更新日 2020年06月07日

打合せプランナー業務の効率化できる要素を分解して考えてみた

29_打合せプランナー業務の効率化できる要素を分解して考えてみた

※寄稿記事です。

今後ブライダル業界でもオペレーションの効率化、システムの導入、デジタル化が進んでいくと考えています。とはいえ、ただシステムを導入すればよいという話ではなく、システムを導入したりデジタル化したことによって業務効率が改善されプランナーのパフォーマンスが高まることで最終的に顧客に対して提供できるサービスレベルが高まらなければ意味がありません。最適なシステム設計をするためには現オペレーションとその中の課題を明確にする高尾が必要です。そこで、今回の記事では一般的な打合せ業務の要素を分解して考えてみます。

 

打合せプランナーの業務

打合せ業務

小さすぎて見えないかもしれませんが、約4か月前から打合せが開始しそれぞれの打合せで決めること、そのための準備、打合せ後の事後処理をアイテム・担当者ごとのタスクを一覧にしてフロー化したものです(すみません、うまい具合に読みやすくできず…)。

会場によってフローの詳細は異なるものの、結婚式の打合せでは次のようなタスクがあることが一般的です。

  • 打合せ前の準備
    • 打合せ内容の確認
    • 日程調整
    • 資料準備
    • 情報共有(パートナー等)
  • 打合せ
    • 宿題の確認
    • 商品の提案・決定
  • 事後処理
    • データ入力、書類作成
    • 発注
    • 納品確認

このうち、打合せの時間は内容次第ですが約2時間~4時間ほどで、事前準備と事後処理にもそれと同等かそれ以上の時間がかかっている場合が多いと思います。では、どの工程やタスクを自動化、システム化することで効率化できるかを考えてみます。

 

打合せプランナー業務を要素ごとに棚卸してみる

結婚式の打合せで決めなければいけないことを大別すると、以下の4点で分けることができます。

  • 進行組み
  • 列席
  • 商品選択
  • 発注・納品

つまりこの4つを決める=結婚式が出来上がる、と考えることができるので、打合せ業務を効率化する=上記4点をできるだけ負荷を少なく決定するフローにする、と言い換えて考えられます。

進行組み

披露宴の時間でどのような進行をするかを決めることです。演出を取り入れる、お色直しをする、歓談の時間を取る、映像を流す、手紙を読む、プロフィールを話す、など細かく分単位で決めます。

進行組みの難しいところはアイテムが決まらないと最終的に決まらないことです。各式場でベースとなる進行表のテンプレートのようなものは用意していると思います。入りの時間、挙式30分、移動、披露宴2時間半、などある程度(8割くらい?)は決まっているものの、演出やお色直しの有無など細かなアイテムが決定しないと完成しません。つまりアイテムの入った見積り明細と連携したスケジュール作成表のような機能が必要になります。

列席

誰が列席するかを決めることです。ゲストのピックアップ、出席の確認・回答、プランナーへの共有、と進み、列席人数はアイテムの発注数に関わります。

招待状を送り返送があった時点である程度は固まりますが、最終的な出欠は当日になるまでわかりません。そのためゲストの出欠状況をリアルタイムに反映でき、かつそれを見積りの数量に反映できる機能があると便利になるはずです。

商品選択

カテゴリごとにどの商品を選択するかを決めることです。グレードや型番まで含めれば無数にある中からどの商品を結婚式で取り入れるのかを決めます。

私が思う現状の課題は「業界内で統一された商品マスタがないこと」です。今のビジネスモデルでは顧客⇔式場⇔アイテム、という取引形態になっていることがほとんどなので、実質的に式場側が決めたフォーマットに沿って取引先や提供商品が管理されており、これが式場ごとに異なるため同じ条件下での商品比較が難しくなっているのだと思っています。

発注・納品確認

主に事後処理で重要なタスクで、打合せで決めた商品をベンダーまたは社内の内製部門に発注します。また結婚式当日までに納品確認、検品も必要です。

これはどちらに主導権があるかは契約時の力関係次第ではありますが、発注方法や取引の管理がアナログとシステムが契約ごとにばらばらなことが大きな課題です。例えば式場側では、この企業との取引はシステム、この企業はFAXなどデジタルとアナログが混在していたり、アイテム企業側も同じような状態が起こっています。非効率ですね。

 

業務効率を改善するためには?

ざっと現状のオペレーション、そのオペレーションに沿って決めている内容について整理しましたが、改めて業務効率を改善することの目的は

  • 今の打合せ内容を実現しつつ負担を小さくする
  • 今の負荷のまま打合せで実現できる内容(価値)を高める

このいずれかである必要があります。後者の場合、打合せの価値向上=結婚式そのものの価値向上となるので、現時点の現実的な目的は前者になるのかなと思います。

で、今の打合せ内容をより低負荷で出来るようにするために必要なのは「取引のデジタル化」かなと思います。イメージとしては

  • 顧客ごとのデータ(基本情報、進行、アイテム、見積り、など)
  • 商品マスタデータ(企業情報、商品カテゴリ、商品名、販売価格、など)
  • 取引データ(取引情報、受発注処理、会計システム連携、等)

上記データの管理および取引の実行をすべてオンライン上で出来るようになれば、紙やFAXなど物理的に時間の取られるオフライン業務がなくなり、かつ情報共有の効率化も図れるはずです。細かくシステムの設計をしていこうとすれば、より精緻に設計していくことが必要ですが、こういった目的の明確化→オペレーションの理解→要素の抽出→システム要件の設計→実装と考えていくことで、将来的な業務効率化につなげられるんじゃないかなと思います。

 

打合せプランナー業務の効率化についてまとめ

効率化を進める上で必要な機能要件を考えたことがきっかけで今回の記事を書いてみましたが、システムとオペレーションの両方の理解が必要だなと感じました。私自身もそうですし、商慣習やビジネスモデルのレベルから理解し、それをソフトウェアに落とし込んでいくことが必要だと思います。

この記事を書いた人

市川 貴之

株式会社アナロジー代表。「ブライダル3.0を実現する」をミッションに掲げ、ブライダル事業者向けマーケ支援、ブライダル特化の人材紹介、Leju(フリープランナープラットフォーム)を運営しています。マーケティング、事業企画が得意。

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