングパークは結婚式場の公式HPへの誘導を基本導線としている点です。他のブライダル媒体のほとんどはサイト内で来館予約や資料請求ができる設計になっていますが、ウェディングパークは以前から公式ホームページへのリンクが着地点になっています。

この意図は、ウェディングパークは来館獲得媒体ではなくユーザー認知獲得媒体としての立ち位置を築いていきたいから、だと思いますが(私個人の想像です)、この違いで事業成長にどのような影響が出るかは今後注視していきたいところです。

サイト内のコンテンツも定期的に新しいものが増えてきたりここまで順調に伸びていそうに見えますが、今後どのように攻めていくのか期待したいところです。テクノロジーに強いので、AIやブロックチェーン×ブライダル、あたりですかね。

 

今後の展開の予想

最後に、これから先にウエディングパークがどのようになっていくのかについて予想してみます。

メディアとしての今後

結婚式場情報サイトの事業領域はすでに成熟しており、ゼクシィが圧倒的1位でそれ以下の序列もすでにだいたい決まっていますので、その中で今後どうやって伸ばしていくかを考えなければいけません。
ウエディングパークの現在の事業モデルは基本的にサイト掲載の広告課金型なので、売上を伸ばしていくためには

  • サイト経由での送客数を伸ばすためのメディアパワーの向上が必要
  • 会場HP遷移後のCVの発生しやすい商品の開発と、それを売る法人営業力が必要

となるはずです。

メディアパワーを増やすためには、SEO、SNS、広告運用の最適化などの手段を徹底的に突き詰めていくのが基本戦術となりますが、サイト形態がCGM(Consumer Generated Media:ユーザー投稿型でコンテンツが自動生成されていくメディア)ですでにかなりのキーワード面を抑えているので、今以上にSEOで成長していく余地は難しいかもしれません。複数の静的なランキングページを用意したり、各エリアごとのページに適切なテキストをいれたり、URLの構成を見ても、結構緻密な内部対策を施しているように見えるので、今から爆発的な上積みは難しいかもしれません。

商品開発と法人営業については、他の媒体と違って直接的な効果を証明しにくいので(会場HPに計測タグを入れて成果図る方法がメインになるはずなので)、会場HPへの遷移効果をどのようにプッシュしていくかがキモかなと思います。また、広告商品だけでなく集客施策全体に付帯する商品などもありかなと思います。

また、マクロなトレンドでも見てみると「口コミの重要性の変化」についても考えていく必要がありそうです。例えば飲食業界では食べログ一強からRettyが登場して成長してきているように、誰が書いたかわからない信ぴょう性の低い匿名の口コミはあまり重要視されず(食べログ)、実名の口コミ(Rettyへ)を重視する傾向に徐々に変わってきています。

ブライダル業界で言えば匿名の口コミより、先輩花嫁の実際のウェディングレポート(ただし、結婚式場側が加工編集したものではなく、いいものも悪いものもふくむ生のレポート)などが重要視されていくと思います。これは特定のプラットフォームが必要になるという話ではなく、Instagramやtwitterでも自然発生的にたくさん起こっており、今後もこの流れは加速していくものと思います。

メディア以外の事業展開の予想

ウエディングパークからのリンク先の会場HPの運用改善コンサルティングやサイト制作、ウエディングパークのログデータを活用した広告配信の運用代行など、直接の広告掲載以外の技術力を活かした商品つくりは展開していくんじゃないかなと思います。

またDX推進資質の設置や、D-Creative Schoolの取り組みなど、式場やプランナー向けのコンテンツ提供を行っていたり、結婚あした研究所を運営したりとかなり展開事業や取り組みの幅を広げてきているように見えます。

顧客側のマクロトレンドの変化に対してだけだなく、式場や業界従事者向けのコンテンツも含めて、ウエディングパークがどのような事業展開を目指していくのかは気になるところですね。

 

ウエディングパークのビジネスモデルについてまとめ

ウエディングパークのビジネスモデルについて、簡単にまとめました。テクノロジー×ブライダルの領域では最先端を走っている会社だと思うので、次はどんなことを仕掛けてくるのか、業界全体にどんなインパクトをもたらしてくれるのか楽しみです。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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