更新日 2023年11月15日

結婚式場集客における適正な広告宣伝費はいくらなのか?

1009_結婚式場集客における適正な広告宣伝費はいくらなのか?

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

年々厳しくなってきている結婚式場集客。どれくらいのコストを書けることが事業運営にとって最適なのかを考えてみます。

 

ブライダル業界・結婚式場運営企業の売上高広告宣伝費率

突然ですがクイズです。

一般的な結婚式場運営企業の売上高広告宣伝費率は約何%でしょう?

  1. 1%
  2. 3%
  3. 5%
  4. 7%以上

わからない!という方はちょっと考えてみてから進めてくださいね。

***

正解は④です。

ちなみに直近決算期の上場企業の実績を見てみましょう。

  • T&G:6.9%(2023年3月期)
  • ツカダ:7.5%(2022年12月期)
  • エスクリ:11.1%(2023年3月期)
  • IKK:有価証券報告書に記載なし
  • ブラス:7.5%(2022年7月期)

出店エリアや集客方法によって企業ごとに差はあるものの、全体的に平均すると7%前後かそれ以上ですね。

※注 会計上の仕訳で、何を広告宣伝費&販売手数料で処理しているかは不明なので正確な定義が一致しているかどうかはわかりません。

※注 コロナ期間を含む決算期なのでその影響もあるかもしれません。

挙式披露宴の平均単価は約303万円(結婚トレンド調査 2022)なので、その7%=約20万円分は広告宣伝費として支払われているわけですね。

あぁ、私たちの払った結婚式のお金はゼクシィにこんなに使われているのか、と思う新郎新婦がいるかどうかは知りませんが、実態としてどうなってますか?と言われるとこんな感じなわけです。

さてもう1つ。今度は質問です。

この広告宣伝費高いと思いますか?

  1. 高いと思う
  2. 安いと思う
  3. ちょうどよいと思う

この質問の回答は、今どの領域で仕事をしているかで割れそうだなと思います。結婚式場の立場、媒体、コンサル、フリーランス、その他。

僕個人としてはこれが高いか安いかの明確な正解はないと考えているのですが、ここ3年で明らかにマーケット環境や集客の施策が変わったにもかかわらず、ブライダル媒体への広告出稿ってほとんど変わってなくない?と感じていますね。

 

結婚式場の広告宣伝費は何で決まっているのか?

そもそも結婚式場運営において広告投資は必要なのか?という点から触れますが、結論としては「ほぼ間違いなく必要」です。

  • 顧客と事業者側の情報格差が大きいので、一覧で検索&比較できるメディアが顧客にとって必要だから
  • 結婚式場運営は固定費が大きいビジネスモデルなので、コストカットより売上増加の方が業績的インパクトが大きいから(集客=売上増につながる)

理由は主にこの2つです。

逆にこの2つの理由に当てはまらない、例えば年間施行を独自集客出来てそれでPL的に大丈夫な式場がもしあれば、広告を打つ必要はありません。自然流入だけでOKですからね。

結婚式場集客における広告コストは本来変動費なので、結婚式の損益分岐点から逆算して利益を残すための適正CPAを算出するのがベストな考え方だとは思うものの、集客がうまくいっている一部の式場を除いては、来館がないとそもそも売上が立たないので、背に腹は代えられず媒体の提案してきた金額で出稿しているという状態になっていそうです。

となると、今の結婚式場集客にかかる広告コスト(主にブライダル媒体への出稿コスト)は、式場側の事業採算性に基づいて適正化されているというよりは媒体側の影響力で決まっていると考える方が自然じゃないかなと思っています。パワーバランスでいえば媒体側が強い、と。

現状では媒体からの送客=砂漠で売られている水、みたいな感じですね。高いなぁと多いながらも出さざるを得ない、というか。

ちなみに自社集客頑張ろう!も方向性としては正しいと思うんですけど、高額な水を買わずに自分たちで井戸掘ろうぜって感じなので、当たればいいですけど水出てこないとつらいわけです。

 

メディア別掲載費の印象

ここまで構造的なことを書きましたが、媒体別にどう違うのか?についても書いてみます。あくまで個人的な意見なのでご了承ください。

●ゼクシィ

高い、高すぎるよ。

せめて半額くらいにしてほしいけど、僕がゼクシィの立場だったらたぶんこの価格で提供するだろうなと思います。だって、それだけ集客できますからね。

集客効率(=費用対効果)はさておき、出稿しておけば集客の絶対数をある程度確保できるっていうのは固定費の高い結婚式場ビジネスにおいてとても重要なので、高いんだけどもここまでの集客チャネルに育てたリクルートすごいねって感じです。

●ハナユメ

高いよ。

ハナユメ自体の集客にめっちゃ広告打っているから、そこに利益を乗せて販売価格を決めているのかなぁって気はしますね。

ただ、来館フィーモデルだと成約率が高水準で安定することが必須条件に近いので、厳しい感じがします。

●口コミサイト(ウエパやみんウェなど)

今の広告メニューがいくらなのかが良くわからないので、高いか安いかよくわからないです。

●エージェント
FB10%って妥当なんですかね?

だいたい12万円~20万円/成約の範囲かなと思うんですが、まぁそんなもんかぁ、という感じ。人件費や地代家賃など媒体側の固定コスト構造から決められたのかな?とは思うものの、なんでこれが業界スタンダードになったのかはわからないです。知ってる人いたら教えてください。

●その他ブライダル系メディア

marryやウェディングニュース、プラコレ、ARCHDAYSなど。

10年前と比べると記事広告単価等は高くなったなと感じますが、SNSアカウントでの投稿や広告配信とセット販売のメニューが多い印象ですね。

こういった記事系メディアの場合は何の商材をPRするかによって効率全然変わってくるので、広告掲載コスト自体が高いか低いかというのは特に思わないです。

 

結婚式場の広告宣伝費の適正ラインと実現に向けて

ブライダルのビジネスモデルと業界構造上、集客およびそのための広告宣伝費投資は大事です。でも、広告費をねん出するために結婚式で稼がなきゃ、という状態になってしまうと本末転倒です。

では、最適なラインはどこなのか?と聞かれると、個人的な意見としては今の半分くらいにできるといいんじゃないかなあと思います。感覚ですけどね。

もし半分になれば式場にもちゃんと利益が残るので、人件費に回せたり単価を下げられたりできそう。ただ、それを願ったところでそれが実現するわけでもないので、じゃあどうしたらよいのだろうって話。

  • 現状だとゼクシィ一強過ぎるので、競争相手になるブライダル媒体があと5個くらいできたら価格競争が起きて変わりそう
  • 式場が自社集客できるようになると変わりそう
  • 媒体側の運営オペレーションコストが何らかの理由で下がって掲載価格が下げる判断をしたら変わりそう

とかとか。まぁそれができたらそりゃそうなるよね、って感じのことしか書けなくてすみませんですが…。

ちなみに、個人的にやりたいことは個人を媒体にすることで広告宣伝費を個人に還元する仕組み作り。

今まであまり見かけなかったですが時代的には他業界の個人活用事例も増えているし、業界全体の低給与水準問題も同時に解決できるんじゃないかと思っています。

 

結婚式場の広告宣伝費の適性ラインについてのまとめ

タイトルにある適正な広告宣伝費はいくら?の問に対しての結論は「半分くらいじゃね?」っていう雑な回答しかできてずすみません。

ただ、実質的に固定費化している集客コストが今後も変わらないとなると、市場縮小するほどに固定費率が上がっていくことになるので、何とか合理的に下げる方法を模索したいなと思ってはいます。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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