アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
ゼクシィやハナユメなど、ブライダル媒体が主催するイベントは数多くあり、結婚式場がブースを出展するスタイルのものも多いです。出展する側としてはできるだけ多くの来館予約を獲得したいわけですが、果たしてどのような方法が有効なのでしょうか?
そこで、今回の記事では以前イベントに参加した際に実際にやって成功した事例をもとに、ブライダルイベント出展時に抑えるべき事前準備と当日のオペレーションのポイントを紹介します。
目次
媒体主催のブライダルイベントとは?
ブライダル業界で開催されているイベントは実に多様ですが、大きく分けると主催者と開催目的によって3つに分けられます。
1.【媒体主催】結婚式場がブースを出展するイベント
媒体が主催のイベントで、芸能人の講演やウエディングドレスショーなどの催しのほか、ウエディングアイテムのブース、媒体社の結婚式場相談会、結婚式場のブースなどがメインコンテンツになります。来場したカップルが結婚式場ブースに立ち寄り、そこで接客をすることで来館予約をすることができます。
2.【媒体主催】結婚式場ブースがないイベント
基本的なイベントコンテンツは1と同じですが、結婚式場のブース出展がないスタイルで、媒体の担当者が相談ブースで式場の見学予約を取ることが目的です。
3.【結婚式場主催】自社で予約獲得または成約まで獲得するイベント
結婚式場運営会社が自社の結婚式場などで開催するウエディングイベントです。
同エリアに複数会場を保有する規模の大きい会社がほとんどですが、数年前から回数も増えてきている印象があります。何を目的とするかは主催企業によって異なりますが、主に来館予約の獲得や成約であることが多いでしょう。
媒体主催のブライダルイベントの集客ロジックとKPI
アポ数=イベント来場者数×ブース前通過率×声掛け率×着席率×来館予約獲得率(アポ率)
イベントで獲得できるアポ数は上記の式で表すことができます。
イベント来場者数
来場した方の総数です。媒体の集客力に依存するので出展する結婚式場側でコントロールすることはできません。
ブース前通過率(KPI)
来場した顧客のうち、自社のブースの前を通過したユーザーの割合です。
結婚式場ごとのブースの位置は一般的に主催者が決める(または抽選によって決まる)ので、ブースがどこの場所になるかはコントロールできずこれもどうにかできるものではありません。
ちなみに、もし自分で選べる場合は、角地だと通路に2面当たるので有利なので、入り口に近い角地を選んでいました。
ブース前通過者
イベント来場者数×ブース前通過率、で計算できます。自社ブース前を通らない人をアポにすることは不可能なので、事実上のアポ可能性のある数の最大値、と言えます。
声掛け率(KPI)
ブース前を通った人に声をかける割合です。ブースの前を通っていきなり座る人はまずいないので、ブースに座って話を聞いてもらうためにはまず声をかけて自会場に興味を持ってもらうことが必要です。※イベントのレギュレーションによっては過度な声掛けなどは禁止されています。
声かけ数
ブース前通過者×声掛け率、で計算できます。会場のお話し少しだけいかがですか?と実際に声をかけた人数のことです。
ブース着席率(KPI)
声をかけてブースに座ってくれた割合です。声をかけても必ずしも話を聞いてくれるわけではありません。むしろ聞いてくれないことの方が多いでしょう。そんな中で、より高い確率でブースに着席してもらうためには、限られた時間の中でどのような話をするかなどが重要になります。
ブース着席数
声かけ数×ブール着席率、で計算できます。実際にブースに座ってくれた人数のことです。
アポ率(KPI)
ブースに座ってくれた人のうち、来館予約まで結びついた割合です。通常の新規接客と比べてお客様と話せる時間や内容が限られているので、いつもの新規のテンションで話すとかなり難しいです。ちなみに、パース接客とも全然違います。アポ獲得仕様のトークスクリプトをあらかじめ組んでおくことが必要です。
アポ数
ブース着席数×アポ率、で計算できます。ここのアポ数をいかに稼ぐのか、がゴールになります。
その他の重要KPI
メインの目標値とKPIはここまで書いた通りですが、上記以外にも重要なKPI、ポイントはいくつかあります。
- 1人当たり接客時間
- 接客ブース稼働率
- スタッフの休憩の時間回し
- イベント開催前の来館予約枠の準備
アポ数を最大化するために必要なこととは?
イベント来場者数とブース前通過率、通過者数は出展する結婚式場側ではどうすることもできないので、考えても仕方ありません。無視しましょう。事前準備と当日のオペレーションの最適化で成果を出せるのは
- 声掛け率
- 着席率
- アポ率
この3つのKPIなので、これらを最大化すればイベント出展の成果を最大化することができます。
ブライダルイベントでアポ効率を最大化するためのポイント
①声掛け率を最大化する
自社会場ブースの前を歩いている人に声をかける確率を最大化する。これだけです。
例えば2日開催のイベントで合計来場者数が2,000組だとすると、少なく見ても半分の1,000組以上はブース前を通るでしょう。さらに、1組が1回だけとは限らないので、実際はその1.2倍の組数(1,200組)、さらにカップルでの来場が基本なので人数だと倍になります(2,400人)。
1日当たりの開催時間が8時間だとすると、1時間当たり75組弱(150人弱)に声をかけなければいけません。48秒に一回声をかける計算です。2日開催の16時間、48秒ごとにずっと声を続けて(しかも半分以上は無視か軽く流される!)呼び込み続けるのは相当メンタルが強くないと難しいことです。
特にブライダルの場合は他業界の営業と異なり待ちの営業がメインなので、自ら訪問したりテレアポしたりということにほとんどのプランナーが慣れていません。さらに、イベントに来場する方の検討確度は通常の結婚式場に来館する顧客に比べてかなり低いです。時期も人数も何も決まっていないことがほとんどなので、そういった対応にも慣れていないことが多いです。
なので、事前にそういう状況になるであろうこと、声掛け率が大事になるということを理解してから望まないと、恥ずかしがったり心が折れてしまったり、無視され続けることにふてくされてしまっているうちに、イベントが終わってしまいます。
結婚式への温度感がまだ低いからイベントに来ているのであり、具体的に検討している人は直接会場に行くはずですので、その違いはしっかり理解してから挑むようにしましょう。そうでないと、「たくさん話したけどみんな温度感が低い人たちばかりで決まらなかった」みたいな意味のない振り返りをして終わってしまいます。
②着席率を最大化する
着席率を最大化するためには、もっと話を深く聞いてみたい!と思わせることが重要です。フックになりうるポイントはだいたい次の5つのどれかに限定されます。
- エリア
- チャペルの雰囲気
- バンケットの雰囲気
- 特徴的な演出
- 予算
逆に言えばどれも刺さらない場合は何を言っても響かないので、深追いせず諦めたほうがいいです。具体的には
- こんにちは、●●迎賓館です~、今少しだけお話しいかがですか?
と声をかけるよりも
- 表参道にある大聖堂チャペルが特徴の〇〇迎賓館です、イベント限定のお得な特典あります!
と声をかけるほうが立ち止まってもらえる確率が上がります。声かけは3秒くらいの勝負なので、その一瞬で少しでも興味を持ってもらうためのキーワードをとにかく詰め込んで声をかけることが大事です。
あと、当たり前ですが声のトーンと笑顔も大切です。何度も断られても最初と変わらない営業スマイル全開で続けましょう。少しでも足を止めてもらえたら、立ち話のまま深く話さず、「詳しくはプランナーからご説明させていただきます」と言ってとにかく座らせましょう。
座ったらもらえるインセンティブ用のチケットなどを用意しておくとより効果的ですし、ノベルティとしてブランド物のお菓子を配ったり、ブースの作り込みなども効果があります。
③アポ率を最大化する
アポ率を最大化するためには、いかに実際に会場を見てみたいと思わせるか、がポイントです。
ここで注意してほしいのは「いつもの新規接客のプレトークをする」のと「アポを取るためのトーク」は全く違うということです。アポ取りトークのイメージは映画の予告編です。一番面白そうなところを最短距離で伝え、実際に映画を見てみたい!と思わせられるかを30秒という短い時間の中に磨いています。
アポ取り接客も同じで、会場の魅力を1~10まで説明するのではなく、気になるところの魅力だけを端的にかつ少しオーバーに伝え、「ね?実際に見てみたいですよね?」とクロージングまですることが求められます。
- 当館は〇〇エリアにあるゲストハウスで、〇〇な雰囲気のチャペルが好評です。バージンロードは〇mでバンケットはなんと180名まで収容可能です。お料理にもちろんこだわっており食材は〇〇産の〇〇で~~~
というよりも
- チャペル、費用、お料理だとどれが一番こだわりたいですか?なるほど、料理ですね。当館の料理はクチコミ人気もエリア1位で食材もシェフの腕も一流!イベント限定でフルコース試食無料チケット配布しておりますが、ちなみに来週の土日のご予定いかがですか?
の方がアポ取り確率は高くなります(あくまで一例です)。
特に、ブライダルイベントはとにかく多くの来場者を1組でも多く接客することが求められるため、理想を言えば5分~10分程度の接客で来館予約アポを獲得し、次の接客に移ることが重要です。
チャペルが気になるなら模擬挙式参加しませんか?費用が気になるなら今日だけの特典つけるのでぜひ!など、パターンはいくつでも作れるので、事前に複数パターンのスクリプトを用意しておいて、どのパターンが来ても対応できるように練習しておきましょう。
④事前準備で重要なこと
1人当たりの接客時間と接客ブースの稼働率
目安としては10分ですね。長くて20分でしょうか。イベントの来場者数の状況を見ながら臨機応変に判断していく必要がありますが、ブースの稼働率を最大化するためにはこれくらいの時間で接客を回していくことが必要になります。
これ以上かかると接客機会のロスが起こるので、あらかじめ10分で収まるようになトークスクリプトを準備しておきましょう。ただ、イベントの来場者数によってこの辺りは変わるので当日判断の要素も大きいですね。
スタッフの休憩時間の回し方
イベントと言ってもどの時間帯も同じようにお客さんが来てくれるわけではありません、1日の中でも波がありますし、土日開催の場合は日曜日に来場が寄る傾向があります。
また、ドレスショーやトークショーなどが組まれている場合は、その時間中は人の動きは少ないですが、終わった直後にどっと人が流れてきますので、スタッフの休憩を回す場合はショーの前に休憩が終わるようにしましょう。
それ以外にも午前から午後入るくらいまでは来場も多いので、エース級の人の休憩は夕方前とか、イベントの隙間を見てこまめにとる、など工夫した方がいいでしょう。
来館予約枠の事前準備
もしたくさんの予約が取れたとしても、予約がダブルブッキングしていたり、スタッフの数を超えて予約を取ってしまうと後日事故になります。
イベント前には先々2ヶ月分くらいの新規枠は最大限準備しておくようにしましょう。特に新規と打合せの分業制の会場の場合は打合せプランナーの新規枠を作っておいたりするなど、できるだけ枠を広げておくことが必要です。もし予約がとれなかったらイベント後に打合せブロックを解除すればいいだけなので、そこまでリスクはないはずです。
媒体主催のブライダルイベントのポイントまとめ
オペレーションを徹底的に突き詰めていくことがイベント成功の最短距離だと私は考えていますが、イベントによっては声掛けの規制やレギュレーションが厳しかったりするので、この記事はあくまで基本的な考え方として参考になればと思います。
また、媒体主催ではなく結婚式場運営企業が自ら主催する場合のイベントで成果を上げるポイントは以下の記事にまとめていますので、参考にご覧ください。