※寄稿記事です。
結婚式の演出として人気のデザートビュッフェ。1990年代からレストランウエディング、2000年頃にはハウスウエディングが人気となったと同時に、料理の拘わりや結婚式の自由度が増したことからデザートビュッフェは人気の演出となりました。だれもが体験したことがある定番な演出だからこそ、デザートビュッフェの受注に苦戦している打合せプランナーも多いのではないでしょうか。今回はデザートビュッフェの受注率が高いプランナーはどのようなことを行っているのか、コツをまとめました。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
デザートビュッフェの魅力
デザートをコース料理の一部として提供する場合とデザートビュッフェにする場合、この2つにはどういった違いがあるのでしょうか。
コース料理の最後に皿盛りのデザート提供することに物足りなさを感じるゲストはいないと思います。しかしながら、乾杯してから送賓まで、お手洗いに行く以外は着席したまま過ごす披露宴は、新郎新婦にとっても、ゲストにとっても、ちょっとした心残りを感じることもあるでしょう。ゲスト1人1人と話がしたい/一緒に写真を撮りたいという新郎新婦、テーブル以外のゲストと話しがしたい/新郎新婦とツーショットの写真が撮りたいというゲスト、新郎新婦とゲストが直接触れあうことなく、披露宴がお披楽喜になってしまうことは、大変残念です。
しかしながら、デザートをビュッフェ形式にすることで、新郎新婦やゲストの距離を近づけることができます。新郎新婦もゲストも会場内を自由に歩き、同じテーブル以外の人との会話を楽しむことができる。これは、披露宴の時間を延長したからといってできることではありません。デザートビュッフェという演出だからこそできることです。
新郎新婦は、デザートビュッフェを「好きなデザートを取って食べる」という料理の演出と考えてしまいがちですが、本来は「新郎新婦とゲストが直接会話ができる/全員が会場内で自由に過ごす」といった空間演出です。そのことを新郎新婦にイメージしてもあうことが大切です。
デザートビュッフェの提案までの手順
デザートビュッフェ提案までのプロセスについて
具体的には下記通りです。
- 初回打合せ
新郎新婦へ希望する結婚式のイメージを伺う
デザートビュッフェで新郎新婦/ゲストが感じ、体験する魅力を提案する - 第2回打合せ
進行打合せ:デザートビュッフェを行った場合の進行を作成する
料理打合せ:コース料理のデザートとデザートビュッフェの料理説明をする
見積り提示:デザートビュッフェを行った場合の見積を提示する
デザートビュッフェの受注率が高いプランナーは、初回打合せに注力しています。具体的にどのようなことを行っているかまとめてみました。
打合せで差がつくデザートビュッフェの提案方法
初回打合せでデザートビュッフェの情報収集と提案を行います。デザートビュッフェの受注率が高いプランナーは、初回打合せが終わる時、新郎新婦がデザートビュッフェを希望している状態になることをゴールとしています。デザートビュッフェは披露宴の進行にも大きく関わる為、デザートビュッフェを行わない進行を作成した後に変更するというのは至難の業です。その為、初回打合せで行うことが非常に大切です。
初回打合せ:新郎新婦へ現在の価値観と希望する結婚式のイメージを伺う
新郎新婦の現在の価値観を把握する為の質問を行っていきます。質問例は下記通りです。
- 新郎新婦がこれまで列席した結婚式でデザートビュッフェを体験したことがあるか?
- デザートビュッフェを体験したことがある場合、ゲストである新郎新婦はどのように感じたか?
- デザートビュッフェがなかった場合、どのような披露宴だったか?ゲストである新郎新婦はその披露宴をどのように感じたか?
- 列席した結婚式で自分達の結婚式のイメージに一番近いものは、どのような結婚式だったか?
その後は、希望する結婚式のイメージや現時点で考えている演出を伺います。
- なぜ結婚式をしようと思ったのか、どんな結婚式にしたいのか?
- ゲストの顔触れは?(男女比、年齢層等)
- 既に披露宴中に行いたい希望のイベント(スピーチ・余興)はあるのか?
- 一番拘りたいアイテムは何か?
新郎新婦の価値観に沿った提案を行う為の貴重な情報となります。丁寧に情報収集を行っていくことが大切です。
初回打合せ:デザートビュッフェで新郎新婦/ゲストが感じ、体験する魅力を提案する
新郎新婦が希望する結婚式を実現する為、デザートビュッフェを行うことでどのようなことが実現できるかを提案していきます。その際、「デザートビュッフェの魅力」で記載した「好きなデザートを取って食べる」という料理の演出ではなく、「全員が会場内で自由に過ごす」といった空間演出であるということを提案していくことが大切です。披露宴会場のレイアウトイメージや新郎新婦やゲストの導線、それによって新郎新婦とゲストとの距離感が近くなり、どういったことができるのかということを提案します。合わせて、スピーチや余興がなくても、ゲストに披露宴を楽しんでもらえると感じてもらうことが大切です。スピーチや余興がなくては盛り上がらないと考えている新郎新婦もいます。披露宴の具体的な時間配分を提案することで、安心してもらうことができます。
オリジナルのビュッフェ
男性が多い/甘いものが苦手な人が多いとゲストの顔触れによってはデザートビュッフェの提案がベストでないケースもあります。そう言った場合は、オリジナルのビュッフェを提案することも良いかもしれません。
例:和菓子ビュッフェ、チョコレートビュッフェ、フルーツビュッフェ、日本酒(ワイン)ビュッフェ、フロマージュビュッフェ、フラワービュッフェ、お寿司ビュッフェ、お茶漬けビュッフェ、紅茶ビュッフェ
ただし、デザートビュッフェは好みでなさそうからオリジナルビュッフェを提案しようということでは、新郎新婦には魅力を感じてもらえません。ビュッフェスタイルが作り出す「新郎新婦とゲストが直接会話ができる/全員が会場内で自由に過ごす」という空間演出に魅力を感じてもらえていなければ、オリジナルのビュッフェを提案しても新郎新婦に魅力を感じてもらいにくいでしょう。
デザートビュッフェの受注率を高めるためのまとめ
- デザートビュッフェを「好きなデザートを取って食べる」という料理の演出ではなく、「新郎新婦とゲストが直接会話ができる/全員が会場内で自由に過ごす」という空間演出であるということを提案する
- 初回打合せのゴールを新郎新婦はデザートビュッフェを行いたいと考えてもらうこととする
- ゴールから逆算して、初回打合せで新郎新婦へ現在の価値観と希望する結婚式のイメージを伺い、デザートビュッフェで新郎新婦/ゲストが感じ、体験する魅力を提案する
の3点です。デザートをコース料理の一部として提供するか、デザートビュッフェをするかで新郎新婦ができることは大きく変わります。新郎新婦にデザートビュッフェを行って良かったと言って頂けるように、少しでも参考なればうれしいです。