更新日 2023年07月19日

仕事のやりがいとは?

0992_仕事のやりがいとは?

アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

今回は仕事のやりがいの話。

 

仕事のやりがいとは?

ネットで色々調べてみると、仕事のやりがいとは、「物事をする価値」および「それにともなう気持ちの張り」を意味するようです。

また、「やりがいがある」という表現は、充足感や手応えを感じられる事柄に対して使われ、やりがいを感じやすいシチュエーションとしては、「能力を十分に発揮できる場所にいる」「かけた労力に対して成果が見える」といったときとのこと。

(参考)https://hataractive.jp/useful/1619/

僕自身も社会人になって14年が経ち、転職3回と起業をして、けっこういろんな会社でいろんな仕事をしてきた方だと思うのですが、ここまでの経験で思うのは「仕事のやりがいは人それぞれだし、同じ人でも人生のステージによって変わる」ということ。

特に最近は社会全体が多様な価値観を尊重しようという風潮になってきており、一昔前のように安定した会社に入って定年まで人生のレールから外れないように一生懸命頑張ることこそ正義という考え方はかなり薄れてきていますね。

一方、ブライダル業界全体の「仕事のやりがい」に関する発信を見ていると自分が入った10年前からあまり変わっていないなぁと思ってまして、それってどうなんだろうね?というのが今回のテーマです。

 

ブライダル業界の仕事のやりがい

  • お客様の幸せな時間に携われること、笑顔の瞬間に立ち会えること
  • 結婚式が終わった後にありがとうと言ってもらえること
  • 結婚式後も続く一生のお付き合いになること
  • お客様の人生に影響を与えられる尊い仕事であること

よく聞かれるのはこんな感じですかね。

これ自体がよくないというつもりは全くないんですが、ただ一つの側面からしか語られないなぁって思いませんか?

ブライダルの仕事は「やりがいの搾取」とも言われますが、個人的には「やりがいの押し付け」の方が感覚的には近いのでは?と感じています。

仕事の提供者側(主に企業)がこの仕事のやりがいはこれ!と決めて伝えるから、従事者側もそうかこの仕事のやりがいはこれか!となる。ある種の洗脳みたいなもんですね。で、そのパターンがどの企業もかなり似ている、という感じです。

 

仕事のやりがいを定義してみる

仕事をしていて何にやりがいは人それぞれ、と冒頭書きましたが、大まかに分類すると下記の4点にある程度集約されると思っています。

  • ①報酬
  • ②評価(社内・顧客)
  • ③成長
  • ④環境

①報酬

これはそのままですね。仕事に対する給与が高いかどうか。ブライダルでここにやりがいを感じている人はほとんどいなそうです。

全体的に低いというのもあるんですが、ある程度仕事を覚えるとすぐに頭打ちになってしまって、年収600万円以上くらいまで上がるイメージが持てず、みんな300-400万円くらいに固まって動かない、という感じ。

②評価(社内・顧客)

自分の仕事に対しての評価してもらえるかという観点で、これは社内的な評価と顧客からの評価の2つがあります。

ブライダルの仕事のやりがいはここの「顧客からの評価」にほぼ集約されている気がします。前セクションで書いた例もそれですね。

③成長

仕事を通じて新しいスキルが身につくこと、それを実感できて新しい仕事を任されるようになること、という観点です。

ブライダルだと最初は感じやすいですが、特に分業の会社だと3年くらいで成長を実感できなくなる人が多そう。これはまた別の回で送る予定ですが、成長にやりがいを感じる確度と再現性は高いが持続性がないと思ってます。

④環境

労働時間、勤務場所や通いやすさ(リモート含む)、職場の人間関係など、仕事をするにあたっての心理的・身体的な安全性という観点です。

ここをやりがいと表現することが適切かはやや微妙な気がしますが、リファラル採用が多い業界でもあるので、この人となら一緒に仕事がしたいと思える、とかはけっこう大きな要素だと思いますね。

***

で、この4点にどういうバランスで重要視しているかは人それぞれ、もっと言うとライフステージによって同じ人でも変わっていくよね、と。

にもかかわらず、いつまで経っても②の顧客評価こそやりがいであるという風潮が強いなーって気がしてします。

理想的には一つの会社の組織設計、評価制度の中でやりがいのバリエーションが担保できるといいのでしょうが、業界トップの会社でもシェア数%で中小企業がほとんどのブライダル業界だとそれは難しそう。

となると、会社ごとのカラーの違いなどがもっとあるといいのではないかなと思うんですよね。

 

なぜやりがいが似てきてしまうのか?

一言で書くと「今のブライダル業界のビジネスモデルが完全に確立しているから」と言えます。

①報酬

ビジネスモデルが確立
→売上高人件費率はほぼ固定&オペレーション固定のため必要人員数はほぼ固定
→売上×人件費率÷必要人員数=給与
→給与を決めるKPIがほぼ固定なので給与を上げようがない
→構造的に高い報酬設定が不可
→やりがいになりえない(なりにくい)

②評価

ここは特になし、現状でも十分にやりがいを感じられるところ

③成長

(理由①)ビジネスモデルが確立
→結婚式に携わる業務内容が固定
→クリエイティビティよりもオペレーショナルエクセレンスの方が重要度高い
→優秀な人材=決まったフォーマットの中で高速で精度高く動いてくれる人材となる
→成約率高い人はずっと新規やるし、生産性と単価高い人はずっと打合せすることになる
→一度仕事を覚えると次の成長が感じられにくく、やりがいになり続けにくい

(理由②)ビジネスモデルが確立
→商品企画や新規事業企画など接客以外の仕事がほとんどない
→プランナー等の接客経験を同業界内で活かす他の職種がない
→現場職経験後にそれ以外のスキルを身に着けて成長を実感できる機会を創出できない
→一つのスキル以外の成長が感じられにくく、やりがいになり続けにくい

④環境

ビジネスモデルが確立
→業務が先に決まっていて、そこに人を当てるという発想で採用する
→入ってみないと合うかどうかはわからない
→合わなかったら残念、合ったらよかった!としかならない

***

こんな感じかなぁ、と。

②の価値を高く評価している企業や人が多いのもそうなのですが、それ以外がやりがいになりにくい構造的な背景があることが主な原因と考えています。

そう考えると、ビジネスモデル転換期に差し掛かっている今はチャンスじゃないかなと思うんですよね。

 

ブライダルの仕事に多様なやりがいを作るには?

なりえるとしたらの例ですが

  • 成果次第で年収1000万を目指せる:報酬面
  • プランナー経験からの次のステップへの渡りの仕事がある:成長
  • 週休●日(土日不定休)でも働ける:環境

こういうのが実現できて、それを多くの業界人が認識している状況を作れればいいのだと考えています。

現状でこういうことを考えている企業がどれくらいあるのかは正直全然分からず、フリーランスチームとかだとあるのかなぁ、くらいに思っていますが、僕個人としても自社のサービスまたは自社の社員を通じて事例を作り出して、どんどん発信していけたらなと思ってます。

市川のTwitterで毎月Worksの報酬額を公開しているのも、この実現に向けた取り組みの1つですね。

ただ一方で、同じ業界の中でも様々な働き方の人が増えてくると、先人たちの事例がないケースも増えてきます。

・多様化が進むとマイノリティが増える話
https://note.com/bridalchiebukuro/n/nd845802b7773

以前のこのメルマガでも書いているのですが、

ーーー

多様化が進む=選択肢が増える、となると少数派の選択となる人の割合が増えます。

マジョリティ⇔マイノリティの線引きをどこでするのかについては諸説議論はあるものの、周りに同じことをしている人が少ない選択を取る(取りたい)人が増えることをなります。

で、マジョリティではない選択をするのってかなり負荷がかかるんですよね。

ーーー

このように前例がないことをする人が増えるので、そのあたりのサポート・支援環境を整えることは大事になるかなと思います。

やっぱり一人ですべてを調べて、考えて、決めてって大変ですからね。

 

今回のまとめ

最近Worksのプランナー交流会やCareerの転職相談を受ける中で、仕事のやりがいについてお話を聞く機会が多かったので今回はこのテーマについて書いてみました。

自分の感覚に基づいて書いてはいるものの、市川の考え方は時代の最先端かもしれないしただの異端児かもしれないので、どこかに1つでも参考になる部分があればうれしいです。

まぁでもやっぱり、稼ぎたいからブライダルとか、長期のキャリア形成において重要なスキルセットが身について成長できるからブライダルとか、そういう軸でも人材が集まる業界にはしていきたいですよね。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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