アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
結婚式場での新規接客時にお客様に提示する値引き額は
- 一定のルールに従って決めている
- その場の成約取れそうかの雰囲気で決めている
- 承認制にして都度申請している
- 月末の目標達成間近になってくると少しずつ値引増える
など、その決定や管理の方法は会場によって様々ですが、今回の記事では対お客様と式場業績の両面で最適な値引き額の考え方について解説します。
目次
結婚式場の売上と値引きの関係
上図は結婚式場のKPIツリーで、値引きの増減が売上に及ぼす影響を図解したものです。
- 値引きが増える→成約率は上がる&単価は下がる→売上はどうなる?
- 値引きが減る→成約率は下がる&単価は上がる→売上はどうなる?
様々な制約に関わる要素をいったん無視して考えるとこのような関係性であり、この前提で売上が最大化する値引きはいくらなんだろうか?を考える必要があります。
販売可能施行枠数と施行枠稼働率
あともう1つ、結婚式場が受注できる結婚式数=販売可能施行枠数は上限があるという点も抑えておく必要があります。
- 販売可能施行枠数(月)=1か月間の土日祝日の日数×1日当たりの受注可能な施行上限数
上の図は、1日2回転できる2バンケットの会場を例にしていますが、例えば月間休日が8日間だとすると、月間32組が販売可能施行枠数、となります。人気のある会場でも平日施行がバンバン無限に売れることはありませんから、この32枠の商品をいくらで売るのと売上が最大化するかを考える必要があります。
売上が最大化する値引き額を考えてみよう
ここまでをまとめると、以下のように整理するのが一番シンプルかな、と思います。
- 成約率と組単価の掛け算が最大化する値引き額をシミュレートする
- ただしその際の施行組数が施行枠数の上限を超えないことを条件とする
左側のグラフは値引きの増減によって黒点が動くイメージで、原点と黒点、X軸、Y軸で作る四角形が売上になります(施行組数×組単価)。イメージわきますかね…。
そして右側がシミュレートしたときの具体的な値引き、組単価、成約率、施行数、そして売上の表になります。まぁ実際のところはこんなにはっきりと比例するわけではないですし、値引きがいくらのときに成約率が〇%になる、とかそんな簡単に言えないのはありますが、数字としてのイメージはこんな感じです。過去のデータがもしとれるようでしたら、自社の成約データをもとにぜひシミュレートしてみてください。
ちなみに、右表のシミュレートにおける「値引きが80万円の時に売上が最大化する」の部分の補足しては、すべてのお客様が80万円値引きというわけではなく、20万円引きのお客様もいれば、100万円引きのお客様もいて、平均すると80万円になっている、という状態を想定しています。つまり、メリハリをつけた値引き戦略を実行した結果、平均80万円程度の値引きをした時が最も売上が高くなるだろうと予測している、ということです。
値引き額を決める要素の整理
- 挙式までの期間
- 日柄
- 施行枠の曜日・時間帯
- シーズン
そして、それぞれは次のような要素で値引きが決まります。
●日柄
大安・友引>先勝・先負・赤口>仏滅
●シーズン
秋>=春>>冬・夏(地域による)
●曜日・時間帯
三連休中日>土曜日午後>土曜日午前・日曜日午前>日曜日午後>単独休日>平日
●時期
遠いほど高くなる
値引き率をルール化しておくメリット
ここまで書いてきたようなロジックを組んでおく、または考え方の認識を揃えておけると、どういう条件の時にいくらの値引きをしていいか、が属人的な運用にならずにルールとして定めておくことができます。
また、この記事の前半で書いたような売上が最大化する成約率と値引額に合うように値引率を調整すると、常に目標に向かって正しい運用がされているのかをチェックすることもできます。
値引きと成約率、売上は複数の変動要素が複雑に絡みあうので画一的なルールを作ることがなかなか難しいですが、運用ルールを決めずに営業をするとどうしても目先の成約に意識が向かってしまいがちで、気づいたら売上が足りないがもう施行枠が残っていない、ということも起こってしまう可能性があります。
- 属人的な値引きルールから脱却できる
- 成約を取るためではなく、売上を達成するための値引きをきちんと設定できる
- 値引きの多い少ないの実績と成約率についての振り返りができる
- 新規と打合せの評価をするときの両方で使える基準を作ることができる
簡単にメリットをまとめるとこんな感じですが、特に新規接客での値引額は以前に比べてかなり金額も大きくなってきているので、しっかりロジックと運用ルールを決めて営業することのメリットは大きいと思います。
結婚式場の新規接客の値引きロジックまとめ
具体的な事例というよりは、基礎的な考え方に重点を置いて書きましたが、実際の運用のフェーズでは条件ごとの値引き率のチューニングと、新規接客にメンバーにオペレーションを徹底していくことが重要になってきます。
これまでどんぶり勘定でやっていたところから精緻なルール運用へと変更になると少なからずアレルギー反応を示す方もいると思いますが、根本的なところは「施行枠の稼働率を最大化し、かつ単価も上げることを目標にした適切なプライシングをするための値引きルール」なので根気強く浸透させていきましょう。