アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
今回の記事では「ブライダル業界の市場規模」について、様々な情報ソースをもとに挙式・披露宴市場を中心にブライダル関連市場全体と細分化した市場規模を考えてみます。
※この記事の情報ソース
- 結婚総合意識調査2020(リクルートブライダル総研調べ)
- ゼクシィ 結婚トレンド調査2020調べ
- リクルートブライダル総研作成 婚姻組数予測
- 新婚生活実態調査2020(リクルートブライダル総研調べ)
- ブライダル市場に関する調査を実施(2021年) 矢野経済研究所
ブライダル業界の市場構造の整理
ブライダル業界の構造としては、すべてを総まとめにした「ブライダル関連市場」が最上位の概念であり、その中に次の6つの市場があると考えるのが良いと思います。ります。
- 挙式披露宴・披露パーティ
- 新婚家具
- 新婚旅行
- ブライダルジュエリー
- 結納式・結納品
- 結婚情報サービス
また、挙式披露宴・披露パーティの中に会のような様々なスタイルの市場があります。
- 披露宴・披露パーティ
- 親族中心の食事会
- その他ウェディングパーティ
- 挙式のみ
- 写真撮影
- 全くの非実施
ブライダル関連市場の動向
日本ブライダル文化振興協会と結婚情報サービス・ゼクシィが2020年4月~2021年3月の1年間で、約9500億円の損失があり、約27万組のカップルが結婚式を延期したと発表するなど、2020年のブライダル関連市場の市場規模は前年比で大きく減少しました。
その中でも特に構成比の高い挙式披露宴・披露パーティ市場の大幅な縮小が目立ち、延期やキャンセルによる組数減少と、参加ゲストの減少による単価減少の2つが大きな理由です。
その一方で、ブライダルジュエリーやフォトウェディング市場などは大きく伸び、挙式披露宴・披露パーティに使う予定だった支出が他のブライダル関連商品に流れていることが予想できます。
2021年9月にこの記事を書いている時点では新型コロナウイルスの収束のめどは立っておらず、以前と同じ水準まで回復するのは不透明な状況ですが、ワクチン接種が一巡した後はある程度回復傾向がみられると予想しています。
挙式披露宴・披露パーティ市場の市場規模
※前提として、新型コロナウイルス感染症による一時的な市場減少を完全に考慮しているわけではなく、平常時に戻った後の一般的な市場規模の予測となります。
合計すると約1兆1,500億円程度と想定されます。
1.一般的な挙式・披露宴
婚姻組数:58.4万組×実施率:51.5%×組単価:362.3万円=1兆896億円
婚姻組数と実施率は年々減少していますが、組単価は上昇しています。ただ、コロナ収束後も親族中心の食事会やフォトウェディングニーズが残るとさらに減る可能性があります。
2.親族中心の食事会
婚姻組数:58.4万組×実施率:18.7%×組単価:50.2万円=548億円
実施率は前年比でやや減少。フォトウェディングに流れていそうです。
3.その他 ウェディングパーティ
実施率が0.1%なので除外
4.挙式のみ
婚姻組数:58.4万組×実施率:3.4%×組単価:30.0万円=59.6億円
挙式のみの割合は微増。
5.写真撮影(フォトウェディング)
婚姻組数:58.4万組×実施率:6.3%×組単価:12.0万円=44.2億円
リクルートの公開情報から試算するとこの程度ですが、
- 式場決定済みの前撮りが含まれていない
- フォトウェディングを検討する人はゼクシィを購入・閲覧しない
ことから実際はこの2~3倍くらいあるのではないかと予想します。それにたぶんこれからより伸びるでしょう。
※フォトウェディングの市場規模についての詳細記事はこちら
その他ブライダル関連市場の市場規模
新婚家具市場
婚姻組数:58.4万組×購入率:66.8%×平均費用:59.0万円=2,302億円
新婚旅行市場
婚姻組数:58.4万組×実施率:86.7%×平均費用:66.0万円=3,342億円
ブライダルジュエリー
●婚礼記念品
婚姻組数:58.4万組×購入率:75.6%×平均費用:39.3万円=1,735億円
●結婚指輪
婚姻組数:58.4万組×購入率:97.9%×平均費用:26.6万円=1,521億円
結納式・結納品
●結納式
婚姻組数:58.4万組×実施率:12%×平均費用:18.3万円=128億円
●結婚品
婚姻組数:58.4万組×実施率:12%×69%×平均費用:14.1万円=68億円
結婚情報サービス
ゼクシィの売上が約500億円(2021年度はイレギュラーで半減)で、結婚式場集客の全広告費用に占めるゼクシィの割合は約50%なので、逆算すると1,000億円程度と予想できます。
ブライダル関連市場の市場規模についてのまとめ
まとめると上記のようになります。この数字は各情報ソースから引いてきた数値をもとに積み上げた数字ですが、平時であればそんなにズレてないんじゃないかなぁと予想します。
実際に事業を企画するのであれば、これに地域毎の分布数値や経年推移などのデータも必要になるとは思いますが、ざっくりとどれくらいの規模なのかを知ることが目的であればだいたいの感じはつかめると思います。
今回の記事では、ネットで拾える情報をもとに市場規模の予測を立ててみました。精度は多少粗いと思いますが、桁数がずれていることはないと思うので、おおまかな感覚をつかむためには使えると思いますし、今回紹介していない領域の規模を試算したいときの参考にしていただければいいなと思います。