更新日 2021年08月26日

エージェント(カウンター)からの結婚式場集客を最大化するためのポイント

0031_エージェント(カウンター)からの結婚式場集客を最大化するためのポイント

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

ゼクシィなびやハナユメ、マイナビウエディングなど大手から小さな相談所まで含めれば日本には数多くの結婚式場を紹介するカウンターがあります。結婚式場の集客経路としては大きな割合を占めていることが多く、ここの集客力を伸ばすことのインパクトはかなり大きいです。

今回の記事では、エージェントからの集客を伸ばすための基本的な考え方と施策について解説します。

 

結婚式場の紹介エージェント(カウンター)とは?

来店した新郎新婦にヒアリングを行い、希望に合った条件の結婚式場を紹介するサービスのことです。異業種だと、賃貸物件を借りるときの街の不動産屋や、転職するときの転職エージェントなどのマッチング・紹介サービスとほぼ同じです。

本記事では「エージェント」と表現していますが、相談カウンターやカウンターと表現されることも多いですね。

日本中には大小問わずかなり数多くのエージェントがあります。

  • ゼクシィなび
  • ハナユメ
  • マイナビウエディング

この辺りは大手で、その他にも、ブラなび、コンパル、東京ウエディングコンシェルジュなどもあります。ビジネスモデル的に大きな参入障壁があるわけではないので、比較的参入しやすいものの、式場との契約が必須なので今後もどんどん増えていく可能性は低そうです。

エージェントの多くは、月額固定の広告費を支払う広告掲載モデルではなく、成約または来館実績に応じてフィーを支払う成功報酬モデルで成り立っています。成約報酬の場合の相場はFBの10%で施行の翌月末支払い、来館報酬の場合の相場は3万円~8万円で来館の翌月末支払い、というのが一般的です。

31_結婚式場紹介エージェント(カウンター)の概要

成約報酬のエージェントからは成約しなければコストはかからないので、結婚式場の集客担当者目線だとどんなお客様でもとにかく送客してほしい、と考える一方、エージェント側の目線だと「お客様の希望にマッチした会場をいかに的確にご紹介するか」というのがミッションなので、出来るだけマッチング精度の高い送客ができるかを常に考えながら日々の業務を行っています。

 

結婚式場紹介エージェントからの集客の仕組み

31_エージェント(カウンター)送客のKPI
  1. 新郎新婦がカウンターに来店する
  2. ヒアリングしたニーズをもとに、接客しているコンシェルジュの方が8~10会場ほど紹介する
  3. 紹介してもらった会場の中から見学を希望する会場を3会場程度選択する
  4. 会場に電話し、予約が完了する

この導線をベースに考えたときに、集客力をアップさせるために重要なのは、2の紹介率と3の選択率をどうやって高めていくか、になります。

1.結婚式場紹介エージェントのカウンター来店数

結婚式場側ではどうにもなりませんので、エージェントに集客を頑張ってもらいましょう。

2.コンシェルジュの自社会場の紹介率

紹介できる結婚式場数がそれなりにある地域・カウンターでは、紹介可能な式場をすべて紹介することはありません。紹介可能な結婚式場の中からせいぜい8会場程度に絞って紹介することが多いでしょう。

仮に100組のお客様がカウンターに来店したときに、自社会場を紹介された回数が12回だったとしたら、12÷100=12%、が紹介率、となります(婚式場側での測定は不可能ですが)。

カウンターに来店する新郎新婦はニーズが明確になっていないことが多く(明確になっているのであれば自分たちで探して見学予約をするから)、どういった結婚式をしたいか、いくらくらいの予算が適しているか、といったニーズを少しずつ固めていきながら接客することが多いです。

そのため、自分たちの希望する条件を本人たちが理解していない段階で式場を紹介してもピンとこない可能性が高く、まずは候補になりそうな会場を多めに紹介し、その印象や意見を聞きながら少しずつ絞っていくような紹介方法となることが一般的です。

3.ユーザーの会場選択率

紹介してもらった会場すべてに見学予約をする、という新郎新婦もいないことはないですが、ゼクシィの結婚トレンド調査によると、結婚式場を決めるまでの平均見学会場数は3件弱なので、だいたい3会場、多くて5会場に絞って予約をすることになります。

例えば100組の新郎新婦がカウンターに来店し、12回自社会場を紹介してもらって、その中で4組の新郎新婦に選ばれたとすると、4÷12=33%が会場選択率、となります。こちらのKPIも先ほど同様、結婚式場側での測定は不可能です。

4.来店予約の確定率

見学希望の意思をもらった後にコンシェルジュが来館予約の電話またはメールで会場に問合せをします。ここまで選んでもらっても、希望する見学日時の予約が既に満枠だったり、ちょうど施行が入っていて会場を見ることができない、または希望する挙式日がすで埋まっている、という理由で来館予約に至らないこともあります。

対策としては、見学予約の受け入れ枠を増やす仕組みを作る、施行が入っていても会場見学ができる時間を確保できる予約枠を組む、などありますが、どうにもならないケースも多いのでエージェントからの送客に限らず、受け入れを最大化するための準備は常に整えておくといいでしょう。

 

エージェントからの紹介率を上げるために必要な施策

紹介率を上げるために必要なのは、シンプルに「カウンターのコンシェルジュに会場を深く理解してもらうこと」であると言えます。

31_エージェントからの紹介率を上げるために必要な施策

カウンターのコンシェルジュに知っておいてほしいこと

  • アクセス、場所、利用する交通機関、移動方法
  • バンケット数、収容人数、バンケットごとの雰囲気・イメージ
  • チャペル数、対応可能な挙式スタイル、チャペルのイメージ
  • 平均予算
  • 料理の種類(フレンチ、イタリアン、中華、和、など)
  • 特徴的な演出、アイテム、など

まずはこの辺りの情報を知っておいてもらいましょう。

さらに、理想を言えばこれらのスペック紹介的な情報に加えて、過去送客してもらったお客様の結婚式事例や新郎新婦からのご意見なども理解されていると、自分たちが送客したのお客様が紹介後どのような結婚式を挙げるのか、というのがつながるので送客するときのイメージがしやすくなります。

エージェント訪問で意識すること

ただ漠然とエージェントに訪問して挨拶を繰り返すだけではほとんど意味がないので、目的を明確化してスマートに実施していくことが必要です。

  • コンシェルジュがお客様に自社会場を紹介しやすいように、情報がきちんと整ったツールを作成して配布する
  • 特に新しい担当者が入った場合は説明のためのアポイントをとる
  • 近隣やよく競合する会場とのスペック比較表を作成して説明する
  • 結婚式事例を紹介するツールを作ってエモーショナルな部分を知ってもらう
  • ブライダルフェアのフェアカレンダーの基礎データのクオリティを外注して高める

例えばこういった情報です。※ただし、2021年時点ではコロナの影響もあり以前のような訪問はできなくなっていますから注意が必要です。

ポイントとしては、どんな式場か、他の式場と何が違うのか、送客後はどんな案内をしているのか、成約後にどんな結婚式をしているのか、これが一貫して理解してもらえるようなツールやシナリオをを用意できるとよいでしょう。

会場内覧会、食事会の実施

どのエージェントでも実施できるわけではないですが、エージェントのメンバーが大幅に入れ替わったタイミングや会場がリニューアルした、グランドメニューが変わった、などのタイミングで、エージェントのコンシェルジュを自社会場に招待して会場を内覧してもらったり料理を試食してもらったり、という企画もできます。

 

顧客に選ばれる確率を上げるために必要な施策

自社会場に来館予約するときの不明瞭な部分を徹底的に減らし、新郎新婦がコンシェルジュに「この会場って●●ですか?」と確認したときに即答できるような環境を整えることが大切です。例えば、以下のような施策が挙げられます。

  • フェアカレンダーは常に最新のものにしておく(定期的にエージェント訪問するときに必ず新しいものを渡す)
  • 価格が適切に伝わるプランを配布しておく(プランの組み方についてはこちらの記事を参考にご覧ください)
  • そのエージェント限定のインセンティブ(値引きやギフト券プレゼントなど)を用意する
  • ビッグフェアを開催する場合は専用のフライヤーなど新郎新婦にそのまま見せられるクオリティのものを渡し、できるだけ早めに伝えておく

先ほどのエージェント訪問と重複しますが、どのエージェントのどの店舗に何の資料やツールを渡しているのか、どのような状態になっているのかを常に結婚式場側で把握できる状態を作り、アップデートがあったときに正確にそれを更新できるような体制と仕組みを構築しましょう。

いずれも非常に地道な施策になりますが、エージェント経由の集客は人がかかわる要素が大きいので、会社間、スタッフ間の関係性も含めて時間をかけて構築していくことが重要です。

 

施策をモニタリングするために必要な仕組み

結婚式場側で計測可能な数値は各エージェントの店舗ごとの送客数と来館数、成約数のみなので、数値計測の仕組みを整えても限界があります。どちらかと言えば先ほど書いたような施策や取り組みなど、オペレーションがどれくらい正確に回っているかのモニタリングを徹底するための仕組みを整えましょう。

  • エージェント別、店舗別に配布しているツールや資料をリスト化する
  • エージェント訪問ごとにそのリストを更新する業務フローを作る
  • エージェント訪問の目的と配布資料、スケジュールを関係者全員で共有できるエクセルやスプレッドシートを作る
  • スケジュールに沿ったタスクリストを作る
  • タスクリストに設定したToDoがきちんと回っているかを確認する業務を作り、定例化する
  • 各タスクの進捗と来館数などの実績がどれくらい連動しているのかを月1回くらいのペースで確認する

例えばこういった内容になります。1ヶ月で劇的に変わることはないですが、1年くらいきちんとチェックを継続していけば数値は変わってくるので、根気強く継続していきましょう。

 

エージェントからの集客改善についてまとめ

エージェントからの送客を最大化することは、コストパフォーマンス(売上高広告宣伝費率)を維持したままトップライン(売上)を伸ばすことができる優秀な施策です。

今回の記事で書いたような施策を1つ1つ丁寧に取り組むことが重要ですが、雑誌やウェブ媒体と違って、エージェントのスタッフと式場側のスタッフの「人対人」という要素も多く含まれるので、常に真摯な姿勢でエージェントのスタッフと接することも重要です。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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