アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
- 結婚式場を新規出店した場合の投資回収期間はどれくらいを想定しているのか?
- 式場運営における各種施策で効果を期待する期間はどれくらいを考えているのか?
この記事では、この2つの投資回収の時間軸について書いていきます。
1.結婚式場の出店投資時に想定している回収期間
結婚式場を新規出店するときのモデルと投資回収期間のイメージ
- 土地購入+建物建設
- 既存物件と賃貸借契約
- 既存式場をM&A
- 既存式場の運営権を受託
大きく分けるとこの4つ。
1の方が初期投資も大きく回収にも時間がかかる、逆に4の方は条件次第ではあるものの初期投資はかからず運営権を取得するだけなので短くなります(そのかわり利益率も低いですが)。
1.結婚式場を建設した場合の耐用年数は41年ですが、その期間で投資回収を考えている企業はないでしょうから、平均するとだいたい10年~15年くらいで考えているんじゃないでしょうか。この方法は2000年代は多かったですが、2010年代以降はあまり見られなくなっていますね。
2.物件にもよりますが賃貸借契約の期間を10年で設定していることが多いので、新規出店から7年程度で投資額を回収し、残りの3年で利益を残す。契約満了時の人気やPLを見て契約を更新するかどうかを決める、と考えている企業が多いと思います。
3.M&Aは最近増えていますが、ほんとにケースバイケースなので一概には言えません。ただ、2020年代に入ってからは市場の変化が大きいので長くても投資回収を5年程度とみてM&Aを意思決定留守企業が多そうです。
4.これから一番増えるのはおそらくこのスキームでしょう。大型投資をするにも金融機関のブライダルへの目は今は厳しいですし、初期投資を抑えて事業展開をしようとする企業が増えると予想します。
新規出店時にかかる費用(例)
補足ですが、結婚式場を新規出店するときにかかる費用には以下のようなものがあります。上記スキームのいずれかによってかかるものとかからないものがあります。
土地の取得費用/建物の建設費/内装費/賃貸時の敷金・礼金/家賃(前払い条件の場合)/什器等/開業準備室の家賃・内装費等(これ意外と知らないけど1と2では必ずかかる)/登記にかかる費用/(新エリアの場合)採用費・人件費
他にも細かいものはいくつかありますが、だいたいこんな感じでしょうか。この中で大きいのは言うまでもなく土地、建物、内装にかかる費用です。
2.結婚式場運営における施策への投資回収期間
結婚式のフローと時間
大まかにまとめるとこのような流れと期間で、上の図には入っていませんが顧客の情報収集用のマーケティング活動(集客施策の企画・実行)がスタートになります。
- 広告を企画してから実際に世の中に出るまでの時間
- 顧客が式場情報と接触してから問合せに至るまでの時間
- 問合せがあってから見学予約が確定するまでの時間
- 見学予約が確定してから来館するまでの時間
- 見学してから式場に申し込むまでの時間
- 式場に申し込んでから結婚式を挙げるまでの時間
どこのフェーズに対する施策を企画・実行するかでその結果が売上として返ってくるまでの期間となります。マーケティングの企画であれば約8か月後となります。
結婚式場の改善施策を考えるときのポイント
この時間軸とKPIの数値をグラフ化し、関係性を表現するしたものが上の図になります。多くの式場運営会社は実績を月次でモニタリングしているので、ある1ヶ月間の集客数、来館数、成約数、売上実績をを切り取って分析した場合、それぞれの数値の相関性はありません。
4月の集客数は3月に出稿した広告の影響を受けるため、前月にどういった広告を打ち出したのかを見なければなりませんし、4月の来館は3月の後半から4月の前半にかけてどれくらい問合せがあったのかを見なければなりません。同様に4月の売上はその1年前から2ヶ月前くらいにかけてどれくらい成約があったのかを見なければなりません。
このように単月の数値を切り取って数値を横並びで見てしまうと、その要因となる事象が起こった時期がそれぞれ大きく異なるので正しい分析ができません。このことにあまり目を向けず「今月は目標達成だ!」といった具合に目先の数値だけを見てマネジメントをしている式場も少なくありません。
きちんとこの時間軸に沿った形での計画を立て、過去分も含めて施策を体系化して管理し、計画→施策→実績、を一連の流れの中で定型化してモニタリングすることが重要です。
結婚式場ビジネスの投資回収期間についてまとめ
結婚式場の新規出店の投資回収期間は約10年前後、式場運営における各種施策の結果は早くても約半年と覚えておくといいと思います。